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エアとエアポート

①行きはプレミアムエコノミーで

相変わらずエアは高い。CSUNの日程に限ると、ANAエコノミーで34万もする。だが、少し日程をずらすと、なんと往復14万でANAのエコノミーがとれるではないか。通路側の座席指定は片道2500円。考えた末、急ぐ旅でもないし、とSEAL BEACHのホテルを3泊追加して、長めのフライトにすることにした。昨年はZIPAIRだったので、機内でお酒が飲めなかったのが残念だったからだ。もちろん安い切符なのでマイルはそんなにつかないが、この際、わがままは言えない。
さらに、出発5?日前になって、「プレミアムエコノミーに入札しませんか?」というメールが来る。入札?これ何?投資系のメールは速攻で迷惑メールフォルダー行きが普通なのだが、これ何だろうと、消す前にいったん検索してみる。おや、なんだか詐欺まがいではなさそうだ。。。2万から5万くらいで入札することができれば、余っているプレミアムエコノミーの席を売ってくれるらしい。普通に買えば片道20万以上するのに、約半額の10万程度でプレエコに乗れることになる。ものは試しだ。トライしてみよう。25000円で行きと帰りを入札してみる。
で、出発二日前?に、行きはめでたく入札できました!という連絡が来た。やった~。羽田のANAラウンジは使えるし、座席ではビジネスクラスのシャンパンが飲めるし、何より席は広くて足も延ばせる。今回、成田でなく羽田、それも深夜の出発なのだ。ANAラウンジが使えるというのは、大きなメリットだった。ま、エコノミーの座席指定の料金は戻ってこなかったが、良しとしよう。
で、ANAラウンジでえまったりと、深夜便を待った。深夜になるとフライトが少なくなるのでだんだんラウンジの人も減る。スパークリングワインを飲みながら、サラダやいなりずしをもらっていたら、名物の?カレーを食べそこなった。ご飯が一定量出てくるこのマシン、海外の方が珍しそうに写真を撮っていた。日本では焼き肉ややビジネスホテルでかなり一般的になってきているが、ご飯だもの、海外には無いかも。考えてみれば、誰が使ったかわからないしゃもじを共有するよりは、はるかに衛星的である。でもUDかどうかは微妙である。使い方がわからない日本人の高齢紳士が、ボタン操作にまごついていた。スタッフが素早く手伝っていた。これも合理的配慮だなあ。だが、USではこういった機器も、サービスロボットの一種としてデジタルアクセシビリティの対象になりそうだ。

プレエコの席は、幅も広く、フットレストがあり、とても快適だ。何よりCAさんのサポートが手厚い。私、安いチケットなんだけどなあ、と思いつつ、乗ってしまえば同じよね、と、しっかりシャンパンを頼む。

プレエコの座席が複数写っている
プレミアムエコノミーの席を入札でゲット!
足元のフットレスト
足もと広い。フットレストあり。

映画も数本観た。HOLDIVERはクリスマス休暇に寄宿舎に残らざるをえなくなった、学生と教師と調理師の話だ。最初はぶつかり合う3人が、次第に心を通わせていく展開で、今年のアカデミー賞には5部門でエントリーしたらしい。日本でも6月に「ホールドオーバー 置いてけぼりのホリディ」という邦題で公開されるという。3人の人生がそれぞれ深く、これをコメディのジャンルにいれていいのだろうかと考えてしまった。お勧めである。

映画の選択画面
HOLDOVERSの画面

ANAの機体には、トイレにもウォシュレットがついている。かつて共同研究をしていた頃、TOTOさんが「飛行機内のウォシュレットは要望が強いが、気圧の関係で難しい」と言っていたのを思い出す。開発には苦労があったんだろうなあ。国内では新幹線も、公衆トイレでも、ほとんどついているものね。日本の文化の素晴らしさ、UDの進展を実感する。

操作盤 縦に長く一般的なものより小さい
機内のウォシュレット操作盤

②LAXで見たUD


帰りはLAXで少し時間があったので、空港内を見て回った。売店で売っていた「空港」という絵本がとても良い。いろんな人が使うよね、というお客様の多様性に始まり、どんな仕事をしている人がいるのか、などがわかりやすく書いてある。赤ちゃん、若いカップル、車椅子ユーザー、杖をついた高齢者、大きな荷物を持った人、そして人種も多様だ。空港という場所が、いかにユニバーサルデザインでなければならないかが、よくわかる。このところ、地元で絵本の読み聞かせ講座に通っているせいもあり、アナログの本の良さを再認識しているところだったので、なんだかとても嬉しかった。

赤ちゃん、車いすユーザー、高齢者、荷物を持った人、若いカップルなどが描かれている表紙
LAXで売っていた「エアポート」という絵本
多様な人が使い、働く場として紹介されている
エアポートの中のお仕事も詳しく紹介されている

空港内のフードデリバリーのマシンは、CSUNでも紹介されていた、アクセシブルなセルフサービスキオスクだ。もう一般的に使われているんだなあ。

フードデリバリーもUDだ
アクセシブルキオスクはすでに一般化

トイレは昨年も紹介した通り、すでに多機能とか車いすトイレという表現ではなく、「ALL GENDER」だ。LGBTQ対応でもあり、異性介助を考えて大人用のシートがある。そもそも男性用、女性用のそれぞれに、広めの車いす対応ブースがあり、おむつ替えシートがあり、オストメイト対応もある。スーツケースと一緒に個室に入ることを考慮して、もともと全てのブース自体が広めなので、自走式の車いすなら使えるし、ベビーカーも一緒に入れる。日本のように、一個だけのアクセシブルトイレに、子連れから車いすから大きな荷物を持った人まで、多数のユーザーが集中するということはないのだ。サインの上にはQRコードもついていた。試してはいないが、おそらくスペックが確認できるのだろう。

サインとしては男女と子ども、車いすマーク
ALL Genderという表記のUDトイレ
広いアクセシブルトイレ シートもある
中はもちろんUDである

なお、帰路は普通にエコノミーで帰ったのだが、ここで見たフランス映画の「La Marginale」はすごかった。境界とかはみ出し者という意味の題名だと思うが、路上生活者の女性と、知的障害の青年のロードムービーである。主演の二人(コリーヌ・マシエロとヴァンサン・シャランベール)の演技が素晴らしい。ヴァンサンは本物の知的障害ではないと思うが、その優しさと正義感に打たれる。共演のダウン症の青年は当事者であった。見終わって、しみじみと余韻の残る、いかにもフランスの映画であった。昨年日本でも劇場公開されていたそうだ。飛行機に乗らないと映画を観なくなっている。反省。

主演の二人が映っている画面
映画Marginalの紹介画面

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