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囲碁史記 No.2

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囲碁史研究家の視点により、囲碁の歴史を貴重な資料をもとに解説。 No.2は囲碁史記 第25回から第41回まで 碁聖本因坊道策の後継者の時代から低迷期を経て本因坊察元、烈元の登場に…
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#本因坊家

囲碁史記 第28回 秋山仙朴と新撰碁経大全

囲碁史記 第28回 秋山仙朴と新撰碁経大全

秋山仙朴(小倉道喜) 本因坊道知の時代に囲碁界で特筆すべき事件が起こった。秋山仙朴(小倉道喜)と著書『新撰碁経大全』にまつわる騒動である。
 秋山仙朴は『新撰碁経大全』、『古今當流新碁経』などの著作があるが、その記述内容のために絶版、戸締めの刑を受けた。戸締めの刑とは門を釘付けし謹慎させる刑罰である。
 まず人物について述べておく。小倉道喜は本因坊道悦に入門し、その後道策門下となる。道策とは二子で

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囲碁史記 第32回 七世本因坊秀伯と低迷の時代

囲碁史記 第32回 七世本因坊秀伯と低迷の時代


七世本因坊秀伯 まず七世本因坊秀伯の親類書を記す。

  佐藤秀伯親類書
父 野田三郎左衛門代官所奥州信夫郡上飯坂村百姓 佐藤勝右衛門
母  右同所百姓                佐藤太右衛門娘
叔父 右同断                  佐藤兵左衛門
弟  父手前罷在候               佐藤庄吉
従弟 右同国同村名主              佐藤弥五右衛門
右之外忌懸り

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囲碁史記 第34回 八世本因坊伯元

囲碁史記 第34回 八世本因坊伯元


伯元の生涯 八世本因坊伯元は武蔵国幸手郡天神島村(埼玉県幸手市)の尾崎家出身で、天文五年(一七四〇)、十五歳の時に七世本因坊秀伯の門下に入る。幸手市は伯元の後も九世察元、十世烈元を輩出している。
 尾崎家は農家であったといわれ、どのようないきさつで伯元が本因坊門となったのか分かっていない。しかし、伯元は入門の翌年に秀伯が危篤となると家元会議において跡目に選ばれている。安井家五世仙角が付添人となっ

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