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演歌男子。の功績

第62回だった昨年の日本レコード大賞の最優秀新人賞を受賞したのは、真田ナオキでした。遡ると、最優秀新人賞ではなかったものの、61回には新浜レオン、第59回には中澤卓也がノミネートされてあの舞台に立っている。

そして、紅白に目を向けても、白組で出演した5組中3組は演歌男子の枠で揉まれて世に羽ばたいていった人たち。というか、五木さんと氷川さんは「演歌男子。」という言葉が生まれ、番組が始まった時には既に大スターだったので、それを別として考えると、山内惠介、三山ひろし、純烈の3組はみんな演歌男子に出てるので、演歌男子以外は出演していないことになる。

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まぁ、なんかちょっと大袈裟に書いているようだけど、この演歌男子という存在はこの業界にそれほど大きな影響を与えているのは、常に感じている。

男性演歌の盛り上がりは、この業界を知っている人なら感じていない人はいないでしょう。
決して、演歌男子というカテゴリーに入って番組に出たら売れるという方程式があるわけではないが、それぞれのアーティスト、スタッフの考え方に影響を与えていると思う。

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1つ目は、1人で板の上に立つ中では得られない体験がここでできていること。彼らはこの枠組みでとても重要な経験をしている。演歌歌手だから歌を歌ってりゃいい時代はとっくに終わっているのだが、バラエティや他のイベントなどで他ジャンルのタレントさんと絡む時、どうしても演歌歌手という肩書きだけで、いじってもいいものか、いじったとしても面白い返しをしてくれるのか、そんな不安を抱く。そしてかつてはその不安通り、当たり障りのない、面白くない優等生コメントしかできなかった人が多かった。いい子でなきゃいけない、と教育されてきた人も多かったと思うし。そんな体質が芸能界という広い括りの中では、演歌歌手はつまらないというレッテルを貼られたような気がする。

でも、かつては欽ちゃんの番組やドリフとかに演歌歌手も出ていて、その人たちはそんな最高の場で揉まれてきたので、前川清さん、吉幾三さん、こういったベテランの一流は、歌以外でも喜ばせることができる。今、そういった番組に出演することが難しい立ち位置になってしまった演歌歌手が、年に複数回、歌うこと以外で絡む場面があることがとてもありがたいの。その中で、けん玉の三山ひろし、鉄道の徳永ゆうき、グループの純烈、はやぶさなどと一緒にトークしたりゲームしたりすることで、一緒に活動しているわけではない第三者との絡みで、出たり引いたりするバランス、ツッコミ、なんて突っ込まれたいかまでを考えたボケなど、色んなことを学んでいくことができる。

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目立ちたいだけの人はボケるだけだけど、先輩後輩・それぞれのキャラ、全体のトータルバランスを見て、その日のキャスティングによって自分の役割を感じ取って立ち振る舞う。大先輩が多いと遠慮してそんなこともできず、突っ込むこともできずにただただ大人しくしなきゃいけない歌番組が多い中、中堅以下のキャリアしかいないこの座組では色んなことができる。そもそも普段は1人なのだから、ボケても突っ込む人がいないから、毒舌のボケがただの悪口として捉えられてしまうことだってある。なので突っ込まれなくても面白いトーク・高齢者にもわかりやすいトークにしなきゃいけないわけで。

なので、こうした経験は、演歌・歌謡曲ジャンルの歌が1人歩きしなくなったこの時代に、その歌手の存在そのものを好きになってもらうことが重要で、人を知ってもらうために必要な要素が多く盛り込まれている。共演者の良さを引き出すためのトークも考えることで、その共演者をよく観察するだろうし、相手のことを考えるから、仲良しが多くなる。その延長線上に、歌っている時間以外に、どうやってファンを喜ばせようか、という思考にいたるの。

まぁ、番組を見ている人はわかると思うけど、大きく育ててくれたのは、確かに純烈だと思う。でも、産んでくれなかったら育てることもできなかったからね。

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ちなみに、それまでは演歌歌手がやりそうになかったことを色々やってるのは、演歌男子を1から1人で立ち上げて、誰にも手伝ってもらえない状況の中で奮闘してきた歌謡ポップスチャンネルの女性プロデューサーが、元々の演歌ファンではなかったことがよかった。実は演歌歌手にも面白い人がいることに気付いて、かっこいいのに面白いって面を出したいという熱意を持った人が固定概念のない女性だったことがこの好転に繋がっていると思う。まぁ、何より、それぞれ考え方が違う複数の事務所、複数のレコード会社を相手にしてきて、挫けずに継続してきてくれたことに対して、本当に深く深く感謝してる。

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2つ目。演歌男子という括りを作ることで、全体が勢いあるように見えること。お笑いでいうと、第七世代とか、音楽で言うとかつてのビジュアル系とか、ビーイング系とか、そのジャンルそのものが注目されやすくなる。横並びにいることで、他の歌手が注目された時にその括りにいる人にも目を向けてみようとなりやすくなる。1人1人はそんなにブレイクしていなくても何割か増しで輝いてるように見える。実際に演歌男子が勢いが出たように見えたのも、山内くんや三山が世に出ていった道筋があることも大きな要因だと思うし。

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まぁ、そんなわけで、これからも私は業務の枠を超えて、好きな人は好き、の精神で、メーカー関係なく許してくれる人のは、写真も動画も上げていきたいと思ってますよ。演歌男子が業界を盛り上げてくれたことへの感謝を忘れずに。

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