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【続いてる写経 708日め】〜すごいぞ、『性差(ジェンダー)の日本史』

2020年に佐倉にある国立歴史民族博物館で開催された『性差の日本史』展。
その展示を新書版に編集した本を読みました。
開催当時、気になっていたのですが観にいけなかったので、嬉しい限り。

いやはや、常識が覆される内容でした。

先進国の中でも男女の賃金格差はは韓国に次いでワースト2の日本。
ほんと、優秀な女性ってたくさんいるのに、上にいるのは”そんなんでもない”男性ばかり・・って構図、見てきましたよ。。

この男女の格差って一体いつから生まれたものなのだろう?
結構ぼんやりしてました。
この本の中に、一つの答えがあるんですね。

古代社会では男女の役割分担や地位はほとんど変わりなく、それが家社会になり家長が家をつぐようになってから、男女の差が現れてきた。
けれども北条政子のように、家長が亡くなった後、夫人が後をつぐケースは江戸時代にもみられたそう。

そう、現代の男女格差は、やっぱり明治維新のときに生み出されたもののようです。

p125に「天皇・宮中のあり方も変化させてゆきます。天皇の生活空間で勤務する女性たちは「私」の場所に属する人々として、政治の場から排除されます。」とあります。
江戸時代までは、「天皇の命令が女房(女官のこと)を通じて伝えられていた」そうなのです。

天皇に伝達をする役割は女性ずっと担ってきたのですが、明治維新の時に、女官は一斉解雇されてしまったとのことです。
数百年来の文化がそこで途絶えたんだそうです。

同じように江戸城でも、奥女中は男性役人とともに諸事を担っていたそうですが、この役割も当然消滅。

女性を排除する動きは明治皇室典範と、明治憲法によって完成したんだそうで、女帝を認める意見が当時もあったものの、井上毅の強い反対で、皇室典範で否定、天皇は男系に限るとなったとのこと。(p128)

気になって調べたところ、井上毅は、諸外国の皇室が男系に限って皇位継承を行なっていることから主張したんだそうです。

女性蔑視というよりも、”みんなそうしてきた”ってことだったのですね。
現在は遺伝学上、男系でなければ、そのY遺伝子を継承できないから、と裏付ける根拠もありますし。。覆すのは難しいでしょう。

加えて、その当時にはこの”男系”に限ったことによる、天皇家の危機なんて微塵も考えてなかったんでしょうねえ。。

昔はたくさん妾や側室がいたから、男子もたくさん生まれて可能になったとか。
結局近代化とともに一夫一妻制となったことが仇になったんですかね?

女性に参政権も与えず、明治維新の時の為政者たちの、思想の根底にあったものが気になります。諸外国の影響・・だけなんでしょうかね?

他にも「性の売買と社会」とか、どれも興味深い内容です。
(別途語りたい・・)

本書を読み、間違いなく言えるのは、女性差別の歴史のほうが浅い、ということ。

なので、その歴史、いい加減是正されるべきだと思いましたね。

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