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一人ではないひとり

フリートウッド・マック(Fleetwood Mac)が、解散したというニュースを見つけた。
リーダーのミック・フリートウッドが、以前のインタビューで「今後演奏する予定があったとしても、フリートウッド・マックとしてではない。バンドはもう終わりだと思う。」と語るなど、事実上解散状態だったが、最近のインタビューでスティーヴィー・ニックスがバンドの終わりを宣言したようだ。

2018年にリンジー・バッキンガムが解雇された後、バンドはクラウデッド・ハウスのニール・フィンや、トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズのマイク・キャンベルを加えて大規模なツアーを行った。スティーヴィー・ニックスは、ツアーを楽しめたし、出来にも満足だったようで、バンドの新しい形に可能性も感じていたようだ。しかし、2022年11月にクリスティン・マクヴィーが脳卒中で亡くなってしまう。

スティーヴィー・ニックスにとって、盟友の死はとてつもなく大きなダメージで「誰も彼女の代わりにはなれないと感じた。代わりなんていない。彼女なしではできない。フリートウッド・マックをつづける理由はない。」とも言っていた。
リンジー・バッキンガムも和解が成立しているものの、2019年に心臓疾患が悪化、緊急開胸手術を受けており、その不安も要因にあり、早期の復帰は無理と判断したようだ。

私が“マック”を知ったのは、77年リリースのアルバム「噂 (Rumours) 」がグラミー賞最優秀アルバムを獲得したというニュースを「ぎんざNOW」の洋楽コーナーで見たのが最初。
その時は小学校6年生の三学期、クイーンやキッス、チープ・トリックに夢中で、こんな大人のバンドを聞くとも思わなかった。

そんな“マック”の曲を聞くキッカケになったのは、高校1年の時、ニッポン放送「日立ミュージック・イン・ハイフォニック」。オフコースのメンバーがおすすめの曲を紹介する企画で、ギターの松尾一彦さんがリンジー・バッキンガムの「Trouble」をラジオで紹介していたこと。
リック・ターナーのエレアコ(ギター)の音に惹かれてしまい、ちょっと背伸びをして、アルバム「Law and Order」を黎紅堂で借りた。

Rick Turner Model-1

翌年には“マック”のアルバム「ミラージュ(Mirage)」から「Hold Me」がヒットし、「ベストヒットUSA」や「ファンキートマト」など日本でもビデオクリップが流れる。
“マック”=リンジーのバンドという感じで「ミラージュ」を借りた。シングルの曲は馴染み深いものの、当時高2の私には少し大人すぎたな。

“マック”には、そんな邪道な入り方をしてしまったが、「タンゴ・イン・ザ・ナイト(Tango In The Night)」の頃には二十歳を超えていたのもあってか、スーッと入っていけたし、遡って過去の作品、もちろんソロの作品も心地よく聞けた。そしてリンジーのギターよりも、“マック”の最大の魅力であろうハスキーボイスのスティーヴィー・ニックスとクリスティン・マクヴィーの濡れた声という両極のボーカルにじわじわとヤラレていったのであった。

“マック”の音楽は、シャーデー(Sade)とともに、聴くとリラックスできる、いい意味でのお昼寝音楽でもあった。

スティーヴィー・ニックスは、これからのソロ活動の中で“マック”を歌い繋げていくという。

ステージに立つと、自分のバンドをとても誇らしく思う。
今はやりたいことが何でもできるし、立ち止まってフリートウッド・マックに戻る心配もない。
私のセットには、フリートウッド・マックの曲が満載、フリートウッド・マックがなくなった今、ソロでやったことのないバンドの曲をやるための扉も開いた。
私はできる限り、フリートウッド・マックの音楽を生き続けさせるつもりよ。

Mojo スティーヴィー・ニックスのインタビューより

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