見出し画像

オルタナティブスペースという言葉を整理する

僕は「オルタナティブスペース」という言葉を整理するが必要あると考えています。

オルタナティブスペースとは、美術館でも商業ギャラリーではないアーティストなどが運営するスペースがそう呼ばれています。

オルタナティブスペースは美術館という権威に対抗し、美術館で展示出来ない表現を発表する場、権威に対するオルタナティブとしての場所を確保することを目的に生まれた形式です。

他方で、このオルタナティブスペースの概念の文脈から外れた、アーティストが主体となって運営するスペースがあります。彼らは美術を続けていく為、美術という文化が続いていく為の生存戦略として自分たちのスペースを作り、発表の場を確保しようとしています。そうした「切実さ」からくる活動なんです。

僕は、後者の美術を続けていく為の「切実さ」に根差したスペースをアーティストが運用するスペースという意味の「アーティストランスペース」という言葉を使っていくことを提案したいと思っています。

なぜ言葉の整理が必要かと言うと、文脈の違いから生じる不具合や必要のない対立構造がつくられているので、そこを文脈的に整理して、やりやすいようにする事とこの「切実さ」が世間に認知されるようにしたいと考えているからです。

美術界の中の一部では、お金の話をすること自体をタブーしする傾向があり、オルタナティブスペースの文脈もその傾向にある為、オルタナティブスペースとお金の話をオープンにするのが難しいという問題がありました。

僕は、言葉を分けて文脈も一緒に分けることで、美術を続けていく為のお金の問題の話や解決策をもっと積極的にオープンに議論出来る土壌をつくりたいと思っています。

僕はの立ち位置も整理しておくと、「アーティストランスペース」を護衛し、「オルタナティブスペース」を古いものと切り捨てるような立場ではありません。言葉の整理は、それぞれの役割と立場がある中でそれぞれが上手く折り合う為の「調整」の作業なんです。

僕自身は、スペースを運用している訳ではありませんが続けていく為の「切実さ」に共感することが多いです。この「切実さ」はこの時代の多くの人が共有する危機意識に根差しているように思います。

僕は、小さな変化の積み重ねによって、アートという場をやりやすいように変化させていこうとしています。変化を起こしす為の前提条件の整理です。

美術を続けていく為に、美術が続き続ける為に。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?