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沈む夕陽

あと何度、この夕暮を見ることができるのだろう。鋭く傾いた西陽が、街を、道を、焦がしながら沈んでいく。電車の車窓から見えるものは全て、太陽の色を借りて火照っている。小高い丘に建設されたマンションの窓から反射した西陽が、チラチラと私の網膜をくすぐり、枯れた緑地が空気の冷たさを嘆くように棚引いている。街のあらゆるものが私の前を通り過ぎ、その合間合間に聳える、白い骨を晒した鉄塔が、ただじっと、夕陽が沈むのを待っている。

あと何度、この帰り道を見ることができるのだろう。駅から家に向かって歩く道は、所々に亀裂が走り、細かな凹凸を形作っている。視線を落とした先にある私のスニーカーには、どこで付いたのかも分からない、切り傷のような汚れが目立つ。まるでそれは、私の心を遷したかのように、静かに草臥れている。

夕陽は沈んだ。

夜空の漆黒が地上を侵食する。

朝日はまた廻ってくるだろうか。永遠の闇が、天動説も地動説も、私に信じさせてはくれない。

家に着く。灯りは消えたまま。大切な人がこの家を出ていってから。

近くの電信柱から張り巡らされた電線が、心細く揺れていた。

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