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【続いてる写経 1328日め】”いかせいのち”を体現する人、千元室さん
日経新聞の別刷「人生100年の羅針盤」に掲載されていた、まさに100歳の裏千家元家元、千玄室さんのインタビューに”いのち”の重みを感じました。
以下はインタビューの概要。
千玄室さんは太平洋戦争時代、学徒動員で海軍航空隊に入隊。
特攻隊員として出撃待機をしていたところ、終戦を迎え復員。
戦後見送った戦友に対しての忸怩たる思いに苛まれる中、転機が訪れた。
進駐軍が裏千家に押しかけてくる中、当時の家元である玄室氏の父は端然とした振る舞いで対応、横柄な兵隊には、英語でこうたしなめたという。
『ここは礼儀正しさをわきまえるべき部屋。お引き取りを』
その姿をみて、戦勝国のおごりと敗戦国の屈辱をならすのが平和の第一歩。そのために異文化の尊重が欠かせない、茶道はそのきっかけづくりになるのでは、と考えるに至った。
いったん茶室に入れば、互いに敬い、譲り合うのが茶道の精神。
一碗の茶の前には人種も宗教も社会的格差もない。
平和づくりに茶道が果たせる役割は大きいはず。
敗戦の痛手から伝統的価値観を否定する論調が当時は幅をきかせていたが、日本の伝統文化である茶道に、世界平和に貢献する可能性があると感じ、70数年間に60カ国以上を訪問。
海外の人への説明は、
『丸い茶碗は地球です。その中にある緑のお茶は自然を象徴しています』
こう説明するとぶつかろうとする衝動が和らぎ、半歩下がって我慢できるようになるという。
茶道を通じて平和づくりに貢献することをなくなった戦友たちの供養になると思っておこなっている。
世界から紛争がなくなりそうにないが、
「だからこそ半歩下がって譲り合う場が大切であり、茶道が貢献できる余地はなお大きい」
玄室氏は毎朝4時に起床し、約10分かけて海軍仕込みの体操をし、冷水摩擦をおこなっているそうで、記事を書いた記者もとても100歳とは思えない滑舌や声の張りに驚いたとのこと。
今年の9月にはニューヨークの国連本部でも献茶式を行われたそうです。
動画もありました。
玄室氏が戦友の分までいのちと使命を背負って平和への貢献を続けていらっしゃることに、ただただ感銘を受けました。
譲り合い、他者への敬い、異文化への尊重…。
まずは茶室内でそれを体感してもらうことで、実生活に役立ててもらう。
文化の役割、価値の捉え方はもっと広いものだったのですね。
また一方で、毅然とした態度で、戦後進駐軍を”英語で”たしなめたという先代のエピソードも大事です。
尊重なき態度には、毅然と主張する。
そのような尊厳をもって生きたいものですね。
高野山に「生かせいのち」と空海さんの言葉を現代風に表した標語があり、”いのち”の平等と尊厳をといています。
まさに、この玄室さんのような生き方なのかと思いました。
己の使命を認識し生きることの大切さ、短い記事の中に教えられること多数でした。
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