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2022冬アニメ総括感想

 どうもです。

 今回は毎クール恒例の総括感想で、2022冬アニメの分です。もうすっかり春クールですが、今月最終話を迎えた冬アニメに合わせて記事更新しました。尚、~4話までの所感的な記事は以下を参考にしてください。

 では早速、以下から総括感想です。完走した9タイトル分になります。年末記事の話数単位10選候補がある作品はそれもピックアップしてます。


1.『ハコヅメ~交番女子の逆襲~』

 やっぱり最後まで楽しめました。今期イチバン好きなのを選ぶならコレ。コメディとシリアスのバランス、適度に息継ぎできる様な構成が好きです。川合ちゃんの心の成長が一つ筋として通っていたのも、安心して見れる要因でした。同じ走ってる画面でも、あの時とは全然違う心持ちで走ってるな、と最終話では見事な走りを魅せてくれて。警察官に対しての彼女なりの自負みたいなモノが芽生えて良かったなと思います。あと、彼女の声を担当した、若山詩音さんの演技もむっちゃ良かったです。彼女が演じて無かったら、ここまで笑えてなかったかもしれない…と思える程。ここは本当にアニメ化した甲斐があって、キャラの掛け合いだけでも楽しめる場面が沢山ありました。藤部長のメリハリある感じも好きです。
 シリアスパートについては、命が関わる位の重い事件を取り上げたり、女性警官ならではのネタを盛り込んだり。作者さんの経験を通して、リアルな描きを貫いていたので、メッセージ性にも繋がった時はその重みの分だけ響くモノがありました。9話なんかは特に印象に残ってます。警察官の在り方、重要性を説いて、普段は皮肉ってる感じがあっても、それでも警察官はやっぱ素敵な職だと根底の想いが垣間見えるのが良かったです。
 藤部長の過去とか結構気になるので、できるのなら続きをアニメで見たいなぁと。1クールありがとうございました。

★ベスト話数【第9話 「逮捕術」「UFO」】
脚本:金月龍之介
絵コンテ:高田恭輔
演出:Park Sihu
作画監督:Kwon Hyukjung、Kim Bokyung
キャラクター総作画監督:松本まみ子
総作画監督:Song Jinhee


2.『東京24区』

 とりあえず着地できたんじゃないか、終わらせる処までは終わらせられたんじゃないかと思うので、そこは何より。ただ作画が割とボロボロで、話も想定内に収まる感じで挽回はできなかったのは残念でした。
 作品のメッセージ性として、”未来を選ばされる人にはならないで“と云うのはブレずに描けていたなと感じます。「トロッコ問題」も出し続けて、提供された選択以外を選び取ろうとするシュウタの姿も貫いて欲しいと思っていたので良かったです。また、RGBの明確に分けられていた立場は、選択そのものなので、その3人の衝突から新しい選択をする流れも望んでいたモノの一つでした。
 これだけ消費可能な”情報”が溢れ返っている且つ不透明な社会で、その上行き過ぎたレコメンドシステムによって、「選ばされる」と云う側面は時代的にも強くなってきてて。それを踏まえて、「選ぶ」と「選ばされる」はやっぱ違くて、主体的に「選ぶ」事ができる人になって欲しいというと云う想いが本作にはあった様に思います。警鐘を鳴らしている様にも思えました。そのメッセージに物語の説得力(強度)が追いついてはいませんでしたが、伝わってはきたので及第点。やはり1クールオリアニでこれをクリアして、アニメーションの質も確保するのって簡単ではないよなぁと(笑)
 その他、最後まで音効担当の小山恭正さん、OPと挿入歌担当のサバプロ(Survive Said The Prophet)はとても良かったです。元々好きな方なので、堪能させて頂きました。以上、1クールありがとうございました。


3.『平家物語』

 結局、最後まで前のめりに夢中になって見る事はできませんでした…。こればっかりは自分の見方との相性だなと。キャラに対する愛着が全くと言っていい程湧いてこなかったので、最後まで事象をただ傍観しているだけになってしまったのは残念。
 それでも唯一気に入っていたのは重盛で。4話の彼から感じた"祈り"の先に何があるのか、それを確かめる為にも最後まで見届けなければとは純粋に思っていたので、最後まで見る事ができました。
 何もできずとも、"祈り"はできる。"祈り"は個人や集団が運命に抗う際の、無力感に打ち拉がれるだけでは終われないと云う強い意思から派生したモノだったと思います。どんどん平家が追い詰められていく中で、彼らの表面的じゃない人間の繊細な部分(維盛の弱さや、徳子の強さ)を凄く真っ直ぐに描いてくれたからこそ、"祈り"は意義のある事だと確かに感じ取れたし、気持ちを傾けたくなった瞬間もありました。
 最終話では、その“祈り”のスケールがデカくなった印象で、対象が生きとし生けるものに向けられた。"祈り"の本質が"他者への祝福”である以上、それを受け入れる為に徳子も言っていた"赦し"が必要だと再度効いてきたのも良かったです。そして、それはきっとこの世の無常をも愛し、赦す事に繋がるモノだったのかなと思います。
 最後に、牛尾憲輔さんの音楽は今回もどれも好みでした。お蔭で雰囲気だけでも楽しめた。ED「unified perspective」と「the battle」は名曲です。以上、1クールありがとうございました。


4.『スローループ』

 最初はそこまでだったのに、どんどん好きになっていった作品でした。物語が進むにつれて、関係性がハッキリ浮かび上がり、そこから何を伝えようとしてるのか掴めたのが大きいかもしれません。
 本作は、人との距離感や繋がりをむっちゃ大事にしてる印象を最後まで受けました。なので、自分もですが関係性オタクな人ほどハマれた気がします。メイン3人だけでも、3パターンの組み合わせがあって、どれも惜しみなく描かれました。好みで言えば恋×ひよりが一番かな。それ以外にもお姉さんポジの2人や、年少ポジの2人、あとは忘れてはいけない親子(家族)関係ですね。どれを取っても、それぞれにエピソードがあって、そのエピソードからキャラがその関係性に対してどう想っているのかを伝えようとする意識が本当に強かった。話数毎にライターが異なるので、そこの強調のされ方で好みが反応するのには波があったけれど、それでもこの根幹が好きでした。叙情的な描き方をするのも非常に好み。
 自然な手癖や道具や方法に対する想い入れなど、関係性を顕わにする様な小さな要素から徐々に発展させていく感じも多く見受けられた様に思います。そこの奥深さみたいなモノも今作の魅力でした。
 あと最終話は、綺麗な締め方で余韻が良かったですね。重い過去を持つ、ひよりと小春にとっては、“過去”はどちらかと云えば振り返りたくないモノで。それでも親の再婚を機に、少しずつ何かを変えてくれた人達との日々の数々を振り返りたくなる"想い出"として未来へ残して繋げようとする想いは、もの凄く意義があって、素敵だったなと思います。
 以上、1クールとても良い物語が見れました。ありがとうございました。

★ベスト話数【第9話 釣りキャンプがしたい!!】
脚本:大知慶一郎
絵コンテ:竹ノ内和久
演出:谷口工作
作画監督:林夏菜、杜野都、村長由紀、中山和子、柳瀬譲二、STUDIO MASSKET


5.『からかい上手の高木さん3』

 最後まで安定感抜群すぎた上に、最終話ではバチっと決めてくれてもう何も言う事ないですね(笑) 只々、からかい、からかわれる2人の何て事ない話に見えるのに。ずっと同じテーマの繰り返しで進んでいない様で、実はこんなにも進んでいて。とても綺麗な線が一本視える様な物語でした。
 最終話にしたって、至っていつも通りの延長線。だからこそ、待ちに待ったガラッと空気が変わる瞬間は強烈でした。そーゆー瞬間はいつだって突然で。でも、その突然が訪れるのがまるで決まっていたかの様で。これまでのからかいに忍ばせてあったモノ、お互いのお互いに対する期待や願い、少しずつ成長していった気持ちと考え方、周りの意図しないサポートすらも、全部一本の線で繋がって。何てことない選択の数々が、後になってそれしか無かったと言わんばかりの選択だったと云う気付きが訪れる。この運命の様なロマンチックさ、叶うべくして叶った感じなのがとても良かったです。
 ニヤニヤしたり、笑ったりするだけだったラブコメが、ちゃんと地に足ついた恋愛模様になっていく流れも好感が持てました。2人を応援したくなる。これは他のカップルについても同様に。
 劇場版が決定しているので、また2人の物語の続きを見れる事を楽しみにしています。3期もありがとうございました。


6.『その着せ替え人形は恋をする』

 良く言えば丁寧に距離を詰めていった、悪く言えば盛り上がりに乏しく物足りなかった作品でした。最終話も取り敢えずここら辺で落ち着くよな、という感じで。全体通しても、これと云って印象に残るシーンをそこまで想い出せないので、きっとそーゆー事なのかなと(笑)
 2人とも自分の好きなモノに夢中になってる瞬間は、もうそれしか視えてなくて。でもソレがどれだけ特別なモノなのか肌感覚で解っているから、変に押し付けあったりもしないし、譲り合ったりもしないのは見ていて気持ち良かったです。やはり好きなモノについて話し合える、尊重し合える関係は素敵。そんな状態でも、人間性がポロっと出てくるのも良かった。例えば喜多川さんは大雑把だし、逆に五条君は几帳面で。先の共通項がありながらも、違う点ではある意味しっかりバランスの取れた2人のやり取りには付け入る様な隙は無かったですね。おうちデート回のオムライスとチャーハンのくだりとかが好きです(笑) あと最終話やっと言及された身長差も。
 喜多川さんからの好意が徐々に出始めた後半は、彼女視点でも物語を見れる様になったのは良かった。そこまで彼女について深掘りされないのが少し残念ではあったんですが、あくまで五条君の視点(ペース)を貫いて描いているのと、そもそも彼女からは語られる程の事情は無いんだろうなと。耳年増な感じと、それもあって視え切れない部分が"魅力"で決着。視えないけど、それで良い。常日頃から自然とどこかで繋がり合っている描写が多く、大事にしている印象を受けたので。だからこそ最終話でも、手は繋がなかった(繋げない様にした)のと、"好き"が届かなかったのはこの時点では美しい正解だよなと。以上ですかね、1クールありがとうございました。


7.『明日ちゃんのセーラー服』

 物語自体はどんどんハマっていって、毎週楽しみになる位には満足できた作品でした。所感でも書いた通り、見た目等のクセの強い表現は最後まで気になってしまう点でしたが、コレは好みの問題なのでこれ以上は語る必要ないかなと。
 女子校と云うちょっと特別な世界にいる少女達の友愛、そして一人一人について掘り下げてくれたのが印象的な作品でした。登場人物が多い中でも明日ちゃんを中心に本当にバランス良く丁寧に描かれていて。共通していたのは、内面まで包み隠さず描いて、"その子らしさ"を大事にしていたかなと。自然体って云う曖昧さを、曖昧にならない様に描く上で、フェチっぽい細かな描写であったり、少し過度な切り取り方であったりは必要不可欠だった様にも思います。また、贅沢すぎる上質なアニメーションだからこそ伝えられる表現も多々ありました。
 多感な時期にいる彼女達の青春をどうしたら美しく描けるか。安易に想像できる女の子らしさの枠にハマらない、泥臭さ…不器用さ…小っ恥ずかしさ…コンプレックスなんかも全部“ありのまま”として描く。先の自然体にも繋がりますが、コレらを"自分らしさ"として彼女達が受け入れる事を成長として、そんな模索する姿を本作では"美しい”モノとしていたと思います。自然体を理想とする演劇の舞台を最終話に持ってきたのも見事でした。見た事ない異様な輝きを放っていましたね。
 本作が描き切った美しさは、この青春に留まらない力強さがあったので、彼女達から純粋に人としての力強さを感じた視聴者もいるんじゃないかなぁとか想像しました。それ位パワーのある作品でもありました。OP「はじまりのセツナ」は名曲。水上さんの外っ面以上に内面で渦巻いてる感じが好き。以上、1クールありがとうございました。

★ベスト話数【第7話 聴かせてください】
脚本:山崎莉乃
絵コンテ・演出:Moaang
作画監督:川上大志


8.『リーマンズクラブ』

 4/16(17)にやっと最終話を迎えてくれた本作。遅れがあっただけで全12話、特に問題もなく描き切ってくれました。バドミントンとサラリーマンの二軸による、白鳥尊しらとりみことの物語としてはエピローグ含めてよくまとまっていたと思います。全体で見ても、酷かったとは思わない十分なライン。
 ご都合主義と云うよりは、スピード感を大事にしてる印象でした。描きたい部分、魅せたい部分だけをバシバシ提示していく感じで。そこが盛り上がる様に起伏を作ろうとする作りも好みでした。どうしても搔い摘んだ様な展開に見える瞬間があったのは、こちらが飲み込み切る前に話が進むからでそこを正しく補完して追い付ける人にとっては問題無かったのかなと。キャラ数もかなりいる中で、一人一人に情報差はあれどバックグラウンドを想像させる経歴や関係性などを付与させていたのも良かったです。
 尊の武器である"眼"による先読み、トラウマである背中。この辺りの嚙み合わせ、宮澄建みやずみたつるとペアを組んで、弱点を克服していく流れも綺麗でした。ベタだけど、5話で静寂を切り裂いたたつるの声とかも刺さりましたし、そのアンサーとして、最終話でのみことからのたつる!もしっかりキメてくれて。やはり言葉にして、口にして、名前を呼ぶ事でしか得られない絶対的な信頼感や安心感みたいなモノがあった。最終話で"眼"が使えなくなったからこそ、背中を預ける、想いを背負う、などと云った意味合いの重要性が高まったのも良かったですね。いくら"眼"が良くても背中は絶対に見る事ができないですし。
 劇伴担当のfox capture planの音楽も最後まで堪能できました。美しさと獰猛さを兼ね備えた旋律で、バドミントン描写をより白熱するモノにしていたと思います。以上、1クールありがとうございました。


9.『進撃の巨人 The Final Season』

 76話~87話、Part2もむっちゃ面白かったです。原作既読ですが、原作以上に鳥肌が立ったり、泣いたりした場面が多々ありました。アニメ化にあたっての改変は九割九分良改変で、よくやってくれたなぁと感心するばかり。諌山先生の指示もあるとは思いますが、それだけではなく原作リスペクトを忘れずにしっかり解釈して、アニメの持ち味を活かせる様になっていました。
 イチバン良かったのは、Final Seasonが始まった2021年冬の総括感想でも書きましたが、被害者側にも想い入れが湧いてきてしまう作りになっていた事。幕を閉じる前に念押しする形で描かれていたと思います。代償、残酷さを直視させる描写の数々、どんな心境…どの立場であろうと散っていく命の存在感を際立たせ、犠牲・差別・虐殺etc…は絶対にあってはならないと再度示してくれたのは本当に大きかった。本作が一貫して描き続けてきた、呪いや悪魔的一面に囚われた者達への"愛"を感じる上でも。そして、誰よりも自由を求め続けたエレンが誰よりも不自由である事を受け止める上でも。
 あとは、全体的に見ても原点回帰みがあったのが良かった。MAPPA版の3DCGではない立体機動アクションも見る事ができましたし、澤野さんの「ətˈæk 0N tάɪtn」や「Barricades」もここぞと云う場面で聴けて、こんなん昂るしかない。WIT STUDIO版の懐かしい場面を明らかに意識した重なる作りも、懐かしいだけでなく、全く意味合いが異なっていて改めて色々考えさせられましたね。理解の解像度が上がるわ。
 Finalと銘打っていたものの終らず思う処はありますが、これだけ丁寧に制作してくれたら全然待ちますよ、のお気持ち。半年以上先ですが、本当に楽しみにしてます。2021年冬クールに続き、Part2もありがとうございました。



 以上、2022冬アニメ総括感想でした。

 軽く総評ですが、完走数9本にしては満足できたクールでした。一本一本の内容が濃かった。アニメーション自体の質も高いモノが多かったですし。オリアニも3本とも描きたいモノは自分なりに解釈する事ができたので、モヤモヤして終わらなかったのは本当に良かったです。原作付はある程度面白さが担保されているので、それによる満足感以外の満足感を得られて見た甲斐があったなと。特に『進撃の巨人』は最高でした。続きがある作品はまたアニメで見る機会があれば見ると思います。
 という事で、ここまで読んでくださった方、ありがとうございました!もう始まっている春クールもよろしくです。

 ではまた!

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