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イーサリアムのマイニングに最適な可能性のあるハイエンドグラフィックボード、RTX 3080のメリットとデメリット

イーサリアム(1.0)のマイニング(PoW)にはGPUを用います。イーサリアムのマイニングのパワーをみんなで集めて報酬を分け合うマイニングプールでは100MHsあたり1日どれぐらいの収益が得られるかと言うのを公表しています。

現時点だと概ね700円前後ぐらいが1日に得られる報酬です。

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引用元(世界最大規模プールSparkPool): https://www.sparkpool.com/tools/calculator


100MHsをたった1枚で出せる、かつ、電力あたりのパワー(ワッパ)が良いGPUが NVIDIA RTX 3080 です。マイニングバブル(2021年7月5日時点でもバブルと言えばバブルですが)の仮想通貨最高騰時はフリマ価格が1枚で20万円を超える価格になっていたGPUです。

7月時点では14万円台〜18万円台で新品購入が可能です(ただし在庫は流通しているので最後。新品で購入するなら今月がほぼラストチャンス!)

本記事ではメリットとデメリットをさっくりとだけご紹介します。

マイニングにおけるRTX 3080の良いところ

・1枚で100MHs出るハイパフォーマンス
・ワットパフォーマンスが悪くない
・リセールも高い、と言われている
・Ampere世代(RTX 3000番台)では最も1Mhs当たりのGPU単価が安い

イーサリアムマイニングの現状の主力はRX470,480,570,580(以降Polarisと書きます)など、AMD RadeonのPolarisと言われる世代です。2年前のバブルのときのグラフィックボードですね。これがだいたいイーサリアムマイニングにおけるGPUの台数ベースのシェアの3−4割を占めています。もしかすると5割ぐらい。
ただしこれらのハッシュレートは30MHs程度です。
NVIDIA RTX 3080はたった1枚で100MHsを安定して出すことが出来ます。素晴らしい性能です。

100MHsを出すのに必要な電力は215W〜235W程度です。Polarisは1枚で120W前後、100MHs出すには3枚は少なくても必要なので、360W以上は必要です。3枚でもまだ100MHsに及びませんが。
そう思えば、ワットパフォーマンスは悪くは有りません。

ワットパフォーマンスはイーサリアムマイニングでよく使われるグラフィックボードでは、
RTX 3070/3060 ti > RTX 3080 > GTX 1660 Super > RTX 3090 >(ここの壁は大きい) RX470等(Polaris)
という感じで、特にRX470と3090は世代が2年ほど違うので、だいぶ性能差があります。そうした中で、RTX 3080はワットパフォーマンスは上位に位置します。

3070シリーズは非常に数が出回っています。ただメモリは8Gしかなく、性能がゲーム用として中途半端、という扱いをちょっと受けています。4k画質にはちょっと力不足すぎる、と。その点、3080はゲーミング性能も高く、数も市場に出回っている量が少ないため、マイニングバブルが弾けたあとでも、ゲーム用として価値が高く残る可能性が高いです。
3080よりも上位の性能は3090だけですが、3090は発熱量が大きく、一般的なパソコンのケースの中に入れてゲーム用途で使うには向いていません。そのため、3080がちょうどよい可能性は高いです。


つらつらと書きましたが、RTX 3080の一番のいいところは、ハッシュレート当たりの取得単価が安く済むことです。
2021年7月5日時点での、一番大手メーカーで安いだろうGigabyte社のGPUでは店売りの定価は下記のような値段です。
RTX 3070 11万円台: 62MHs 120W
RTX 3080 14万円台: 100MHs 230W
RTX 3090 25万円前後: 123MHs 305W

3080は3070の1.61倍のハッシュレートがでます。でも値段は1.3倍ぐらいです。つまり「RTX 3080はハッシュレート単価が低く(投資対効果が高い)、リセールが高い可能性があり、電力消費も効率が悪くなく、設置スペースも省スペースで済む」マイニングに向いたグラフィックボードと言えます。

マイニングにおけるRTX 3080の悪いところ

良いところを前半で書いたので、3080を買おう!と思った方も多いかもしれません。しかし、1つ前の記事では私は3070をおすすめしました。
その理由は大きくは以下の3つです。

1. RTX 3080は発熱の問題が大きい
2. マイニングするコインによってはRTX 3070のほうが適している
3. そもそもの流通量が少なく、購入が困難
4. 爆音

1. RTX 3080は発熱の問題が大きい

まず最大の問題、発熱です。
RTX 3080、3090はMicron社のGDDR6Xという種類のメモリが使われています。それ以外のグラフィックボードではGDDR6という物が使われています。

このメモリの違いが一番の性能差であり、そしてまた、一番の問題です。GDDR6Xは非常に熱を生みます。それはもう熱を生みまくります。適切に冷却しなければ「サーマルスロットリング」と言われる保護機能が働いて、マイニングの性能が大幅に減少させられます。

メモリの温度が110度に到達するとサーマルスロットリングがかかり、制限がかかります。また、110度で長期的に利用すると故障する可能性が格段に跳ね上がります。そして、マイニングに利用したグラフィックボードは保証対象外、とされているメーカー・販売店が多いです。「マイニングに使用したかどうかはわからないだろう」という声はもちろん多いですしそれはそのとおりですが、保証規約上、保証は受けられない可能性があるということは認識しておきましょう。
その上で、メモリが爆熱で故障する可能性が高いRTX 3080はリスクが高いと言えます。

RTX 3080を使う方は下記を留意しておく必要があります。
・グラフィックボードを分解し、サーマルパッド(熱伝導するために使われているパッド・ゴムみたいなもの)を高性能なものに変えること
・グラフィックボードの種類に応じてバックプレート等にヒートシンクやファンを増設する必要があること
・分解は保証を失う可能性が非常に高いこと

以下はZotac RTX 3080 Trinity OCの分解画像です。
メモリ温度がファンを100%の速度で回し続けても106度ぐらい有り続けたため、メモリかファンどちらかが早期に壊れるだろうと判断し、分解、サーマルパッドを黒色のものから、Thermalrightのグレーの色合いのものに交換をしました。

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使ったパッドはこちら

そうすることでファンの回転数70%程度で90度以下のメモリ温度に抑えることが出来るようになりました。
なお、グリスは替えなくてもマイニングに影響はありません。せっかく分解するなら替えたい!という方はこちらをおすすめします。
https://amzn.to/3hD1jmb

RTX 3080を買う方は、分解・改造を伴うという心意気が必要です。


マイニングするコインによってはRTX 3070のほうが適している

今回の記事では紹介を伏せますが、MinerstatやWhatomineといったグラフィックボードごとに適したマイニングするコインを紹介するサイトで見てみると、RTX 3070のほうが3080よりも適したコインが多いです。そのため、長期的に見るならば、ワットパフォーマンスがより高く、また、より多くのアルゴリズムに適したRTX 3070のほうが優れている可能性があります。

そもそもの流通量が少なく、購入が困難

RTX 3080の問題点として上記2つもありますが、流通量の少なさもまた問題です。GDDR6Xというメモリはマイクロン社独自のものであり、流通量が非常に少ないです。RTX 3090でも使われているチップで、3090の方は値段が25万円〜36万円程度と非常に高額(3080の2倍前後〜)、なわりにハッシュレートは120MHsと3080の1.2倍しかでないため、イーサリアムマイナーはRTX 3080を欲します。しかしGDDR6Xは供給が圧倒的に少ないです。そのため、3080は本当にすぐ売り切れます。そのため、以前は定価14万円、フリマ相場20万超えと、転売ヤーにとって美味しい商材になっていました。
今はフリマ相場は中古相場・定価相場と同等になってきているため、転売ヤーは少なく、買いやすくはなりました。しかし、Lite Hash Rateバージョンと呼ばれる、イーサリアムのマイニングを規制したモデルに全ての生産が切り替わっており、マイニングが可能な3080は今後新しく入荷することは少ない、パソコンパーツを取り扱うお店の倉庫にある在庫限りのグラフィックボードであるため、今後は中古を買うしか無いかもしれません。

新品ではAmazonではとっても高い値段でのみ販売されています...
本記事を書いた時点でのAmazonでの価格は18.5万円。店売り価格が14万円台半ばです。
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中古のRTX 3080なら保証を気にすることなく分解・改造が可能なので、ぜひ分解改造してみましょう!

4. 爆音

騒音というのも問題の一つとしてあります。聞ける方は私のZotac 3080 Trinity OC(AMP Holoというモデルでも同じ)の爆音を聞いてみてください。
「戦闘機」と揶揄されるよう音がします。この隣で生活できるでしょうか?出来ないでしょう。

まとめ

RTX 3080はハッシュレート当たりの取得単価が低く、マイニングにおすすめのGPUです。ただし熱の問題がある、ファンが煩いため、生活空間に置くには適していません。一人暮らしでワンルームに住んでいる方などは3080を買うと耳栓なしでは家の中で生活できなくなるでしょう。

そのため、ハッシュレート単価、リセールの高さといったメリットを鑑みても、RTX 3070のほうが私としては「これからマイニング」という方には特におすすめです。

RTX 3070なら熱の問題は少なく、様々なコインのマイニングに最適であり、消費電力当たりのパフォーマンスも高く、流通量も多く入手しやすく、(モデルによりますが)3連ファンのモデルなら騒音の問題もほぼないため、3070の方をおすすめします。分解改造をいとわない、マイニング用の部屋や場所があるといった方には3080の方をおすすめします。

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