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器が壊れた『日記:2024.5.7』

今日は個展を見に行きたくて街に出た。

急いで選んだ靴がえぐ高いヒールだった。

まあ行けるだろうと思って急いでバス停まで走った。

個展は無事鑑賞し終えて、観たかった映画の公開に向けて映画館へ向かう。

真逆。

来た道と真逆。

あんまり歩かないと思っていたら結構歩いたし、大丈夫だろうと思っていた足が悲鳴をあげ出した。

早く着かないとと早足になるが、多分早足なんかじゃなくて、ちょっと遅めに歩いてた成人女性が、普通の速度に戻った程度だった。

信号が青になって、ゆっくり歩いていた親子を抜かして歩いた。

ヒールが意味分からんくらい捻って転びそうになった。

ヒールを持っているとこんなことも予測出来るだろうが、私はとにかく毎日がニートなので、働いていた時や学生時代のヒール生活とは訳が違う。

両足の裏がヒリついた。

私は絶望を抱えながら、映画鑑賞を断念した。

平然とした顔で電車を待つ。

電車に乗り込んで端の席に座る。

お年寄りが多かったかもしれないけど、私には自分の足の裏がヒリついていることしか考えられなくて、もし「譲れ!」と怒鳴られた場合、靴下を脱いで足の裏のヒリつきを見せようとまで考えて目を瞑った。

人に何かを譲ることは今の私には到底出来ない。

なんなら心の余裕も持ち合わせていなかったから、優先席に座って欲しいまで思った。

優先席を指名制で譲って欲しいとも思った。

器が小さい。

足が痛過ぎると、器が小さくなる。

いやもう、壊れた。

粉々である。

器が回復するまで、私は人に優しくすることが難しいかもしれない。

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