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日本は貧しくなった

 日本は貧しくなったと、実感するようになった。

 特に感じるのは、「負担を次世代に押し付けて今を生きるのが普通になってきている」事。以前は、介護を受けるようになる世代が、今は介護をする側に回っている。そして介護している世代を支える30代40代…というイメージ。

 私の周りでいうと、30代で介護+仕事+家事をしている独身の友人がいる。彼は、自身も恐らくは先天的なものもあって肥満気味で健康的とは言えず、また介護と仕事で休みもろくにとれず、当然結婚などしている余裕もなさそうに見える。常に親の酸素ボンベを気にしている様子を見ると、子供を作る事などとても現実的には思えない。

 私が小学生の頃、「なぜ新興国は子沢山で人口が増加しているのか?それは子供に家計を支えてもらう為だ」という新興国の常識に、当時はショックを受けた。今思えばありがたい時代であり、ありがたい家庭に生まれたものだと思う。それが今や「ヤングケアラー」という言葉が誕生し、日本でも新興国の常識が浸透しつつあるように感じる。

 「ヤングケアラー」が大人になる時、「ヤングケアラーの再生産」のような状況になってもおかしくはないし、私はそれを責める事など出来ない。勿論、ヤングケアラーだったからこそ、自分たちはそのような形では子供は持ちたくないと考える場合も多いとは思う。ただ、個人的な感覚で言うと、自分が親にさせられた事を、自分が親の立場になって、子供に求めるのは別に不思議な事ではない。

 ところで、幸いにも私には兄妹がおり、兄妹はそれぞれ家庭と子供を持ってくれている為、私はプレッシャーもなく、比較的のんびりと親を緩やかに支えていけている。

 あとは、あまり将来世代に出来るだけ迷惑を掛けぬよう、生涯現役で仕事をし、少し早めに死ぬだけでいい。ただこのような「贅沢」も、次の世代では難しくなってくるのだと想像すると、少し申し訳なく、可哀想に思えてくる。

 

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