デザイン視点で考える「らしさ」を作る方法
こんにちは、デザイナーの小泉です。 私は社内報や学校案内、教材のコンテンツデザインなどに10年以上携わっています。
時々クライアントから「センスにお任せします」と言われることがあります。
そのような場面で、デザイナーは生まれつきセンスがある「感覚的な人」だと認識されているのだなと感じることが多いのですが、私は実際は「論理的に考える人」だと思っています。
デザイナーは自分の内側から湧き出てきた動機ではなく、外部の情報からデザインする対象についての目的やストーリーを把握し、それらを踏まえてデザインする必要があるからです。
私が大切にしているのは自分の持つ「センス」ではなく、いかにその企画の「らしさ」を表現するかということです。
今回は広報誌の制作プロセスを例に、誌面を仕上げるまでに、私がどのようなステップを踏んで 企画の「らしさ」をデザインしているのかお話ししていきたいと思います。
誌面をデザインするまでの3ステップ
STEP1 知る
まず、企画の背景をよく知るということが第一です。
クライアントに今回のテーマを取り上げる理由、目的、現状課題をヒアリングする
キーワードを洗い出す
キーワードの意味を3つの視点(自社、市場や顧客、競合)から調べる
STEP2 定める
次に、集めた情報の優先度を決めます。
読者のメインターゲットを設定する(人物像を具体的に深堀りする)
どんな人に、何を、なぜ、いつ・どこで、伝えたいのか整理する
キーワードを元に、コンセプトを決める
上記を、コンセプトシートとしてまとめる
STEP3 形にする
いよいよ手を動かしながら具体的な形にしていきます。 STEP2で整理したコンセプトシートをもとに細かなデザインルールを検討し、誌面全体の統一感を持たせます。
STEP2で洗い出した内容をデザインに反映する
どんな形、色、フォントだと伝わりやすいか
例えば「多様性」というキーワードから、有機的なデザイン、カラフルなあしらいが合いそうなど、企画の背景を掘り下げていくことでデザインのトーン&マナーを決めています。
広報誌にはさまざまな企画テーマがありますが、デザイナーはこれらのステップを経て、それぞれの企画の特色 ──「らしさ」を引き出し、読者により伝わる表現を生み出しているのです。
今回は広報誌を例にしましたが、私はサービスサイトやロゴマークをデザインをするときも同じプロセスでつくっています。
「センス」のみに頼るのではなく、企画の背景や内容、読者と誠実に向き合い、「らしさ」を形にしていくことが、結果としてクライアント自身も気づいていないような魅力を視覚的に引き出し、企業やサービスの価値向上につながると思っています。