徒然なるままに三浦春馬について書き留める その3

画面越しの出会い

文章を読めば、当時のことを思い出す。
思い出すことは忘れないこと。
忘れないことは追悼になる。

上記の想いで三浦春馬さん(以下、親しみを込めて春馬)について書いています。

お付き合いいただけたらうれしいです。


現実逃避の日々

当時、私は大学2年生。KAT-TUNの亀梨和也の大ファンだった。

大学生の私は、周囲と自分とのギャップを感じ、なかなか溶け込めなかった。落ち着いた進学校から入学した学生が多い校風、対して私は、進学校ではない。国公立大学の進学者は毎年1,2人。いわゆる「荒れている」子たちが多く、卒業後は実学志向の生徒たち。

そんな環境からだったが、私は勉強を続けたい思いを持っていたので、経済的な理由で国公立大学を目指し、無事進学した。しかし、始まった学生生活は思い描いていたとは程遠いものだった。

大学2年になっても、周囲と比較するのは続いた。友人たちとは、これまで経験したり学習したりしたことが違いすぎて、戸惑いと後悔が解消されていなかった。

今だったらわかるのだが、こういう時はとにかく必死に勉強に取り組んで好きなことにとことん向き合えばいいのだが、当時の私はなかなか自分の内側と向き合うことができず、

かといって教員になりたい思いは消えず、
卒業しないと教員免許をもらえないので大学を去るわけにはいかず、誰がどう見ても中途半端な状況だった。

塾講師のバイトも途中で投げ出してしまっていた。教員になりたいのに塾のバイトが続けられないなんて。今思うと学校と塾は違う環境だ。学校で働くなら塾でやれないとやっていけない。それは勝手な決めつけに過ぎないのだが、自分に嫌気がさしていた。

今思えば現実逃避だったのだろう。

こんなふうになりたいな、
あんな風に堂々と話せたらな、

どちらかというと、かっこいいから好き!という気持ちよりも、自分もこうなりたい!というヒーローに憧れるような気持ちで、亀梨くんを応援していた。当時、鮮烈なデビューを飾った割には人気は低迷していた。
他の人気メンバーと比べられたりして大変だったことは想像に難くない。そんな中でもひたむきに自分の気持ちを言葉にしている亀梨くんが大好きだった。

2008年1月、亀梨くん主演の「1ポンドの福音」が始まった。オタクの私は日本テレビのワイドショーの番組宣伝を頻繁にチェックしていた。

貧乏男子での出会い

各番組の中で「貧乏男子」を取り上げることが多かった。主演は小栗旬。この時、すでに彼は人気俳優の座を得ていたように記憶している。ルックスもだが彼の演技力は一般に浸透しており、鳴り物入りでドラマが始まった。

しかし、小栗旬演じる主人公のキャラが人が良すぎていた。たくさんのサークルを掛け持ちし、1話のラストでは「友人に嫌われたくない故に借金をする」という展開に「それはやりすぎでしょ」と感じた人が多かったのだろう。反応はあまり良くなかった。周りの友人も1話で脱落していた。

それにも関わらず、私はこのドラマから「優しさ」を感じ、ホッとしたように思う。なにより「時をかける少女」から注目してる仲里依紗も出演している。

私は貧乏男子を見続けることにした。

きっかけはそんな些細なこと。

そこで彼、三浦春馬に出会った。

その前年、「14才の母」で主演していた志田未来の相手役で彼が出演していたことは耳にしていたが、ドラマ自体は観ていなかった。(内容が中学生の妊娠ということで頭の固い私は見なかったのだ。)

彼は当時17歳。親が作った借金のために家族は離散、1000万の借金を背負わされ、高校を辞め上京してバイトをし、借金を返済している、白石凉を演じていた。なかなかヘビーな役だ。

しかし、元々の彼の持ち味だったのだろう、画面越しに見る彼は繊細な「白石ちゃん」をひたむきに演じていた。オープニングの表情は紛れもなく等身大の繊細な17歳だ。1話で主人公の一美(かずみ)のバイト先にやってきた白石ちゃんは真面目に接客を覚えようとしているのになかなかうまくいかない。「何名様ですか?」を「何様ですか?」と言って落ち込んでしまう。コミカルなセリフにクソ真面目な演技。そのバランスが絶妙で、加えて嘘がない存在感だった。

自分も奨学金を借りて学生をやっている身だ、しかも周りの子よりも経済状況が良くない。

定期代を親が払ってくれたり留学費用を出してくれたりって。なんだよそれ。自分で稼がなくても好きなことをして過ごせるなんて。いつまで親に頼るんだ、と生意気だが当時は本気でそう考えていた。

白石ちゃんの苦労にくらべたら鼻くそのような私の状況だが、すぐにこのドラマはこの時期の私の支えになった。

ドラマが進むにつれ、白石ちゃんは大検に受かり、コンピュータの勉強をしに大学に進学した。主人公の一美が借金を肩代わりしてくれたことが助けになった。内容は現実離れしていたが、貧乏男子は暖かく人情味がありとてもいいドラマだった。小栗くんのコミカルな演技が最大に発揮されたことは勿論だが、白石ちゃんを演じていた春馬ももちろんこのドラマに大きく貢献した。

そんな白石ちゃんを演じていた春馬。序盤では借金のせいで暗い影を落としていたが、だんだん自分らしさを取り戻し人生を前向きに生きようと頑張る青年を見事に演じていた。

状況に文句ばかり垂れるんじゃなくて、私も今できることを頑張らないとな。

いつのまにか、私の中で、亀ちゃんは憧れ。一方で春馬は一緒に頑張る同志。

自分の中でそんな存在になった。

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