見出し画像

cucumuのニットができるまで - 職人の技術 リンキング縫製 -

KINDNESS-CREW NECK KNIT  - Joha-

以前ブログでもご紹介したように、Johaは襟に工夫を凝らしており、身頃に負けないしっかりとしたつくりになっています。

記事はこちらから

襟を付ける際にリンキング縫製を用いています。

こちらの八角(やすみ)を使用し、本体と編地をはさむ方法で襟を付けています。
八角とは継ぎ合わせる部分をかがり縫いしていく機械です。

縫製とはいえ、製品の継ぎ目が目立たないため、着用時のごろつきもありません。

縫い目の厚みを抑えることで、製品を高品質に仕上げることが可能であり、見た目には継ぎ目もわからないほど馴染みます。

Johaにこの技術を用いたことには理由があります。

*強度のある襟
しっかりとした重厚感のある身頃を支えるためには、強度が必要でした。
襟は、身頃と別のパーツとして編み、身頃を挟み込むように仕上げ、身頃に負けないしっかりとしたつくりにすることで、丈夫にしたいと考えました。

*キュッとした襟
頭を通すときにストレスがないよう、伸縮性をもたせたいと考えました。
ストレッチ性のある化学繊維素材を用いることもできましたが、天然素材を用いるため、伸縮する方法を素材ではなく技術面で見出す必要がありました。

挟み込みでの縫製は一目一目継ぎ合わせるため、強度も高く、型崩れを起こしにくいことが特徴です。

また、伸び縮みする編地同士にかがり縫いをすることによって、伸縮性を活かすことができます。襟ぐりもきれいに戻ります。

Johaの襟には、リンキング縫製が最適でした。

リンキング縫製の流れ

1:襟をクシに一目一目さす
はじめに裏側から縫製します

2:身頃を襟とのバランスを見ながら、襟の上からクシにさす
目数を考えながら、襟と身頃の継ぐ部分を均等にクシをさします

3:1で目を通した襟で身頃を挟み込むようにクシにさす
一つの目こぼれも許されない正確さが必要であり、非常に緻密な作業になります
挟み込むことによって、強度を増します

4:縫製し継ぎ合わせる
右手にあるハンドルを回していきます

Johaは5G※のローゲージニットなので、比較的編み目が大きいですが、さらに細かい18Gなどのハイゲージでは非常に細かい編み目になります。
※G…ゲージ 1インチ(約2.54cm)内の針の密度、すなわち針数を表します


実際に体験をしても目落ちをして失敗したり、時間もかかってしまいました。
何回もやり直したり、引っ張りすぎると編み目が整いません。
難しい工程であることを身をもって実感しました。

一着ずつ襟を付けていくことは技術と時間を要します。
緻密な作業に、継承していくことも難しく、職人さんも減ってきています。

技術を繋いでいけるよう、一人でも多くの方にリンキング縫製を知っていただけたら嬉しいです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?