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【第4章】経営戦略に正解はなく、環境によって求められることは変化する

※「世界標準の経営理論」で学んだことのメモ一覧はこちら

第1章から第3章まででSCP理論とRBVの考え方が紹介されてきたが、理論が色々と出てくると「どれが一番大事なの?」という質問が必ず出てくる。2001年にDHBR(ハーバードビジネスレビュー)でもそのような特集が組まれていたようだが、本の中で書かれている結論は「SCPもRBVも、両方大事」というものだ。
その理由は前提としている競争の型が異なり、どっちが求められるかは競争環境によって異なるため、である。それはどういうことか、についても説明がされており、簡単ではあるが私なりに理解したことをメモとして残しておく。


3つの競争の型

型に関する研究については1986年にバーニー教授の論文があり、「企業の競争には3種類の型がある」と述べている。
1.IO型の競争
これは、産業・競争環境の構造要因が影響を及ぼす状況のことを意味している。IO型の競争では、競争環境が完全競争から完全独占に近づくほど収益性が高まる。ファイブ・フォースのフレームワークに基づいて状況を整理し、戦略を考えるのがとても有効が状況だ。
2.チェンバレン型の競争
この型の場合、業界内には既に多くのライバル企業が既に存在し、各社が製品・サービスによって差別を図り、激しい競争になるのを避けるのを前提としている。SCPの大枠の考えの中に共通点が多い気もするがが、この環境においては各企業が持つリソース(技術、知識、ブランド、人材など)が重要になってくるRBVの考え方がよりフィットしており分けた方が良い、という考えからこの論文では別物として分類された。
3.シュンペーター型の競争
最後に紹介するのが「確実性の高さ」「予測のしにくさ」を強調した3つ目の型だ。予測可能な業界なんて1つもないという意見もありそうだが、協調したいのは不確実の「程度」だ。業界によって、業界自体がまだ未熟で技術的、制度、経済性などの点で予測することが難しさ程度が大きいことがある。例えば新しく出てきた技術である、ビットコイン/ドローン/生成AIなどは制度の整備が追い付かない状況で技術だけが先に進化し、変化を続けているので不確実性の程度が高い。
このような業界においては「試行錯誤して、色々なアイディアを試し、環境の変化に柔軟に対応する」ことが一番重要になる。

競争環境の見極め方

3つの型を紹介したが実社会において業界がきれいに3つの型のどれか区分されていることは少ない。
具体的なイメージの例えとして入山教授は、自動車業界を紹介している。車は所有するものではなく手段として消費するMaaSのような考え方が広まりつつある状況において、各企業がそれぞれのリソースを活かして差別化を図ろうしている状況はチェンバレン型にあたると書かれている。一定の理解しつつ、EVのような自動車業界の根本から変えるような技術について検討が進んでいる状況に目を向けると、欧米企業が自分に有利な規制をつくろうとしているのはIO型の部分もあるのでは、個人的には思った。
いずれにしろ、業界において方が固定されることはなく常に変化しているので俯瞰して業界を眺め、将来を予測することが大事になっている。
そのためには、直近では生成AIのような新しい技術が業界にどのような影響を与えるのかを考え、ただ待つのではなく、能動的にアクションを起こせるようにしたい。

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