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【CFOコメント】丸井グループとの業務資本提携の舞台裏

2020年5月22日、当社、クラウドクレジット株式会社は2019年度(2019年12月期)の財務情報(※1)を公表いたしました。また、直近、2020年5月15日には、丸井グループとの業務資本提携をはじめとした資金調達(※2)も公表しております。

そこで今回は、この資金調達をはじめ当社の足元の財務状況および今後の展望につきまして、当社取締役CFO(最高財務責任者)の坂本隆宣がお伝えしてまいります。

※1 2019年度(2019年12月期)の当社の財務情報につきまして、詳しくはこちら( https://crowdcredit.jp/img/pdf/201912期_連結財務諸表サマリー.pdf )をご覧ください。

※2 本件に関するプレスリリースはこちら( https://crowdcredit.jp/info/detail/364 )をご覧ください。

当社の資金調達の必要性

2020年5月22日に公表いたしました2019年度(2019年12月期)の当社の財務情報にてご確認いただけるように、おかげさまで当社の損益は改善傾向にあり、キャッシュフローは単月で黒字を出すことができるようになりました。一昨年、2018年11月に調達した資金も充分残っており、追加で資金調達をせずともこのまま財務上は自走できる目途が立ちつつありました。

しかしながら、直近、有名スタートアップ企業等が資金繰りに窮するケースも散見されており、景気や資金調達環境に対する先行きを懸念せざるを得ない状況にございます。また、当社は法令上の自己資本規制こそないものの金融業を営んでいることから、手元資金を厚くすることにより経営の安定性を担保する必要性が高いと考えております。

資金調達先の選定

当社はこれまでも、当社のミッションへの共感に加え、事業シナジー(相乗効果)を十分に見込める資金調達先を、株主として迎えることに重点を置いてまいりました。とくに2019年以降は集客面での事業連携を進め、2019年12月には反響の大きかった2018年1月のテレビ出演時を超える単月で約17億円のファンド販売を実現するなど、大きな成果を上げました。

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上記の集客面での事業連携につきましては、主に既存株主のお客様である「投資経験者層」に向けて様々なアプローチを実施してまいりました。そうした中、2019年末に当社のお客様に対するアンケートを行った結果、非常に多くのお客様から当社ファンドの「社会貢献性」に魅力を感じているとの回答をいただきました。

一方で、これとあわせて当社のお客様の分布を調べてみたところ、当社の想定を超えて「投資経験者層」がここ1年で急増していることが判明しました。また、統計こそ取っていないものの、直近では女性のお客様も増加傾向にあるとの肌感もございました。

しかし、資金調達を行うにあたり、「投資経験者層」や女性へアプローチするための事業パートナーは正直なところすぐに思いつかず、既存株主と引き続き事業シナジーを追求するのが次善策と考え、一先ずは既存株主へ緩々とお声かけをするところから始めました。

丸井グループとの2年越しの再会

今般の丸井グループとの業務資本提携にあたり、百貨店のイメージが強い丸井グループと当社は意外な組み合わせと思われた方も少なくないかもしれません。

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実は丸井グループとは今から遡ること約2年前に一度お会いしていました。私が当社に入社したばかりの頃で、当時は丸井グループの資産運用子会社であるtsumiki証券も発足しておらず、「丸井グループとして資産運用分野に進出したい」とお話されていたのが印象的でした。当時の当社はまだ他社と連携する状況が整っておらず、その時点では具体的な進展はとくにありませんでした。

その後、ご縁あって昨年、2019年11月に開催された当社主催のイベントへtsumiki証券代表取締役CEOの寒竹氏に登壇いただく機会を得て(※3)、そこでお話いただいた内容が非常に新鮮で、「丸井グループは資産運用分野で興味深い取り組みをされている!」との印象を改めて強く持ちました。

※3 本イベント開催にあたってのtsumiki証券代表取締役CEOの寒竹氏へのインタビューおよび本イベント開催の模様は以下をご覧ください。

そして、2019年12月も半ばに差し掛かった頃、引き続き粛々と資金調達の準備を進めている中で、丸井グループから連絡があり、当社に足を運んでいただくことになりました。なお、この時は前回お会いさせていただいた方ではなく、私の知り合いであるメガバンクのキャピタリスト経由です。この方からは以前より大変お世話になっており、この場を借りて改めて御礼を申し上げます。

私は以前の勤め先で、某大手百貨店のM&A案件のファイナンシャル・アドバイザーを務めた経験がありましたので、丸井グループの事業モデルや収益構造が他社とはまったく異なることや、先進的なIR(投資家への情報発信)をされていることは存じ上げておりました。また、丸井グループはエポスカード事業を通じて「Inclusion(包摂)」を実現されようとしているのも存じておりましたが、この再会の際に丸井グループより改めて説明を受けました。

その「Inclusion(包摂)」の中でも、「Financial Inclusion(金融包摂)」は、当社が推進している「社会的インパクト投資(※4)」のコンセプトそのものですので、「これは運命だ!」と直感いたしました。

※4 当社の「社会的インパクト投資」につきまして、詳しくは以下をご覧ください。

さらにtsumiki証券と組ませていただくことは、当社が以前より推奨している「コアサテライト運用(※5)」のコンセプトにも合致しますので、非常に相性が良いと判断し、その時から丸井グループが今般の資金調達候補の一番手と思い至るようになりました。

※5 当社の推奨する「コアサテライト運用」につきまして、詳しくは以下をご覧ください。

丸井グループとの業務提携

年が明けて2020年となり、何度か丸井グループの担当チームの方々と打ち合わせをさせていただきました。お互いに業態こそ異なっていても世界観を同じくしていることで一層相互理解が深まり、業務提携の具体的な中身やステップの合意はスムーズに進めることができました。また、その間に代表取締役社長の青井様や取締役の加藤様をはじめ丸井グループの経営陣とも面談の機会を得て、学びや気づきもたくさんございました。

直近の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大が本格化するまでは実際にお会いしていましたが、やりとりの後半はリモートでの会議となったにもかかわらず、熱量やスピード感はまったく落ちないどころか、むしろ上がっていったことは印象に深く刻まれました。

業務提携の具体的な中身につきましては、今後順次公表してまいりますが、お互いの特徴を活かし組み合わせることで、非常にユニークな取組みが実現できると考えております。私はCFO(最高財務責任者)として財務部を管掌する一方、経営企画部も管掌しておりますので、引き続き最前線で陣頭指揮いたします。ぜひご期待ください。

同時並行で進めていた当社初の銀行との業務提携

さて、今般の資金調達先は、丸井グループに加えてもう2社ございます。2018年より当社の株主になっていただいたソニーフィナンシャルグループとグローバル・ブレインです。

この2社はベンチャー投資ファンドを一体運用されています。正確にいうと「ソニーフィナンシャルホールディングス株式会社の子会社であるソニーフィナンシャルベンチャーズ株式会社を有限責任組合員、グローバル・ブレイン株式会社を無限責任組合員とするSFV・GB投資事業有限責任組合」となります。あえてわかりやすくいうと「法人格は2社だが資金調達先は1社」です。

一方、今般の資金調達とは別に、先日、2020年5月12日にSBJ銀行との業務提携(※6)を公表させていただきました。こちらも半年以上かけて進めてまいりました。

※6 SBJ銀行との業務提携につきまして、詳しくはこちら( https://crowdcredit.jp/info/detail/363  )をご覧ください。

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これまで当社は証券会社との業務提携は多数ありましたが、銀行とは当社の商品特性等からなかなか業務提携の実現に至っておりませんでした。しかしながら、SBJ銀行の担当チームの方々と二人三脚で様々なハードルを乗り越え、当社として初の銀行との本格的な業務提携へと至りました。

今般の資金調達先で既存株主であるソニーフィナンシャルグループは、ご存知の方も多いかと思いますが、傘下にソニー銀行を擁しています。ソニー銀行は数あるネット銀行の中で外貨の取扱高トップであり、数多くの外貨建てファンドを販売している当社と相性が良いと考えております。SBJ銀行との業務提携を皮切りに、相応の時間を要するでしょうが、当社としては提携のスキームを横展開していく構えでおります。その起爆剤という文脈で、ソニーフィナンシャルグループから今般の資金調達をさせていただきました。

また、グローバル・ブレインは、日本国内において老舗のベンチャーキャピタルの1社です。定期的に行っている当社と当社の既存株主の打ち合わせ等においても、有益なアドバイスをいつも頂戴しており、その他の有形無形のサポートも手厚くいただいております。今後とも当社の主要株主の1社として、ご尽力いただけることを非常に頼もしく感じております。

資金調達額

ここまでで当社の資金調達の背景をお伝えしてまいりました。当社が株主に対して単に資金を求めているわけではないことを十分にご理解いただけたかと思います。金額もまた大事なことはたしかです。しかしながら、当社にとってより重要なのは、「どの株主から資金調達をするか」なのです。

1つ申し添えさせていただくと、資金調達環境はとくに直近2ヵ月で一変し、逆風が吹き荒れている中、当社の株式価値につきましては新規および既存の株主を問わず、高いとの声は聞かれなかった事実がございます。こちらの背景につきまして、詳しくはこちらをご覧いただければ幸いです。

資金使途

今般の資金調達の資金使途につきましては、

A. ファンド管理体制強化
B. より広範なお客様へリーチするためのマーケティング
C. 顧客体験の向上のためのUI/UXの改善に係るシステム開発

へ主に充当する予定です。

Aは終わりのない工程で以前より継続しておりますし、今後も継続してまいります(※7)。Bは前述のとおりになります。Cについても、直近でファンドパッケージ機能(※8)をリリースするなどしておりますが、今後ともお客様に有用な機能リリースをしていきます。

※7 直近の当社のファンド運営体制の状況につきまして、詳しくは以下をご覧ください。

※8 ファンドパッケージ機能につきまして、詳細は以下をご覧ください。

調達した資金を余すところなくお客様のために効率よく使うことで、結果としてさらに企業価値を向上させたいと考えております。

結び

この3か月で世界は大きく変わりました。

日本にもお金を必要としている方が増えていますが、それ以上に海外にも増えております。

こんな時だからこそ、当社としましては「世界をつなぐ金融」をミッション、資本市場や銀行融資ではお金の届きにくいところにお金を届けるというビジョンとして掲げていることに立ち返り、お客様に資産運用会社としてリターンはもちろんのこと、投資を通じて社会貢献につながっているという実感をお届けしたいと改めて強く思います。

そのための事業パートナーとしては、丸井グループが最適解であるということを、実績を持って証明していく所存です。

資金調達はゴールではなく、あくまでスタートであり、次の事業ステージに向かうための原資です。

◇ファンドの手数料およびリスクについて
ご出資いただく際の販売手数料はいただいておりません。
なお、出資に対して、年率換算で最大4.0%の運用手数料を運用開始時に(または運用開始時および2年度目以降毎年度に)いただきます。
また為替手数料その他の費用をご負担いただく場合があります。
為替相場の変動、国の政治的・経済的なカントリーリスクや債務者の債務不履行等により、元本に欠損が生じるおそれがあります。
ファンドごとに、手数料等およびリスク内容や性質が異なります。
詳しくは、匿名組合契約書や契約締結前交付書面等をよくお読みください。クラウドクレジット株式会社
第二種金融商品取引業:関東財務局長(金商)第2809号
一般社団法人 第二種金融商品取引業協会 加入

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