見出し画像

マツケンサンバのメッセージ性のない優しさ

マツケンサンバという歌がある。
俳優の松平健さんがスパンコールの着物を身にまとい、
江戸時代の旦那のお遊びのごとく、踊って歌って終わるというショーが
セットでついた歌だ。

正確に言うと、私たちが知っているのは「マツケンサンバⅡ」のようで、
本当は「Ⅰ」も存在するようだ。
それを考え出すとキリが無くなるので、ここではマツケンサンバⅡを
マツケンサンバとさせてほしい。

マツケンサンバの歌詞のことをよく考えたことがなかった。
日々の暮らしに忙しかったせいもあるし、
そもそも考える必要がないことなのかもしれない。
でも、考える時間が出来てしまったので、考えてしまった。

歌詞をそのままは書けないので、
何となく、書いてあることとしては
汗が飛んで、熱くて、満足するほど踊り明かそうみたいな、
これ以上もこれ以下もない歌詞である。

マツケンサンバでなくても、「サンバ」が持つ
みんなのイメージをディテール粗めに歌詞にしてあって、
正直言うと、特に中身がない。

このご時世、お役立ちコンテンツや社会貢献につながるアクションなど、
何か意味のあることが持てはやされる中で、
ここまで中身のない歌詞も珍しい。

特に、最後の「マーツーケーン サンバ オレ!」のところなんて、
だいぶ秒数をかけているにも関わらず、
本当の本当に何も言っていない。
倍速で動画を見たくなる人が増えるほど、生産性を高めている世の中で、
情報が無い。

「マーツーケーン サンバー」の間で
「みーんーなーの しあーわーせー」とか、
ちょっとメッセージ性を放り込みたくなりそうなのに、しない。

たぶん、これはきっと、狙っているのだろう。
人それぞれの喜びや悲しみ、怒りなど、
いったん全部忘れて、踊ろうという、
あえて中身を作らない、マツケンサンバからの提案なのだろう。

頭を空っぽにして、踊り明かそう。
余計なことを考えずに。

ああ、何かちょっと泣けてきた。
メッセージ性、あるじゃないか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?