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イーサリアムでいつまでマイニング出来るのか。PoS化はいつ来るのか。「EIP」とマイニングの未来予想を解説

イーサリアムのマイニングにおいて、イーサリアムの改善提案、通称EIP(Ethereum Improvement Proposal)は非常に重要です。手数料モデルの抜本的な変更提案であるEIP-1559を含むロンドンアップグレードが2021年7月時点だと話題です。ロンドンについて、また、今後のアップグレードについて、私なりの考えを書いてみます。

ロンドンアップグレード

EIP-1559が特に話題ですね。2019-04-13に提案されたイーサリアムの改善案で、現在のマイナーに払う報酬体系をよりシンプル・予測可能にするものです。また、マイナーがガス代を高騰化させることを防ぐことなども目的の一つです。詳しくは実際のEIPのドキュメントを見てみて下さい。
https://github.com/ethereum/EIPs/blob/HEAD/EIPS/eip-1559.md

基本的にマイニング報酬は下がると言われていますが、そもそも7月時点ではガス代が低い状態が継続しているため、影響は少ないかもしれません。

アルゴリズム自体が変わるので、実は報酬が上がる可能性も否定はできず、そういった論文を出している海外の大学の教授もいます。結果は2021年8月中には明らかになるでしょう。

EIP-1559ばかりが注目されていますが、その他に下記のような物が含まれています。

EIP-1559:Eth1.0チェーンの手数料相場の変更
EIP-3198:BASEFEEオペコード
EIP-3529:払い戻しの削減
EIP-3541:0xEFバイトで始まる新規コントラクトの拒否
EIP-3554:ディフィカルティボムを2021年12月1日まで延期

私個人としてはEIP-3554のほうがマイナーにとって、注目が必要ではないかと思います。EIP-3554自体はマイナーにとって非常に必要なことで、ディフィカルティボム(採掘難易度爆弾)が早期に訪れてしまったら大変困ります。12月1日まで延期されたのはPoWの廃止が少なくても12月1日まで来ないことを意味しており、逆に言うと、現時点では12月1日ぐらいにはPoS(ETH2.0)をメインネットでスタートさせることを目標としていることを示唆しています。また、もともとはPoSは12月1日よりも前にメインネットで始動する予定だったということも明らかです。

ディフィカルティボム(採掘難易度爆弾)

ice age component(氷河期コンポーネント?)に定義されている数式を変えるだけのものがEIP-3554です。ice age componentの名前の通り、ディフィカルティボムではPoWの報酬に氷河期を訪れさせます。採掘難易度を徐々に引き上げて、PoWのETHをマイニングするメリットを減らす、「電気代ーMining Fee」を0に近づけていく、いづれはマイナスにする、ということを行うものです。

ETH2.0へのアップグレード、ハードフォークの際にPoWのETH1.0のマイニングを継続されるとETHが2つに分かれてしまうため、ETH1.0(PoW)のマイナーがETH2.0(PoS)に移行させるための手段がディフィカルティボムです。

つまるところ、ディフィカルティボムが実際に発動する日がPoSがメインネットで稼働している日だと思えば良いでしょう。

PoS化はいつ来るのか?

現時点でのディフィカルティボムの発動日は2021年12月1日頃ですので、2021年12月1日だと思っておいたほうがマイナーの方は良いでしょう。

試しに次章でマイニングにベストと思われるRTX3070で現在の報酬ベースで算定してみます。Whatomineの7日間平均で計算します。実際はこれよりもロンドンアップグレードの影響で来月以降に得られる報酬は少なくなるでしょう。

RTX 3070はマイニングにベスト、と判断されている図。台数ベースではHiveOSで稼働しているGPU(NVIDIA製)は19%が3070です。

スクリーンショット 2021-07-08 9.22.30


PoS化までにいくら稼げるか?今から始めるメリットは有るか?

NVIDIA RTX 3070(NonLHR)が17枚あれば61MHs×17枚で約1GHsです。1GHsでの報酬は1日あたり$73。電気代を$0.25/KWh(ざっくり27円)とすると収益は1日6000円ほどになります。12月1日まで8月1日からだと4ヶ月ありますので、72万円を稼ぐことが出来ます。RTX 3070 17枚の取得単価ごとにシュミレーションしてみます。グラボ以外の価格は一律に5万円と仮定します。

取得価格: 取得総額 - 掘れる金額 = PoS化時点でグラボを中古売りした時に黒字に必要な売却価格
1枚12万円: 209万円 - 72万円 = 137万円(8万円)
1枚10万円: 175万円 - 72万円 = 103万円(6万円)
1枚8万円: 141万円 - 72万円 = 69万円(4万円)
1枚6万円: 102万円 - 72万円 = 30万円(1.7万円)

2021年1月時点でのRTX 3070の新品店売り価格は6.5万円〜8万円ぐらいだったかと思います。2021年7月7日時点でのパソコン工房でのRTX 3070 の買取価格上限は一律に5万円です。じゃんぱらは7万円です。しかしこれらは上限金額です。
これらから鑑みるに、マイニングブームが去り、グラフィックボードが市場に大量に出回るときの価格は、5万円は確実に下回るでしょう。一方で、RTX 3000番台は腐っても現在のNVIDIAの最新世代のグラフィックボードであるため、3万円ぐらいであればフリマなどでは売れると思います。
つまり、RTX 3070は8万円以下なら7月・8月時点なら確実に黒字が見込める取得価格だと思います。逆に、12万円で3070を今買った場合、買った時点で赤字が確定してしまうでしょう。とんとんラインが9万円ぐらいでしょう。
投資として始めるのに収支プラマイゼロでは意味がありませんし、夏はエアコン代などもかかりますから、投資として見るなら3070なら8万円以下、3080ならその1.6倍の13万円未満である必要があります。

そして現在、LHRではない3070の店売り価格は概ね12万円で、若干下がってきており、中古であれば8万円台で買えなくもないという感じです。

「今からマイニングを始めるのは始めた時点で赤字が確定している」と言っても過言ではないでしょう。始めたばかりのこのNoteももう役割が終わりそうですね笑

さようなら!



本当にPoS化は2021年12月に来るのか?

前章でネガティブな試算をしましたが、私は現時点ではグラフィックボードを手放しておらず、マイニングし続けています。概ね5GHsほどを運用しています。前章で述べたことが真実なら、私は今すぐ全てのグラボを売るべきでしょう。

一応、私のFlexpoolでのEstimateのスクリーンショットでも貼って、実際にマイニングしている人であることを示しておきます。

スクリーンショット 2021-07-07 22.34.56

なぜ私が今グラボを売らないかというと、PoS化が2021年中に行われるとは思えないからです。マイニングを始める人に見て欲しいホームページが3つほどあります。

1. イーサリアムの改善提案一覧(EIPs)

2. イーサリアムのコア開発者のミーティング議事録

3. PoSに関するEIPの進捗

これらのリンク先の中から私が特に注視しているのは以下の2つのEIPです。
1. EIP-2982 https://github.com/ethereum/EIPs/blob/HEAD/EIPS/eip-2982.md
2. EIP-3238 https://github.com/ethereum/EIPs/blob/HEAD/EIPS/eip-3238.md

EIP-2982はStatusはReviewです。これがLast Call, Accepted, FinalになればPoSへの移行が秒読みになります。現在はまだReviewですので、「まだ大丈夫」です。2982がPoS化へのフェーズ0のEIPです。

EIP-3238は最近発行されたEIPで、再度ディフィカルティボムを延期させるものです。Q2/2022までディフィカルティボムを延期するため、これがAcceptされれば、来年の9月ぐらいまではマイニングが出来ることがほぼ約束されるでしょう。

どちらについてもEIPの起票者はイーサリアムのコア開発者ではなく、議論も十分に行われているEIPではないということです。これらは無視されて他の部分で議論が進み、PoS化がいつのまにか来るかもしれません。

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