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1本のニュースから、技術の進歩と企業のつながりを知る面白さ(後編)

ニュース記事をきっかけに、企業が取り組んでいる技術開発を紐解いていくと、なかなか面白いよ! というお話を、ユニクロが先月発表した 植物由来ポリエステルを含む製品 のニュースを例にご紹介した前回。


このnoteの内容を、ざっくりツイートで振り返ると、”サスティナブル” というキーワードでニュースを眺めるようになって、早速飛び込んできたユニクロのニュースがあり、紐解いてみると、技術は東レであることまでがニュースでわかり…

じゃあ、その東レの技術について具体的に知りたいぞ!と検索をしてみると、コレ!と思われるものに行きつく。そして、原料の一部が植物由来で、100%ではないんだなということが理解でき…

でも、より持続可能な繊維として、100%植物由来の繊維を製造する方法は、世界中でされているよね? 東レはどうかな? と探してみたら… というところまでが前編。

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さて、後編では、植物由来ポリエステルでユニクロと提携している東レの取り組みについて追いかけていこうと思う。

早速、こちらのニュースから。

"東レ、100%植物由来のポリエステル繊維の試作に成功。"

非常にわかりやすいタイトルの通り、東レはすでに100%植物由来のポリエステル繊維の製造に(試作段階だけれども)成功しているのだ。

ポリエステル繊維の原料となるPET(ポリエチレンテレフタラート; polyethylene terephthalate)は、テレフタル酸とエチレングリコールという2つの化学物質を重合(ポリマーを作る反応)させることで製造する。そのうちのエチレングリコールのみ、サトウキビ廃糖蜜(砂糖を製造するときに出る副生成物)を原料として作っているのが、既存製品であるエコディア®だ。PET製造に必要なもう1つの物質であるテレフタル酸は、植物由来ではない、というのは前編で解説した通り。

これに対し、このニュースでは、植物由来原料を使用したテレフタル酸の製造に成功したことを報じている。

この成功には、アメリカのベンチャー企業バイレント(VIRENT)の技術がある。バイレントは、再生可能資源(同社の場合は、サトウキビやトウモロコシなどの植物原料を使用している模様)から、燃料や化学薬品を製造する技術に強みを持つベンチャーだ。そのプロセスは触媒を用いた化学的手法で、特許も多数保有している。


すでに実用化されている植物原料からのエチレングリコール生産に比べて、テレフタル酸を植物原料から製造するプロセスは容易ではない。そこで再生可能原料からの物質生産に特化して技術開発をしている企業と手を組むことで、より早く、100%植物由来ポリエステル繊維というゴールを目指そうという戦略だろう。


ユニクロという、一般消費者にとって非常に身近な企業のニュースを紐解いてみると、最終的にアメリカのベンチャー企業の技術に行き着く。これはほんの一例だが、食品でもヘルスケアでも再生可能エネルギーでも、持続可能な社会の実現を目指して、世界中で大小のつながりが生まれ、技術革新が進んでいるのだ。

そんなことを考えながらニュースを読むのは単純に面白い。そして、未来がちょっと明るく思える。ぜひ、頭の片隅に、企業のつながりっている世界を想像しながら、ニュースを紐解いてみてほしい。


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