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法定通貨の世は続くのか

当たり前ですが、現在、世の中の通貨の主流は法定通貨、いわゆるドルとか円とかユーロなどの主です。確かに、法定通貨の方がインフラとして整備されていて使い勝手が良いのでみんな使うわけですが、デジタル主体になった時に果たしてそのまま行くのかどうかという疑問があります。

web3業界も給料は法定通貨

法定通貨に対して向こうを張るような存在が暗号資産であり、その仕組みを使ってサービスを構築するのがweb3というやつだと思うのですが、それを構築する人たちも給与は大半が法定通貨で受け取っているようです。
たしかにweb3が暗号資産とイコールかといわれるとそうでも無いと思うので、web3やってるから暗号資産で報酬を受け取るべきだ、というのは言いすぎかもしれません。
とはいえ、web3の目指すところはおそらく、サービスなどの経済活動の非集権的デジタル化だと思うので、給与を紙幣ベースの法定通貨で受け取るというのもなんだかなと言う気もします。つまりweb3を将来の希望だと思って働いているが暗号資産の未来には不安があるから法定通貨で給与は受け取っている、という自分のやっていることに自信が持ててないと言うことなのでしょうか。

藩札というモノがありました

そんな事はさておき、法定通貨の世の中が続くのでしょうか。少し思い出したのは江戸時代です。江戸時代は地方分権の世の中でしたので、藩札というモノが普通に発行されていました。話を単純化するために少し乱暴に簡略化しますが、要するにそれぞれの藩での通貨を藩が独自に発行していました。江戸時代は藩の台所事情が厳しかったところも多かったようで、だからこそ共通通貨である金とか銀ではなく、藩札を発行してやりくりしていた部分もあると思います。
あれ?なんか似てませんか。今の法定通貨に。もちろん金や銀などのハードウェアに比べて信用さえあれば紙のお札の方が持ち運びやすくて便利です。それだけでは無く、いくらでも刷ればいいので、量を確保するのが簡単です。
ところが、明治維新で藩はなくなり、藩札も紙切れになりました。もちろん政変で地方分権から中央集権になったというのもありますが、そもそも外国と貿易するのに藩札では都合が悪かったのでは無いでしょうか。外国人が藩札を受け取るわけはなく、実際には金とか銀が使われました。当たり前です。
明治維新により、藩札は無くなり円という日本国統一の法定通貨が生まれます。とはいえ、いきなり円を発行して、信用しろと言ってもなかなか信用してもらえないので、諸外国もそうだったように、金本位制になります。つまり金の裏付けがありました。
しかし、金本位制は融通が利かないため、大量に資金調達するためにそのタガを外し始めます。結果、現在金本位制をとる国はなく、みんな裏付けがあるようで無い、信用ベースのお札になっています。つまりは藩札と同じです。そして一番国力として信用できそうなアメリカドルが事実上基軸通貨として世界で流通しています。

デジタル上の覇権通貨はどうなる

ちなみに暗号資産界隈ではステーブルコインが勃興し始めていますが、あれは言うなればデジタル上でのドル本位制です。ドルの裏付けによるデジタル通貨と言っても良いでしょう。で、そのタガが外れたときにテラUSDのようなデカップリングが起き破綻するという感じでしょうか。
この例はどちらかというと金本位制をとってたはずの法定通貨がタガが外れてハイパーインフレになったようなモノですが、そもそも本位として選ばれているアメリカドルがインフレになるとどうなるんだ?という疑問もわいてきます。
もともと金や銀が通貨として流通していましたが、使い勝手の面からも藩札というモノが生まれてきました。ではデジタル上で同じ事を考えたときに、紙の紙幣よりデータでやりとりする方が遙かに簡単です。それは現在の世の中でクレジットカードやQRコードなど様々な手段でキャッシュレスで決済が出来る様になっていることから明らかです。
もはやデジタル上では円だろうとドルだろうとビットコインだろうと使い勝手はほぼ同じです。もちろんビットコインはまだユーティリティが不足していますので使い勝手は発展途上ですが、基本的な価値の移転という意味では同じです。
今はドルが基軸通貨になっているので貿易ではドル支払いはほとんどの国で歓迎されます。つまり大抵の国では受け取ってくれるため、支払いを拒否されることは無いからです。しかし、アメリカのGDP成長率以上の比率でドルが発行されているとしたらどんどん価値は希釈します。つまりインフレです。そのときにはもっと価値保存が保たれてドルと同じくらいの範囲でみんなが受け取ってくれるモノの方が歓迎されるかもしれません。もしかしたらビットコインがそうなるかもしれません。ビットコインにインフレはありません。発行量が決まっているからです。

歴史は繰り返さないが韻を踏むそうです。この通貨に関する世界がどうなるか気になります。この話のタイムスパンは半世紀くらいのスパンの話なので、生きてる間に見られるかどうかは分かりませんけど。

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