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【続いてる写経 1563日め】”麦”と”毒”は似ている、では語源は?

「麦って文字は毒と似ているよね」

こんな話をこの3日のうちに、2回別のところで耳にしてしまいました。

要するにだから「麦は毒である」って言いたいみたいなんです。
麦が毒である説は、小麦が諸悪の根源説として、あらかた以下に集約されます。

・小麦に含まれるグルテンの成分が、腸壁にへばりつきやすく、消化不良などを引き起こす
・小麦に依存性がある
・血糖値を上げやすい

https://www.fukuoka-tenjin-naishikyo.com/knowledge/post-18628/などを要約

小麦の消化が良くない点については、なんとなく自覚できるものがあるので、パンや小麦系のお菓子は量を減らしてはいます。
が、やっぱり小麦のものは美味しい。なので完全にやめることは無理ゲーと思い、食べたい時は食べることにしています。

で、今回麦と毒が似ている説、改めて文字として似ていることに、根拠があるのか興味を持ちました。

ざっと調べてみると、

麦の漢字の語源は、

さて、「パン」の材料となった「」という字は、すでに3300年前の甲骨文字の時代からあります。その「麦」という字は「立っている麦の姿」=
と「上から降りてくる足の形」=
「夂(すい)」とを組み合わせた字です。麦は、早春に麦の芽を足で踏みつける、麦踏みの作業をすることで知られています。足で何回も芽を踏みつけ、根の張りをよくし、丈夫に成長する強い苗にすることを目的に行なう作業です。その足で踏みつける形が、「上から降りてくる足の形=「夂(すい)」なのです。「麦」という字は、文字通り、麦踏みをする栽培の特徴を表した字です。

https://510.kyoto.jp/?p=3052より引用

「麦」という漢字に何かしらの「毒」的な語源要素は見当たりませんでした。

一方で、「毒」のほうには母という文字が入っているのが気になります。
毒という文字の語源については主に3つあるようです。

一番伝統的な説明は、「毒」という漢字は、「屮」と図のような漢字から成り立つ、というものです。図の漢字はさらに、「士」と「毋」に分解されます。「士」は「立派な男性」という意味、「毋」はよく見ると「母」とは違って、「~ではない」という意味で、図の漢字は「立派ではない」「みだら」という意味になるそうです。それが「草」を表す「屮」と合わさって、「よくない草」「毒草」という意味になったのが「毒」という漢字だというのです。

また、「毒」は「生」と「母」から成り立つ、という説もあります。この場合の「生」は「生え始めた草」のことで、「母」は「子どもを産む」ことを表します。子どもを産む際に服用した強精剤の草のことを表したのが、「毒」だというのです。

ほかにも、「毒」は「髪飾りをつけた女性」の姿を現したものだ、という説もあります。この場合、「母」は女性の姿で、その上の部分が髪飾りということになります。たしかに、篆文(てんぶん)の「毒」という字は図のような格好をしていますから、これを見ていると、そんな雰囲気がないでもありません。その髪飾りが派手で毒々しいところから「毒」の意味が生まれた、というのが、この説の主張するところです。

https://kanjibunka.com/kanji-faq/jitai/q0268/ より引用

以上「麦」と「毒」との関係性を漢字で並べて似ているというのは、麦=毒なわけでもなんでもない。

単に部首が一緒というだけでございました。

中国人が麦を毒として見たかというと、全く逆で、

ムギは重要な作物と意識されたために、「やってくる」から「ムギ」への意味変化について、別に一種の伝説が伝わっています。

中国最古の詩集とされる『詩経』の「思文」(しぶん)という詩に「我に來牟(らいぼう)を貽(おく)る」という句があって、その注釈によれば、暴虐な政治をおこなって人民をくるしめた殷を倒し、新しい王朝を作って理想的な世の中を実現した周の功績を天がめでて、いわばそのご褒美としてムギという穀物を地上にもたらしたと伝えられています。

https://www.kanjicafe.jp/detail/7753.htmlより引用

中国における麦の伝説、日本のコメ伝説と似ているのです。

ところ変われば、麦は神様からの贈り物

というわけで、麦=毒似ている説は、そんな単純に割り切れるものではないことがわかりました

さらに、毒に入っている文字は”母”とは異なる文字だった。
基本的語源としては、毒々しい母親とかの概念とは関係なかったのでした。

毒親とか、毒母とかいう話を耳にするから、なんだか語源にもそんなことが含まれているのかと思ってしまった節が。。

出典とか、成り立ちとか、調べてみるの大事だわ…。




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