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詩「希望の唄」


僕は
いつでも
他者を優先してきた
そして
自分は強い人間だと思うから
僕は
僕を
そのままにして歩んできた

心に雨は降り続けても
晴れの笑顔で
誤魔化して
全てを無かったことにしてきた
事実は
消えたりなんかしないのに
周りは
揉め事を極端に嫌った
僕は
一番大事にしなければならない
僕を置き去りにして
遠くまで歩み続けてきた

長い間
我武者羅に
前へ前へと歩み続けてきた
僕は
静かに立ち止まった


僕は
初めて振り返り
僕を抱き締める

飾られた
言葉なんかいらない
無言で
ひたすらに抱き締める
小さい僕は
そのぬくもりに
安堵して涙を流す
自分が自分を認めなければ
前には進めない
なぜ
こんな
簡単な事に
何年も気付けなかったのだろうか

悲しみの雨が降り続けても
アスファルトの下の球根は
誰にも抜く事は出来ない
何度でも
芽を出して
花を咲かせ続ける
僕は静かに
目を瞑った
僕にしか咲かせられない力強い花がある
希望の唄を
誰の耳にも届かない唄を
口ずさみながら
僕の道を歩いて行く
もう
今までの傷付いた僕じゃない

気が付けば
心の中の
あの頃の小さい僕も
実に
晴れ晴れとした顔で
笑っていた








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