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ツバサ

ツバサが燃えている。僕の背中でツバサが燃えている。

白いツバサが赤い炎を纏ってパチパチと音を立てている。炎を振り払おうと僕は必死にツバサを羽ばたかせる。しかし、自分の意思に反してツバサは炎の勢いを増していく。このままでは背中まで焼け焦げる。身体にも燃え移れば僕は死ぬだろう。あの青い空に向かって飛び立つはずだった白いツバサは、今は赤く燃え盛っている。

熱い、熱い。炎が眼前に迫ってくる。

このツバサを剥ぎ取れば僕は助かるだろうか。自分の手で、自分の希望を放棄することができるだろうか。


ツバサには、赤い炎が、燃え盛る。

あの空は、今でも青く、輝いている。

僕は今、白いツバサを、夢に見る。


僕は目を瞑る。視界は暗闇に呑まれ、火花が爆ぜる音だけが近付いてくる。

僕は灰色の息を吐く。


彼はその場に立ったまま動かなくなった。目は閉じているのに、瞼の奥には青い空がいつまでも見えているようだった。

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