人に為りたかった獣

山から下りた獣は
人の生活を横目で眺め
森へと帰る生活を
続けている内に
人への羨望を深めていった
如何すれば自分は
獣から人に為れるのか
考える内に獣は
少しずつ変わっていった
その鋭い牙や爪
容姿さえも変貌させて
限り無く人へ近い何かへ
獣はその姿を変えていった
それでも獣は
純粋な人には為れず
慈悲無きハンターに狩られ
その命を散らして死んだ
人でもなく獣にも戻れず
名も無き怪物として


読んで頂き感謝致します サポートして頂いても書く事しか出来ませんが 宜しくお願いします