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同じ星の生き物

中1のクラスは良かったが、中2-3は微妙だった。それでも受験はうまくいった。


クラス替えが悪なのでは

今のクラスはいいけれど、来年はクラス替えがあるなあ、どうしよう…と、中1の夏休みから、定期的に不安になったものだった。
実際に、クラス替えしたあとの中2初めは辛かった。「友達いない、ひとりもいない」、きもいと言われたりもした。けれど中間テストで100点を取ったことで一目置かれるようになり、合唱コンクールでピアノを弾いたことでまわりが私を見る目は完全に変わり、中2男子たちから、すげー、可愛い、と言われるようになった。
普通にやっていれば、飛び抜けて、注目される。私が持っているパターンである。

受験の不安

中3の夏の模試で合格率98%が出ていたのだが、"宝くじよりは可能性はあるけど、今のままでは…"なんて担任に言われてすっかり不安になり、そのあと点数も伸びずに辛かった時期もあった。

朝ラジオを聞きながら勉強するのが日課で、栄養のある朝ごはんを食べたい、と思ったのだが、うちは元々セルフサービスなので、野菜が摂れない、とストレスを感じていた。それで学校のカウンセラーにも会いに行ったのだが、当時は(今も?)体制が整っておらず、助けにはならなかった。
のちのち自分と家族と向き合い、それまでのハンデを取り戻したことを考えると、この時点から私はSOSを出していたのだな、と思う。

受かった報告に行ったとき、「ごめん、正直自信がなかった」と担任に言われた。ま、普通の先生である。笑
受験のみに集中したあとの解放感は最高で、読みたかった本をひたすら読み、近くの山に登りに行った。

賢い彼

振り返らないと思いつかないくらいだが、この時期を振り返ってみると、重要な人物がいる。

彼のうわさは聞いていた。賢い、と。
だから興味があった。同じクラスになって、話しかけたのも覚えている。その後、なんだかうまくやり、しばらくとなりに座っていた。となりの席でドキドキする、というやつ。今もあるのかなあ。

彼にはなんだか品があった。言葉遣いも独特だったし(それが私は好きなのだけど)、まわりの男友達と同じゲームにはまっていたが、特に子供っぽくもなかった。少年、という印象は、彼からは受けなかった。苦労したり、歪んだり、嫉妬したり、信用できないといった印象も受けなかった。

当時は恋だと思っていたが、当然ながら(?)つきあいたいと思っていたわけでも、触れたかったわけでも、キャーーーカッコイイーーーと思っていたわけでもなかった。笑
まだその年齢ではなかった…男子はそういう年齢だったのだろうが(想像)、そういう対象として意識するようになったのは、大学院で初彼ができてからだったような…
ともあれ、当時何を考えていたかといえば、どこかで彼にばったり会って、楽しく話ができたら嬉しいな…だった。楽しく時間を過ごし、心を開いて何かを話してくれる。そんな想像ばかりしていた。

Aceの私にとっては、こういうふわふわしたものが恋なんだけど…普通の人にとっては違うんだろうな。

となりにいる

切磋琢磨でも、一体だったわけでもない。ただ、安定してコツコツ勉強していて、結果も出していて、卑屈でもなく、子供な競争心も出してこない人が横にいて、話そうと思えば気軽に話せるということが、なんだかとても心強かった。彼から言われて、テストの点数を見せ合ったりもしていた。実力は同等で、どちらかが飛び抜けているわけではなく、科目によってまちまちだった。

この時期学校が楽しくて、金曜日はつまらないなあ…と思ったり、朝が苦手な私が朝早く学校に着いて勉強をしていたのも、大きな理由は彼である。不安になる理由も、良くない環境もあったけれど、勉強することが楽しいと思えて、受験がうまくいったのは、彼のおかげでもある。前日にもさらっと励ましてくれたことを思い出す…ただ何を言われたのかは思い出せない。笑

お互いに志望校に受かり、私は一番の進学校、彼は希望通り実力よりも下の学校に行くことになった。私は会わないと気持ちが離れるタイプなので(というかひたすら言い聞かせて想像することで維持していたので)、卒業してから彼のことを考える機会は減っていった。
高校に入っても、私は恋をしなかった。ツボな人物がいなかったのである。

自分の世界を持っている人

自分を持っている人が、昔から好きだった。まわりがどうであろうと、気にしない(ように見える)。そういう強さに憧れた。一見目立たないんだけど、話してみるとすごくおもしろい話をしてくれる人…変わっているけれど、いわゆる格好いい人ではないけれど、私にはツボな人が好きだ。Artistsも、研究者もいた。

自分の好きなものを知っていて、それが変わっていようが、流行りでなかろうが、好きなものだから、と受け入れて楽しんでいる、という人が、友達でも好きだ。そういう私もそういうところがあるのでは、といえば、そうなのだろうけれど、私は好んでこうしているわけでなく、それしかできないから、そうでないと物事がうまくいかないから、苦しみながらそうなっている。

そういうわけで、私が気になる、と思うのは、その後東大に行けてしまうような、賢くどこか大人びた子なのだった。この時期は普通に歩いたり食べたりできなかったはずの私が、彼とは普通に話していたし、緊張もしなかったような。
趣味が合うわけではなかった。友達になりたいわけでも、もちろんそれ以上でもない。恋…という側面で考えるとなんだか詰まるのだが、同志だった、と考えるとすっきりする。彼もきっと同じ星の人だったのだ、と。笑

再会

大学に入り、Facebookでつながり(これは彼から来たような)、帰国したタイミングで友達の大学祭に行って再会した。彼は、にきび面を隠していて、いわゆるおしゃれではなかったが、私は気にならなかった。彼は唯一、私が罪悪感を感じない好きだった相手でもある。告白して振られたわけでもなく、何か迷惑をかけたわけでもない。だから、再会することもできた…複雑だねえ。

高校では、東大を受けるように何度も言われたが、断ったそうだった。そして、大学職員になることが決まっていた…ということは、3年のときに会ったということ!?
学校から仕事まで、すべて自転車で通える距離にある。彼こそ狭い世界で生きている人だ。

時効なのだけど、と切り出して、告白の代わりに伝えた。
実は中2の夏、homestayに行っていたのだ、と。

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