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「言論の自由の守り手」として 〜クリス・コルファー

2021.11.10(現地時間)、NCAC(全米反検閲連盟)により、クリス・コルファーさんに言論の自由の守り手としての賞(Free Speech Defender)が与えられました。
授賞式は、リモートで行われました。

まず、米国ドラマ「glee」でも共演したウーピー・ゴールドバーグさん(映画『天使にラブソングを』主演)が、プレゼンテーターとしてスピーチされました。(写真は、共演当時)

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ウーピー・ゴールドバーグ:(ランディさん、ありがとうございます。)
「全米反検閲連盟」のあらゆる活動に感謝するとともに、わが友クリス・コルファーにこの賞を授ける機会をいただき、ありがたく思います。

今やクリスは、18冊のニューヨークタイムズ・ベストセラーの作家で、中でも、世界35地域で出版されている『ザ・ランド・オブ・ストーリーズ』は大成功をおさめています。
彼の勇敢で大胆な著作は、あらゆる場所で、若い読者から愛されています。
また、彼がインクルージョンやアイデンティティーについて書くことに力を入れ、若者たちが、自分も作家にと志すようになったのは、並大抵のことではありません。
クリスの作品は、子どもたちに、自分が何者であるかを探求し、どんなことでも可能なんだと知る機会を与えているのです。

 私たちの多くは、「glee」でクリスを知り、愛するようになりました。
そこで彼が演じ多くの賞を受賞した、堂々としたオープンリーゲイの少年役によって、クィアの若者たちは、これまでとは全く違う形で自分たちがネットワークテレビに出ているのを観ることができました。
クリスは、自分の物語の力を知っており、それを共有することを恐れません。 
彼は開拓者であり、同時に建設者でもあるのです。

読者は、ランドマークの横で…言論や表現の自由がまだこれからの国々で、彼の本の写真を撮っています。
クリスの読者たちは、彼の本が、いかに個人的な苦難を乗り越える助けになったのか、また、自分の物語を書くきっかけになったのかを語っています。

クリスの作品はとてもパワフルですが、それは、彼がどんな人間であり、どんな読者に対して、自分らしくいるよう励ましているかに理由があります。
そこに一人でも彼の物語を必要とする子どもがいる限り、クリスは書き続け、創り続け、築き続けるでしょう。

そういうわけで、クリス・コルファーに言論の自由の守り手の賞を授けることは、大変な喜びであり、誉れであります。
おめでとう、親愛なる友よ。
おめでとう。

次に、クリス・コルファーさんが、受賞のスピーチをされました。(この写真)

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クリス・コルファー:ウーピーさん、大変にありがとうございます。
これは、僕にとって非常に特別なことです。なぜなら、ウーピーさんは子ども時代のヒーローだったからです。
仕事でご一緒して知り合って以来10年以上になりますが、彼女の口から自分の名前を聞くなんて、今でも夢みたいです。
このような名誉を与えて下さったウーピーさんに、感謝します。
そして、少しでも早くお会いできることを願っています。

まず最初に、「全米反検閲連盟」に対し、この栄誉をいただいたことと彼らの素晴らしい活動に対して、感謝したいと思います。
そもそも、僕のような人たちが作家になれたり、また、僕のような子どもたちが孤独な人生を歩まずにすむのは、彼らのような人々や組織のおかげです。
だからこそ、NCACに認めていただいたことは、僕にとって絶対的な意味があるのです。

最初の小説『ザ・ランド・オブ・ストーリーズ・願いをかなえる呪文』を書いていたとき、多くの人から「時間の無駄だ」と言われました。
「世間はまだ、ゲイを公言する男が書いたような本を子どもに読ませる段階ではない。この作品は失敗に終わる運命だ」と言うのです。
僕は、彼らに断言しました。自分にとって、書かないという選択肢はないのだと。僕には、自分の正気を保つために、どうしても吐き出さなければならない物語があったのです。
しかし、人々の冷笑に直面し、自分の作家というキャリアの可能性はほとんど期待できないと思いました。

それから10年が過ぎ、18冊の本を30の言語で35地域で出版し、そして何百万部を売り上げました。あの疑い深い人たちが間違っていたことを報告できて、嬉しいです。

僕の本をある地域から締め出そうとする動きもあり、失敗したものもあれば、成功したものもありました。僕が誰で、どんな人間かを理由にしたものでした。
僕が書いているのは多様性とインクルージョンなので、本に中傷や政治的な文句が落書きされたこともありました。

しかし、読者の圧倒的な支持をいただいたこと、さらに、世界中の教室や書店、図書館、そして最も必要としている子どもたちの手に本を届けるために、彼らがたゆまぬ努力をして下さったことに感謝しています。
「 世界は、僕みたいな人を受け入れる準備ができている」ということを、読者が証明してくれたのです。
この賞は、僕のものであると同時に、読者のものでもあります。これまで十数冊の本を書いてきたのに、この感謝の気持ちを言葉で表すことはできません。

これを観てくれている、もしかしたら、自分に疑いを持ったり困難に直面しているかもしれない、全ての若い人たちへ。
どうか、他人が邪魔をしても、決して足を引っ張られないで下さい。
そして、何度も言うようですが、世界があなたを落胆させるほど、世界はあなたを必要としていることを忘れないでください。

皆さん、本当にありがとうございました。
この賞は、一生大切にします。

▼クリス・コルファーさんの信念のつまった、『魔法ものがたり』。
ついに、日本語版の上巻が発刊され、下巻は2022年春の刊行が予定されています。
『ザ・ランド・オブ・ストーリーズ』を読んでいなくても全く大丈夫。
小学校高学年以上。