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詩「煙」


気付いたら 煙はあがっていた
新鮮な空気さえ 黒く沈んでいく

いつ火は放たれるのか
命は燃えていくのか
私には知る由もないけれど
急速に世界を取り巻く重い風に
私の魂は押し潰されていく

動き始めたものたちを止める術はないのか?

煙は匂いを引き連れて
私達の世界を侵食していく
纏わりついた焦げた匂いは
私の鼻の奥をツンとさせた




見えても見えなくても辛くても
いつかは消えてしまうのだから
皆 手で覆って避けるのだから
掴んでくれる人なんていない

するりとこの手からすり抜けていく私を
涙ぐんだ目でなんか見ないで
私が通り過ぎた後なんて
もう
跡形もなく消え去ってしまうのだから

ここにいないのと同じ
皆 いないのと同じ
闇に紛れたら同じ

煙は儚く消えて行く宿命だから

この想いは天まで昇る

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