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わずか2日で消滅、3斤相当のロングロイヤルブレッド

 X(旧Twitter)で、3斤相当量の食パンがドーンと1斤になった、ロングな食パンを見てから、食べたくて食べたくてたまらなかった。
 もちろん味は普通の食パンと同じだろうということはわかっていたのだが、私はその特大食パンでやりたいことがあった。ハニートーストと、パスタ入りトーストである。具体的には、カラオケパセラさんのようなハニートーストと、レストランパンプキンのようなパスタ入りトーストである。

 ここでカラオケパセラさんのハニートースト(ハニトー)がどういうものかというと、「まるごと1斤の食パンにバターを塗って焼き上げ、はちみつをたっぷりかけた上にホイップやアイス、フルーツを盛り付けたカラオケパセラの名物です。(公式サイトより引用)」とのことだ。本物もいただいたことがあるが、カリッとトーストされ蜂蜜とバターがかかったパンの上に飾りつけられた、華やかなアイスとフルーツ、そしてホイップは、見た目も満足、味も満足、ボリュームも満足の幸せな1品であった。1人で食べたのだが、とてもお腹いっぱいになった。同じものはムリでも、それに近いものがいつでも家で食べれるとなれば、とってもゴキゲンになれることは間違いない。
 もう一つのレストランパンプキンさんのパスタ入りトーストは、群馬県にあるレストランパンプキンさんという大盛りで有名なお店で出している、イタリアントマトというメニューのことを指している。こちらは食パンをくり抜き、中にトマトソースのパスタを入れ、ホワイトソースとチーズをかけて焼いたメニューだ。パンのサイズだけでも、Sサイズで1斤、レギュラーサイズで1.5斤、大盛りだと3斤あるらしい。パンプキンさんではイタリアントマトの他にもハニートーストのような食パンを使ったメニューがあり、こちらも大盛りにすると3斤なのだとか。すごい。こちらのパンプキンさんのメニューはまだ食べることができていないのだ。いつかコンディションを整えて食べに行きたいものである。

 さて食パンというものはスーパーの売場では基本的に1斤分がスライスされた状態で売られている。一般的な食パン1袋分=1斤分 だ。そのスライス枚数は4枚、5枚、6枚、8枚切が多い。サンドイッチ用に16枚切にして耳を取ったものなんかもある。私の出身の関西は4枚〜6枚切の売場面積が多かった。今は関東に住んでいるが、こちらは6枚、8枚切の売場面積が多く感じる。
 しかし、1斤丸ごとスライス無しの食パンは、スーパーには、驚くほど全然ない。あるところにはあるのかもしれないが、近場のスーパーには、全然無い。もしそういったスライス無し食パンが欲しければ、パン屋に行くか、自分で焼くかになってしまう。パン屋の食パンはとっても美味しい。でもそのパン屋の食パンでも、基本は1斤単位での販売だし、長いものでもせいぜい2斤といったところだ。Xで見た3斤相当のロング食パンにはやはり足りないのだ。
 そんな中で見てしまったロング食パンだったものだから、そんなものがあるというだけでテンションが上がってしまい、早速探しに行ってしまった。だって3斤相当分なのだ。当然、長い。実は買った後に測ってみたら30cmを越えていた。ロマン溢れる品である。

 1軒目のスーパーには無かった。

 まあそうだよな……と思いつつ、諦め半分で2軒目のスーパーに行ってみると。

 あった。

 しれっと棚に置かれていた。実は本当にあるとは思っておらず、びっくりして5度見くらいしてしまった。でもたしかにあったのだ。3斤分相当量のロングロイヤルブレッドが。

 もうめちゃくちゃ嬉しくて即買いしそうになったのだが、そこで理性がブレーキをかけてきた。

 本当に食べ切れるのか?

 悩んだ。その日は結局買って帰らず、数日悩んだ。でも最後は「まあ余ったらカットして冷凍すればいいでしょ」と気づき、とうとう買ってしまった。
 ついでに冷凍ホイップクリーム500mlと冷凍ベリーミックスとアイスも買った。当然ハニートーストにした時のトッピング用だ。蜂蜜とバターは家に常備してあるから追加購入の必要はない。あとパスタやホワイトソース、チーズの方も家にすでにあるのでやはり購入の必要はない。これで準備は整った。

 買ったばかりのロングロイヤルブレッドを大事に抱えていそいそと帰宅。やはりサイズがおかしい。いつも使っているエコバッグ(A4ファイルが入るサイズ)の約半分が占領されてしまった。なんなら高さはちょっと飛び出している。
 ロイヤルブレッドを机に置いて記念撮影をし、まな板に置くと、存在感がすごい。まな板が小さめサイズのせいでパンが飛び出してしまう。嬉しいサイズだ。
 ちょうど時間はお昼どき。さっそくお昼ご飯に買ったばかりのロイヤルブレッドを食べる。さすがに3斤一気に食べるのはもったいなく感じたので1斤分くらいの量を切り出し、さっそくトースターに入れようとしたところで、

 問題が発生した。

 入らない。

 トースターの高さが足りないのだ。まず入口のところでひっかかってまったく入らない。というかあきらかに開口部の高さが足りない。パンの高さが大きくトースターを越えている。

 悲しみにくれながら3分の2くらいのサイズにカットし直した。それでもまだ入らない。入口に数ミリ引っかかった。無理矢理おさえて入れたとしても、トースターのヒーターに当たる。それはまずい。火事のリスクがある。
 仕方ないのでさらにカットし、半斤分くらいのサイズにしたらやっと入った。トースターのスペックがショボいせいで夢の1斤焼きができなかった。とても悲しい。(ところでコレを書いている時に遅ばせながら「オーブンレンジのオーブン機能で焼けばよかったのでは?(そちらは高さ許容値が高い)」と気がついた。食べきる前に気がつきたかった……)
 とりあえず半斤サイズはハニートーストに仕立てあげるためにまな板に戻し、最初の3分の1カット分の中央をくり抜き、記念すべき初ロングロイヤルブレッドは目玉焼きトーストにした。くり抜いた中央に生卵を割り入れ、周囲にマヨを敷く。「オシャレかな?」と思い、くり抜いたパンを蓋にしてトースターに入れたのだが、……コレが失敗だった。パンの蓋が邪魔になって卵にまったく火が通っていなかった。仕方ないのでコゲコゲ覚悟で追加トースト(パンの蓋は取ってちゃっかり先食べ。こんがりトーストのパンはそれだけでもう大変美味しかった)。うっすら卵の表面が白く固まってきたところで待ちきれず食べ始めた(もっとも、それ以上焼くとパンの焦げが取り返しがつかなくなりそうだったのもある)。
 パンの表面部分はトースト効果でカリッカリ。そしてパン表面下の半分中身の部分や、半熟までもいかない半分生の卵の部分は、ふんわりな優しい甘さ。美味しい。分厚いトーストを食べているという情報でさらに幸せ。最高。
 もう1枚のカット余り(トースターに入らなくてカットした分)もトースターに入れたのだが、そこで次の問題が発生した。次の用事までの残り時間が少なくなったのだ。
 おりしもこの日は出かける用事が入っていた。これからハニートーストを作って食べている時間はない。そんなことをしたら遅刻してしまう。

泣く泣くハニートーストの予定は次回に回し、さっきのカット余りだけをトーストにし、バターを塗って食べる。美味しい。シンプルゆえにパンを味わえて大変良い。でもやっぱりハニートーストを全部諦めるのは辛くて、途中で蜂蜜と買ったばかりの生クリームを追加で乗せて味わった。味はだいたいハニートーストである。甘くて幸せだ。
 結局切り出した半斤分は袋に戻し、予定をこなすために出かけた。いつもならついでに予定終わりにカフェやファミレスなどで外食して帰ることが多いのだが、この日ばかりは立ち並ぶ飲食店をスルーしてまっすぐ帰宅することができた。いつもなら誘惑に負けてつい外食し、食費にげんなりしてしまうのに。なにしろ帰ればハニートーストが待っているのだ。浮気している場合ではない。ハニートーストすごい。長い食パンすごい。

帰宅し、さっそく夕食用に半斤分の加工に入る。この半斤分はこれからハニートーストになるのだ、という事実に興奮しながら、パンのふわふわの中身を底を残してくり抜き、くり抜いた中身を4等分にカット。でもこの中身カットはもうちょっと小さくカットしても良かったなと後で思った。外の器になる部分と、くり抜いた中身をまとめてトースト。バターを塗り、ホイップクリームとアイスが溶けないようにパンを少し冷まし、くり抜いた中身を戻して蜂蜜をかける。アイスをのせ、ホイップクリームを絞り、ミックスベリーを乗せてさらにホイップクリームを欲望のままに絞る。仕上げに追い蜂蜜。写真を撮るのもそこそこにさっそくフォークを中身に突き立て、くり抜きパン(と思われるもの)ごとクリームやアイス、ベリーを引き上げ、口に運ぶ。甘い。幸せだ。とても幸せだ。でもホイップやアイスにまぎれて中身のくり抜きパンはどこにいったかなかなかわからなかったので前半はほぼホイップクリームを食べていたのに近かったのは秘密。外壁も手でちぎりながらクリームとアイスをつけていただく。本当はナイフでカットしながら食べればお上品なのだろうが、ここは家だ。人目も無い。遠慮なくそのまま手で行く。指についたクリームを舐め取る。たまらない。幸せだ。
 気づけばあんなにあったハニートーストは姿を消していた。物足りなくて追加で厚めにパンをスライスしてトーストし、蜂蜜とホイップクリームでまた簡易ハニートーストにして食べた。実際こっちの方が食べやすかった。どうやら1斤丸ごとハニートーストは食べにくい。でもテンションが上がるのは断然1斤丸ごとだ。それだけは間違いない。

 次の日、朝食はやっぱり半斤ハニートーストにした。たとえ食べにくくても、ビジュアルというのは大事だと私は思っている。ビジュアルがいいのでついでにコーヒーにもホイップクリームを絞った。良い。いわゆるウインナーコーヒーというやつだ。
 しかしここで悲しいことにホイップクリームが無くなってしまった。500mlもあったのに。一昼夜で無くなるとは何ごとか。後ろのカロリーを見たら100mlで350kcalくらいと書いてあったので見なかったことにした。あすけん(食事記録アプリ)への入力もお休みすることにした。まあたまには高カロリーな食事もイイヨネ……高カロリーなものって美味しいカラネ。……

 お昼ご飯はサンドイッチにした。贅沢に厚めに切ったパンでのサンドイッチ。薄いパンのサンドイッチもそれはそれで美味しいけど、私は厚切りパンのサンドイッチも大好きだ。いつもは面倒に感じる具材の用意も楽しく感じる。卵&マヨ、ツナマヨ、キャベツ、ハム、オニオンスライスを用意し、卵ハムサンド、ツナマヨサンドを作った。具材をたっぷり挟んでも厚切りパンのおかげでしっかり受け止めてくれている。たまらない。美味しくいただいた。

 そして夕食。気づけばあんなにあったパンに終わりが見えていた。おかしい。まだそんなに食べていないはずなのに。実は昼にサンドイッチ用パンを切り出している時に残り少ないことに薄々気づいてはいた。でも見ないフリをしていたのだ。とはいえまだパスタトーストをしていない。しないまま終わることはできない。というわけでしっかり半斤分のパンは確保しておいた。本当は1斤分でしたかったけど、トースターに入らないから仕方ない。でも2つ作るのはそれはそれで面倒だったので、半斤にした。コレでイタリアントマトもどきを作るのだ。もちろん味は知らないので雰囲気だけだ。きっと本物とは似ても似つかないのだろう。ああ本物も食べたい。
 パスタを茹で、ケチャップとコンソメで味付けした具材と絡める。くり抜いたパンに詰め、小麦粉、バター、牛乳で作ったレンチン簡易ホワイトソースをかけ、チーズをたっぷりかける。トースターに入れてトースト。チーズとパンの香ばしい香りが漂ってくる。たまらない。
 熱々のうちに、中のパスタから食べ進めて行く。パンが触れるくらいの熱さになってきたら、パンをちぎり、パスタ&チーズをそっと乗せ、まとめて口に放り込む。美味しい。カロリーと脂質の暴力にさらされて幸せ気分に浸る。最高の気分だ。

 こうして私は2日で1人でロングロイヤルブレッドを食べ切ってしまったのだった。どうしてこうなった。残ったら冷凍とは何だったのか。残らなかったよ。なんなら気持ち足りないくらいだったよ。カロリー的には完全に食べ過ぎだよ。でも幸せになれたからヨシ!

 ちなみに2日間に渡って私をこんな幸せ気分にしてくれたロイヤルブレッドは私が買ったスーパーではお値段税込591円でした。5食で食べたので1食平均約118円(パンのみ)。普段は1斤100円くらいの安めの食パンを3食くらいに分けて食べてるから、それに比べるとちょっと割高。でもその価値は充分すぎるくらいにあったプチ贅沢って感じ。外食よりは断然安いしね。何より家に長い食パンが待ってるというのはテンションがとっても上がる。あとロイヤルブレッドだったので安め食パンより断然美味しい(個人の感想)。正直またやりたい。

 興味があればあなたも是非ロング食パンを買ってみて家にロング食パンがある体験を味わってみてほしい。私にとっては最高の体験だった。もちろん食べきれなかったらスライスして冷凍保存もできるからね、安心してほしい。

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