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熱く燃える欲望、冷たく光る銃口。最高にキレまくってる萩原健一を見たいなら! 「いつかギラギラする日」(1992)

公開の約3年前に松竹株式会社専務取締役に就任した奥山和由が深作欣二とタッグを組んだアクション映画です。

北海道を舞台に、萩原健一、石橋蓮司、千葉真一らのベテランギャングと、若き野心家の木村一八、裏切り者の荻野目慶子との間で現金争奪戦が展開されます。

監督: 深作欣二
脚本: 丸山昇一
製作: 奥山和由
出演者: 萩原健一 / 木村一八 / 多岐川裕美 / 荻野目慶子 / 石橋蓮司 / 千葉真一、他
製作会社: 日本テレビ放送網 / バンダイ / 松竹第一興行
配給: 松竹
公開日: 1992年9月12日


あらすじ

神崎(萩原健一)は昔の強盗仲間・井村(石橋蓮司)が入院している精神病院に行く。

井村は在日韓国人で妻と娘もいたが、事業に失敗して借金あった。借金のことやそれによって家族に捨てられるのではないかという精神的なストレスなどで、入退院を繰り返していた。

神崎は井村に、強盗をして借金を返済をしようと誘う。

仲間になった井村を連れて神崎は北海道に飛んだ。2人は仲間の柴に会いに行く。

柴(千葉真一)は恋人の麻衣(荻野目慶子)とよく行くクラブで角町(木村一八)という若者と出会い、意気投合していた。タイミングよく角町が一緒に強盗をする仲間を探していた。

神崎達は角町に会い、わざと銃を突きつけて殺すフリをした。しかしそれらに動じず、機転を利かせて逃れようとしたことで度胸を見せた角町。その対応が気に入った神崎たちは、4人で洞爺湖にあるホテルの売上金の強奪を行うこととなる。

4人はホテルの売上金が現金輸送車で銀行に送られる間を狙い、まんまと強奪に成功する。計画前の予測では売上金は2億円だと思われていたため、5000万円ずつを山分けという事になっていた。しかし奪ったアタッシュケースには5000万円しか入っていなかった。

仕方ないと納得する神崎・柴に対して、井村は借金返済や家族のことでパニックになり、銃を向けて裏切るような素振りを見せる。しかし神崎が説得し、4人で5000万円を山分けすることに了承する。

しかし今度は角町が拳銃で井村と柴に発砲、井村は即死し柴も胸を撃たれて重症を追う。神崎は危機回避のためにその場を一旦離れ、角町は姿を消した。

神崎は柴を医者に連れて行ったあと、角町を追った。その角町は柴の家に行き、麻衣を殺す予定だったが、逆に背後から銃を突きつけられた。実は角町と麻衣は計画以前からデキており、強盗を行った後に柴を殺害して金を奪う計画を立てていた。

しかし角町は一人じめしようと考え、麻衣の殺害を考えたのだった。

角町は現金が5000万円しかなかったことを麻衣に話すと、麻衣は角町の手を手錠でベッドに繋ぎ、車の鍵を奪って金と一緒に逃走した。しかし自分が一人ぼっちになることに耐えられず、結局角町の元に戻る。

角町は自分が経営しているライブハウスの立て直しのためにヤクザから借金をしていた。神崎はそのヤクザの事務所に乗り込み、「角町が返しに来た5000万円を返せ!」と組長(八名信夫)に拳銃をつきつける。

しかし返しに来ていないことがわかると、「あれは俺の金だから絶対に手を出すな!」と言って去っていった。

コケにされた組長はたっちゃんと呼ばれる殺し屋(原田芳雄)に、神崎と角町の殺害を依頼した。

ここから神崎・角町と麻衣・ヤクザ達の三つ巴の戦いが切って落とされるのだった。

なんといっても醍醐味はカーアクションである。木村一八が3人を裏切り、建物を爆発させながら、その横を赤いファイアーバードで走り去るシーンから圧倒される。

その後は神崎が乗る4WDのテラノとの追いかけっこ。それに八名信夫率いるヤクザ達の黒い車(おそらくクラウン)が追いかけ、それら3組をさらにパトカー軍が追いかけるという展開。

パトカーがどんどんと破壊され、それに巻き込まれる観光バスが横転したりと、日本映画ではなかなか見られないカーアクションが目白押しだった。

萩原健一が乗るテラノ、木村一八が乗るファイアーバード、共に新車を2台ずつ完全に破壊したそうで、それ以外の車の破壊、ライブハウスなども爆弾で破壊させているためか、当初の予算3億円が11億円に膨れ上がったらしいです。

ワタシ的には大変面白く、今でもストレス発散のために見ることがありますが、興行的には振るわず、膨れ上がった制作費のために制作会社1社が倒産しています。

萩原健一、木村一八、荻野目慶子は常にキレまくり、殺し屋の原田芳雄は何考えてるかわからない不気味な男を演じており、かなりイッてる作品です。

唯一と言っていいかわかりませんが、組長役の八名信夫には少しだけですが喜怒哀楽が垣間見え、殺し屋を雇ってるのに、結局周りに振り回されているような役どころでした。それがなんともいえず可愛いというか癒やしっぽく見えるのが不思議です。

終始怒っていた萩原健一が、ラストでワクワクしながら笑ってバスの停車ボタンを押すところ、そこで流れる「ラストダンスは私に」がスッキリしたエンディングとなっていて素晴らしかった。

もう、ただただキレまくっているショーケンが見たい方は是非に!


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