この曲のココが気持ちいいぞ!    ~「ノーサイド」/ 松任谷由実    ユーミンその③

「ノーサイド」(1984年)/松任谷由実
作詞・作曲:松任谷由実

驚くべきことに、ユーミンファンならずとも一度は涙したことがあるこの名曲、シングルじゃなかったんですね。
しかも、もともと麗美という松任谷正隆さんプロデュースのアーチストのアルバム収録曲として発表されたあと、ユーミンオリジナルアルバム『NO SIDE』でセルフカバーされたとのこと。
な!?
こんな宝石みたいな曲をひとまず他の人に提供していたとは!

青春をラグビーに捧げたであろう若者を、遠くからじっと見守る女性の視点で表現された作品。
聴いてる方は、選手たちが勝負を終えた夕暮れのグラウンドをありありとイメージできる。
「♪何をゴールに決めて 何を犠牲にしたの?」
どうやったらこういう詞が書けてしまうんでしょうかね。

で、まずイントロね。なんと美しいんでしょうか。
イントロが印象的な曲は邦楽の中でも多々あれど、美しさで言うとトップオブトップに入ることは間違いない。

キーはCなのですが、歌いはじめのコードはDm7です。
それは全然普通のことなのですが、こういった途中のコードで始まる曲って総称があるんですかね?
ユーミンの曲ではけっこう多い。

で、Aメロなんですけど、おんなじメロディの繰り返しなんだけどコード少し変えてるのよね。

だからどうってわけでもないのですが、それなりのこだわりがあるのでしょうね。ユーミンですからね。

あとね、「♪ゆるやかな冬の日の・・」のところも、流れ的にはBm7→E7ってしたくなる流れなのですがそうしない。

E7のベースをどうしてもG#にしたかったから、手前をAm7のままにしたのかなぁって。知らんけど。
ちゃんとしたこだわりがあるのでしょうね。ユーミンですからね。

で、曲の気持ちいいところはですね、上記のような細かい話ではなくて、Bメロ終わってジャーンってCメロに入ると同時にスコーんとFキーに転調するところね。

あまりに自然な転調なので、油断してたらスルーしてしまう。
でもね、ここ転調せずCコードでサビに入ると、盛り上がり方が全っ然違う。

では、転調したのはいいけど、どうやって2番は元に戻ったん?って話になるわけですが、Cメロ終わりでキチンと後始末をしているわけです。

C7sus4→C7のあと追っかけA7sus4→A7を重ねることによってCキーに戻りやすくしてる、と。ま、ユーミンと正隆さんにしてみればどうってことないアレンジなんでしょうけどね。

2019年に日本で初めてラグビーワールドカップが開催され、日本全国で想定以上に盛り上がったのは記憶に新しいところですね。
にわかラグビーファンが各地で爆増してました。
その2019年暮れのNHK紅白歌合戦の話が、Wikipediaに書かれています。

2019年12月31日放送の『第70回NHK紅白歌合戦』にて松任谷由実により、発表から35年を経て初めてテレビで歌唱された。当日は日本で開催されたラグビーワールドカップ2019に出場した日本代表のメンバーの前で披露され、歌唱後には日本代表の田中史朗が感極まって涙声になり、松任谷も「この歌に、こんなチャンスを与えてくれてありがとう! トップリーグ見に行きます!」とコメントした。

Wikipedia

人の心を打つ曲っていうのは、35年程度の時間なんて軽々と歌われ続け、残り続けますね。

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