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囲碁の起源から日本への伝来

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囲碁史研究家の視点により、囲碁の歴史を貴重な資料をもとに解説。
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#遣唐使

囲碁の日本への伝来① 吉備真備伝来説

囲碁の日本への伝来① 吉備真備伝来説


はじめに

 古代中国で成立した囲碁がいつ日本に伝来したかは、日本囲碁史のみならず中国囲碁史でも重要な問題である。また、伝来の時期だけでなく、そのルートが中国から直接伝来したのか朝鮮半島を経由したのかも重要な問題である。
 中国では六一九年に隋が滅亡し唐が建国される。日本は聖徳太子によって隋へ小野妹子ら遣隋使が派遣されたが、唐に替わってからも引き続き使節を派遣している。遣唐使は六三〇年の第一回か

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囲碁の日本への伝来③ 日本と唐の交流

囲碁の日本への伝来③ 日本と唐の交流


唐の建国と囲碁

 四三九年から一五〇年にも及んだ中国の南北朝時代は、北朝の北周が王室の外戚である楊堅によって滅ぼされ、続いて南朝の陳も滅び終焉を迎える。それにより五八九年に隋王朝が成立し楊堅が皇帝となる。
 楊堅(文帝)は学科試験により官吏を登用する科挙の実施や律令制(刑法・民法等)の整備、州県制などの新しい中央集権体制の確立など、大胆な制度改革に取り組み、その治世は開皇の治と称されている。楊

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