地域におけるグループエクササイズの提供/芳野陽子さん
今回は、大阪市で活動されている運動指導員・トレーナー芳野陽子さんの活動事例を紹介します。
自己紹介
ルネサンス運動支援センターで運動指導員をしております芳野陽子です。
今の仕事に就く前にはスポーツクラブや急性期病院のリハビリテーション科で運動指導をしておりました。そこでも様々な病気の方に接する機会がありましたが、「がん」という病気は他とは違う点があるなと感じます。
がんという病気
一生懸命からだに良いことを心がけてこられた方でも「がん」に罹患されます。そのような方は「なんで私が?私の何が悪かったの?」と困惑、怒りを感じている方もおられます。
また、健康診断でがんがみつかり「急に病人になりました。今後のことを何も考えられないんです」とおっしゃる方も。
治療はどんどん進化して、「がん」は治る病気になってきています。それでも突然罹患し、精神的にもつらくなる方が多いのが「がん」という病気だと思います。
取り組みの紹介
私はかねてから地元のがん患者さんに運動指導をしたいと思っており、2022年より区民センターを月1回借りて「乳がん経験者のためのエクササイズ」(集団指導)を行っています。
このレッスンをスタートした当初は、私の友人の乳がん患者さんや乳がん経験者である母の知り合いといった方でしたが、最近はSNS(Instagram、X、facebook)やHPを見て少し離れたところから電車に乗ってお越しいただけ、その方がまたお誘いいただいてと少しずつ広がってきています。
この「乳がん経験者のためのエクササイズ」では、こだわりとして「お話会」という座談会を一緒におこなっています。
ご参加される方の中に術前抗がん剤治療中で、体力をあげて手術に臨みたいという目的でいらっしゃっている方がおられます。その方の手術直前のお話会では、経験者の方から入院中にあって便利だったものや、術後の困ったことなどを教えてもらい、「心構えができた術後皆さんにまたご報告に来ます」と同じ想いを知っている方のお話を聞くことで安心と勇気が湧いていらっしゃるようでした。
がん患者さんが治療に向き合う時には、医者など医療従事者や家族だけでなく、同じがん経験者とのコミュニケーションがとても重要だと感じています。そういった場を設けること。それが、私の考えるがん患者さんの運動する場所に必要なことだと思っています。
「運動」を一人では続けることはなかなか難しいです。ましてや、つらい、しんどい治療を経験しているがん患者さんには、一緒にできる仲間が必要です。これからもがんと向き合っている方に、運動を一緒にできる仲間と場所の提供をしていこうと思います。
今後の展望
現在がん患者さんに対する運動は、ボランティアによる活動が主流となっています。がん治療中は経済的負担が大きく、その中でも運動をしてほしいと考える運動指導者がボランティアで行っています。
しかし、がん患者さんに対する取り組みを長く続けていくためには、運動に対して患者さんが満足してお金をお支払いいただける仕組みが必要だと考えています。
そのスタートして今年、ルネサンス運動支援センターの活動にプラスして、がん専門運動指導士講師でもある川瀬ひとみさんと「動こう★キャンサー」という団体を立ち上げました。
その活動の中で、病院に隣接していなくても安定した売上を上げられる仕組みを構築したいと考えています。
おひとりでも多くのがん患者さんが「運動」を始め続けていただけるよう、これからも尽力してまいります。
最後までご拝読いただきありがとうございました。
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