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会場でみつけたユニバーサルデザイン

1、会場の情報保障

いつものことながら、会場の情報保障は万全である。大きな会場では手話通訳や字幕が同時並行で最初からついている。遠くからも見えるよう、手話や字幕はスクリーンでも流れる。上記はLEGOのセッション風景である。また少人数のセッションでも、事前に依頼すれば、手話通訳者やキャプション(リアルタイム字幕)がつく。盲ろうの人は、触手話も依頼できる。
キャプションは、どうやら事前申請がなくても始めから付いているようで、どの部屋でもごく普通に存在し、私たちのような海外からの参加者には、大変助かるものであった。その方式もスマートである。セッション会場に設置されたQRコードを読みこむと、自分のスマホやタブレットに、リアルタイムで字幕が送られてくるのだ。

QRコードを示した紙
会場には必ずこのキャプションのためのQRが提示してある
スマホの画面上の字幕
どこの部屋でもスマホで字幕が見える

そして、いつも思うのだが、このキャプショニング、ものすごく精度が高い。WGBHのように、自社でキャプションセンターを運営しているところでは、会場で入力していたが、どこにもそのようなスタッフがいないことが多い。

会場で入力しているキャプショナー
WGBHのセッションにはその場で入力する人がいた

遠隔で入力しているのか、それとも音声認識か?自分のスマホやタブレットで普通に誰でも情報保障が受けられるということは、「目立たない」のだ。自分が聴覚障害なのか、私のように英語がわからないから使うのか、周囲の人には全く知られることはない。UDだ。
これは、とても大事なことだと思う。なんだか、日本の大学で、聴覚障害の学生の隣に座って一心にノートテイクをしているボランティア学生や、聴覚障害学生本人が、少しかわいそうに思える。どうしたって教室内で目立ってしまうし、さぼる権利もないって障害学生が嘆いていたよね。数少ない場合はボランティアとも一対一なんだから、さぼったら悪いじゃん、来るのが当然だよって言われるけど。。。もっと情報保障を必要とする学生の数が増えてくれば、一人くらいさぼってもいいのかも、なんて思う。そして、今はまだ誰かが遠隔ででも入力しているのかもしれないけど、いつか、スマホ自体の機能に入ってきて、それをオンにするだけで講義内容がリアルタイムの字幕やノートテイクになったら、と夢見る。高齢者や、今回の私たちのような外国人にも助かる仕組みなのにね。(Appleのセッションでは、アクセシビリティ機能の一つとして、リアルタイム字幕のベータ版が出ていた。ZoomやTeamsで一般的になってきたように、これもOSの基本機能になるのかもしれない。日本での普及が待たれる)

2,ネームカードの下につけるタグで自己主張

CSUNのタグは、他のお堅い学会と違い、ネームカードの下につけるタグが、結構楽しい。昨年もあったのだが、今年はラインナップが増えた気がする。いろいろな立場で、自分を示すタグが並ぶ。「初参加です」「CSUNはベテランだ」など、参加回数などを示すもの。自分を何と呼んでほしいかを「He」「She」「They」と同様に「Ask me」というのもある。私本人にまず聞いて、という意味だろう。LGBTQに対する意識を感じる。UDだ。

状況を示すタグバッジ
参加度合いや、何と呼んでほしいかを示すタグ

コロナになって始めたと思われる「握手OK!」「肘ならいいよ!」「ハグ大好き!」から好きな接触レベルを選ぶ。私は昨年も今年も、もちろん”Happy to Hug!”である。「手話できます」というのも、もちろんある。また「A11y Nation」や「Inclusion Revolution」もある。A11yとは、accessibility のAとYの間に、11文字あることから、アクセシビリティを示す短縮語であり、CSUNの中ではこれも一般用語として使われている。だからこのタグは、「アクセシビリティがしっかり普及した国」や「インクルージョン革命」というところだろうか?もちろん、まだ夢ではあるが、目指しているということだろう。更に「仕事探しています!」と「社員募集中です!」もペアで置かれている。障害のあるエンジニアやデザイナーが、高額で転職する市場であることを思い出す。私も5枚ほどタグを持って帰った。

タグバッジの二つ目
コロナでの接触方法や、UDへの思い?が並ぶ


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