書くこと以外にライターができること
Culture Cruise(カルチャークルーズ)というWebサイトを立ち上げてもうすぐ7年、インタビューを始めてからは4年が過ぎました。
インタビューカテゴリーでは、ミュージシャン・アーティストの方の記事をメインとしています。
さまざま振り返れるほど経験を重ねているわけでも、熟達しているわけでもないですが、現段階の自分にとっての備忘録として綴ります。
というのも、先日行なったインタビューで考えるきっかけをいただいたのです。
現在編集中の記事で、あるグループの方々への取材です。
記事を出すことがゴールではない
今回は楽曲のリリースインタビューだったのですが、リリースを超えたインタビューといいますか、とても実のあるお話をたくさんしていただきました。
実際のところ、リリースインタビューというのはそんなに深いところに入っていかなくても成立できてしまいます。
どんな曲ですか?どこが好き?歌詞の意味は?と曲について質問すれば、新曲なのでどんな言葉でも新しい情報になります。
だから今回深いお話をしてくれたのは、尚更ありがたいことです。
体裁が整えばプロモーションになってしまうし、インタビューってだいたいこんな感じですよねっていうパターンが誰の中にもある。
むしろ踏み込みすぎる記事は話が難しくなり、プロモーションから遠ざかってしまうきらいもあるわけで、そのバランスはもちろん必要です。
でも私にとっては、たとえ短い取材時間でも大切なご縁なので、読むかたにも単なる情報としてではなく、ずっと記憶に残るなにかが宿ってほしいですし、その先も何かしらの形で繋がれたら嬉しいと思っています。
いちライターにすぎない自分ではありますが
“ライター=記事を書く人”
“インタビュアー=話を聞く人”
という固定観念を壊したいとも思っています。だから記事を出すことがゴールだとも考えていません。
「誰が書いても同じ記事」を量産する未来
本当はこんなこと言わずに黙って取材して書く方がスマートだとは思うのですが、言わないと伝わらないのも事実です。
言わなければ、私のような無名ライターはいつまで経っても「誰が書いても同じ記事」を量産する未来しか待っていないと感じます。
他のライターさんは違うかもしれないですが、私はそうなのです。
無名ライターは星の数ほど生まれて、星の数ほど去っていく。そういう業界です。
ファンにとってみれば、推しが出てくれていればそれで安泰な気がしてしまいますが、「誰が書いても同じ記事」が出続けることで損をするのは、アーティストの方々だと私は思っています。
「誰が書いても同じ記事」って一体誰のためのものなんだろう?と思いませんか。
既存のファンによっていつもと同じように回遊されて、SNSでシェアされるのも同じメンバーで、だいたい同じ数のいいねがついて。
レーベルにとっては予定調和のプロモーション。
ライターは名前も覚えてもらえない。クレジットすら見てもらえないでしょう。そもそも名前が載らない場合もあります。
そうするとライターも本気で書かなくなります。
当然良いライターは育たず、良い記事もメディアも生まれない。
中身の薄い記事でも推しについての内容ならリポストしてもらえるので、メディアはどんどん楽をします。
アーティストがどんなに良い作品を出しても、それを伝えるメディアによって、活かせないどころか台無しにされてしまう可能性だって否定できません。
記事だけではなく、コンテンツや作品として世に出るものすべてに当てはまることだと思います。
“記事を書く”の先に行く
応援したいと思えるアーティストさんに出会っても、インタビューにしろレビューにしろ、記事を出すだけでその先につながらないのは歯がゆい気持ちになります。
自分が何者でもなさすぎて、これ以上のプロモーションのお手伝いをすることができないという限界を感じます。
ライターが他にできることってないのかな? この7年弱、記事を書く以外に踏み出せたことなんて何一つなかったなと悔しくなることもあります。
記事を公開して、一度読まれればそこで役目が終わってしまうので。
そこで
Instagramで取材日記を書く
“記事ができるまで”のnoteを書く(→プラットフォームの分散)
日にちをずらしてアザーカットを連続投稿する
チェキのプレゼント企画
その後のライブレポートにつなげる
このようなことを考えてきました。
でもまだまだ工夫が足りないですし、試みとして正解なのかも分かっていません。
結局は“書く”の先には行けていない気もします。
そこに来て今回のインタビューで、リリースを超えたお話をしていただけたことで「この言葉が本当に届くべきところに届いてほしい」という気持ちが強まりました。
「記事を公開しました!」とSNSで告知するだけでは、その感謝の気持ちには及ばないだろう、と公開前の今から感じています。
だからどうしても、Culture Cruiseがもっと大きければ…と考えてしまうし、何度でも読んでいただくための工夫を、私自身がしていかなくてはと思います。
ここで学んだことを原動力として、次の一歩に変えていけたらと思います。
※後日追記:
▼このnoteで取り上げた記事はこちらです。
公開されたので貼っておきます。
最後までお読みいただきありがとうございました!
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