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着ない服を知れば必要なものが残る
「コンセプトを決めて服選び&毎日の服装の制服化」
「自問自答ファッション」を実践されているスタイリスト、あきや あさみさん。
制服化とはまずは削ぎ落とすこと
制服化をするためには、まず必要最低限の「要素」に絞り込むことです。色、デザイン、シルエット、TPO、服の要素は様々です。
コンセプトに向けて「着たい服」をはっきりさせるために、自分の「着ない服リスト」について掘り下げた。
■ 着ない服リスト
【カジュアルすぎるもの】
私にとっては、怒り耐性が足りない気がする。
ただ「動きやすさ」などの機能もあり、環境によっては必要になるのも事実。
不思議と何かしらの感情をかき立てられるわけでもないので、逆をつけば一番抵抗なく着られてしまう服。着るときは、意識的してコンセプトに添ったものを選ぶ。
<怒り耐性>
自分が元々抱えている怒りや、激しい感情、糖衣によって溜め込んだ「真っ当な怒り」などに対して、その服がどのくらい耐性を持つのか、という個人的な指標。
耐性が低いと、内側に怒りを吸収してしまいがち。逆にこの耐性が高いと、外圧を反射したり、自身や周りを守護したりする力が強いと感じている。
私にとっては、「モードファッション」が怒り耐性値が高い。
私の糖衣が判明。
【デニム素材のトップス、アウター】
自分を客観視すると、取り立てて似合っているとは思わなかった。
残念ながら生活感の方が強く出る。それでも「好き」で押し通すような、強い思い入れはまだ持てない。愛がある人に似合うのなら、その方がいい。
特に淡色はカジュアルが出る。
ボトムスで穿くなら、濃紺を。
【スポーティーすぎるもの】
デニムと同じく、私に合わせると生活感の方が強い。自分の要素にスポーツ感が薄く、それがコンセプトの軸になることはないと思う。
必要なときに必要なものを選ぶようにする。
【ポップすぎるもの】
これまでの自問自答とホロスコープから、適度な「重厚感」が不足している気がする。
カラフルなものは好きだけど、重さと軽さの比重が6:4くらいを目指す。
【ロゴの強さが目立つもの】
私は世界観があるものに目が行く。
そこにロゴの強さが際立つと、現実感が強調されてしまう。ブランドの世界観が、物質的なロゴで実体を得るのが苦手なのかもしれない。
例えば、「不思議の国のアリス」の世界観をリアルに再現した空間があるとして。
そのまっただ中に「不思議の国のアリス」という看板が立っていたら、一気に没入感が覚めてしまうような感覚と似ている。
その一方で、「ロゴを含めて世界観だな」というブランドやデザインもあるので、これは個人的な受け止め方になる。
【オーバーサイズすぎる服】
トップス・ボトムス共にオーバーサイズすぎると、服に埋もれている印象。
とにかく重心が下がる。着丈などにも注意。
【ネックラインの開きが広い服】
首周りのラインが開きすぎていると気になる。
屈んだときにあまり意識したくない。
【伸縮性の低いプルオーバー】
これもネックラインと関わりがある。
伸縮性の低いプルオーバーは、屈むと襟ぐりが開くので避けたい。
【重たすぎる・チクチクする素材の服】
ハンガーに掛かった服を手に取りかけた瞬間、腕が下がるような重さ。そのままラックに戻してしまうことが多い。
肌に触れたときに、ザラつきがある素材は回避。
ニットだけでなく冷感素材、服の縫い目など。炎症が起こることもある。
【手入れに一手間かかる服】
シワになりやすいとか、水洗いができないとか、服の手入れに一手間かかると次第に着なくなる。
【編み目が大きいニット】
モヘア以外は、オーバーサイズが際立つ。
編み目が大きいと風通しがよくて肌寒い。ゆったりしたニットで快適に過ごせる時期も、圧倒的に短い。(ニットだけじゃ寒いし、ボリュームがあるのでアウター羽織るのも苦労する)
【浅穿きすぎるパンツスタイル】
屈んだときにウエスト周りがきつかったり、インナーが見えてしまうものは選ばない。
■ 番外編:検討中
【スカート、ワンピース】
白状しよう。
実は、購入してから一度も着ていない服が何着もある。(年単位で)
どうしてか手に取らない服には、共通点がある。
「好き」と「似合う」要素が強い。
デザインは「好き」だと思うし、同時に「似合う」とも思う。
それなのに違和感がある。その服で、誰かの視界に入る場に出ようとは思えない。
「好き」や「似合う」を最優先にした服を着たときの「見られ方」を、良しとしない自分の意識が隠れているのかもしれないと思い始めた。
「なりたい」要素が薄い服だった可能性がある。
これは、自問自答ファッションに出逢って気づいたことだ。本来服を選ぶときに私が重視したかったのは、「好き」や「似合う」ではなく、「なりたい」。──そう考えるなら、「好き」で選んだはずの服がしっくりこなくなる理由にも納得がいく。
「好き」なのに着られない。おかしな話だ。
だが実際、「好き」や「似合う」をメインにしすぎると手が伸びなくなる。
思えば、そうしたスカートやワンピースは、ほとんど試着をしなかった。店頭でデザインに惹かれて選んだものだ。その服を着た自分を見て、どう感じるか、というプロセスは踏んでいない。
「好き」で「似合う」から当然着るだろう、という思い込みだ。
もし試着をしていても、まだ違和感がなかったかもしれないし、または気づけなかったかもしれない。ファッションと紐付けた「なりたい自分」という概念は、自問自答ファッションから教わったものだ。
試着の旅では、「好きで似合っている」スカートやワンピース姿の自分を、「私が」どう判断するかも意識した方がいいんだろう。「好き」と「似合う」だけで迎えても、新たな肥やしにしてしまう可能性が高い。
現段階でのスカート・ワンピースは、「購入の優先順位を下げる」という位置づけにする。目を奪われるものと出逢っても、購入は何より慎重に。
■「着ない服リスト」おさらい
「着ない服リスト」をまとめると、こうなる。
・カジュアルすぎる服
・デニム素材のトップス、アウター
・スポーティーすぎる服
・ポップすぎる服
・ロゴの強さが目立つもの
・オーバーサイズすぎる服
・ネックラインの開きが広い服
・伸縮性の低いプルオーバー
・重たすぎる・チクチクする素材の服
・手入れに一手間かかる服
・編み目が大きいニット
・浅穿きすぎるパンツスタイル
このリストを反転させると、自分の存在したい世界線の服が見えてくる。
■ 存在したい世界線
【 世界観とディテール重視 /「なりたい」が優位 】
-体感 / 感覚 -
<世界観>
・怒り耐性が高い
・独自の世界観
・非現実的な日常
・「なりたい」が優位
<ディテール>
・重厚感と軽やかさのバランス(6:4)
・シルエットが綺麗
・ネックラインの開きが適度
・プルオーバーには伸縮性
・ニットは編み目が細かいもの
・着心地感がいい
・デニムは濃紺のボトムス
・ウエスト周りが快適
<ケア>
・服の手入れに手間がかからない
<備考>
・スカート・ワンピースは要自問自答
これが私の「着たい服」。
思った以上に、こだわりがある。
意外にも、ディテールを重視していることがわかった。こういうことを認識しないまま服を選ぶと、結果的に「何か違う」につながるんだろう。
「着ない服」を書き出してみると、服にストレスを感じる部分がはっきりした。それだけで、世の中にあるかなりの服から絞り込みが進み、焦点が見える。
ただ、さすがに全取っ替えというわけにはいかない。手持ちの服の中には、リストに上がった「着ない服」もある。
これから服を選ぶときは「着たいと思える」要素の項目を意識していけば、自分にとって理想の服がよりクリアになるだろう。
すべてにおいて低速な自分が言うのもなんだが、「着ない服リスト」はかなり試して欲しいアクション。必要なものは残り、自分の中の余剰なものは、だいぶごっそり落ちる。
自問自答ファッションのPDCAで、断服式(着ない服を手放すセレモニー)がアクションとして設定されている理由が少し分かった気がする。
着ない服やストレスポイントがはっきりしたことで、「どうなりたいか」のP──プランの解像度がより明確になりそうだ。
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