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社会的インパクト投資レポートvol.8:「アフリカ未電化地域支援ファンド」シリーズ

2018年6月18日、当社は「社会的インパクト投資宣言(※1)」を発表しました。社会的インパクト投資とは、貧困層支援や教育問題など社会的課題の解決に取り組む企業や領域に投資し、経済的なリターンと社会的なリターンの両立を実現する投資手法を指します。この社会的インパクト投資レポートでは当社の各ファンドシリーズが具体的にどのような社会的リターンを実現するかについて定量的かつ定性的にお伝えしてまいります。
※1 当社の社会的インパクト投資に対する考え方についてはこちら(https://crowdcredit.jp/about/social-investment)もあわせてご参照ください。

今回、社会的インパクト投資レポート本編の第8弾としてお伝えするのは、現在販売中(本レポート発行日の2020年2月6日現在)の、アフリカのとくに電力供給が低い水準に陥っているサブサハラ・アフリカ地域(サハラ砂漠以南のアフリカ諸国)に電気を届ける「アフリカ未電化地域支援ファンド」シリーズです。

社会的インパクト投資レポート本編第2弾(※2)では、世界には未だ約8億4000万人もの人々に安定的な電力が届いておらず、SDGs「7.エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」への達成に向けて電力アクセスを加速する必要があることをお伝えしました。そんな中注目されている電力がオフグリッド電力であること、特にPAYG(Pay as you go: その都度払いすること)」モデルを使ったソーラーホームシステムの普及が注目されていることもご報告しました。
※2 以下もあわせてご参照ください。

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サブサハラ・アフリカと電力アクセス

今回は、サブサハラ・アフリカの電力アクセスの状況を見てみましょう。
サブサハラは、北アフリカを除くサハラ砂漠より南に位置する49ヵ国を指しています(下図)。

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出所:外務省

これらの国々には、約12億人もの人々が暮らしています。これらの地域では2017年時点で電力アクセスが人口の63.8%と低く、他の全地域が97%以上を達成する中、同地域における電力アクセス向上に向けた取り組みが、非常に重要であると考えられます。

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出所:世界銀行

アフリカに電力を届ける、Azuri社の取組み

「アフリカ未電化地域支援ファンド」のパートナーは、AZURI TECHNOLOGIES LTD.(Azuri社)です。当ファンドの貸付先はAzuri社の100%子会社であるAZURI TAIYOKO LIMITED(Azuri Taiyoko社)で、当社からの融資調達のための特別目的会社として設立されました。

Azuri社は、上述のサブサハラ・アフリカの電力アクセスの課題に、PAYGモデルを活用し、かつ革新的な技術を使い、ソーラーホームシステムの割賦販売をサブサハラ・アフリカの複数国で展開しています。具体的には、写真のように、顧客のニーズと支払能力に応じて、ソーラーパネルと共に複数のパッケージを提供しています。

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例えば、左の写真は、現地の大手衛星放送プロバイダと提携し太陽光発電ユニットとテレビ、衛星テレビ用受信アンテナを組み合わせ、セット販売しているものです。右の写真はラジオや懐中電灯、携帯充電器など、生活に必要な家電をセットにし、割賦払いの負担を抑えているユニットです。

Azuri社の商品は各家庭の電気使用量のパターンを学習し、天候に合わせて発電量を調整するAIシステムを導入している点が特徴的です。例えば、天候が悪い日に備えて電球の明るさを抑えたり、電気使用量の多い夕方以降に向けて発電量を抑制したりするなど、発電効率を各家庭に合わせて最適化することができます。

Azuri社の顧客は携帯電話のショートメッセージ(SMS)やスクラッチカードによるプリペイド方式を主とした電子決済で課金され、18ヵ月にわたって定期的に少額の支払いを行います。支払い期間が完了すれば、顧客はそのまま継続してシステムを使うことが出来るのです。

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「アフリカ未電化地域支援ファンド」シリーズがもたらすインパクト

Azuri社の事業は、どの様な社会的なインパクトをもたらすのでしょうか。

① 金融アクセス
Azuri社の顧客の多くが、ソーラーホームシステムを手に入れると同時に、初めてモバイルマネーに触れ、使い方を学びます。そして、支払い実績を積むことで、他の金融サービスを受ける際の与信向上にもつながります。また、Azuri社はマイクロ・インシュアランス(※3)とも連携しているため、顧客は不測の収入変動やライフイベントに備えることが出来ます。
※3 マイクロ・インシュアランスとは、マイクロファイナンスの一種で、主に発展途上国の貧困者向けに設計された小口の保険を指します。なお、マイクロファイナンスにつきましては以下もあわせてご参照ください。

② 雇用と村落での機会創出
Azuri社は、サブサハラ・アフリカの複数の国の代理店と提携しています。その仕組みを通して、5,000人以上の雇用機会を創出しました。また、ソーラーホームシステムを手に入れた人々の約60%が、3か月以内の間に仕事に勤しむ時間を増やしています。
このように、ソーラーホームシステムは、顧客の就労機会の創出に貢献しています。

③ 健康と安全
電力アクセスがない家庭では、電球の代わりにケロシン(灯油)ランプが照らす薄暗い屋内で勉強をしたり、家事をしたりしなければなりません。ケロシンランプはたばこと同様の煙を吸い込むことになり、呼吸器疾患の発症率が上がり、また中枢神経にも影響を与えるリスクが高まります。また、ランプが倒れると家屋の火事やケガにもつながります。ソーラーホームシステムが届けるクリーンな電力は、健康と安全を届けています。
同時に、Azuri社が届ける衛星TVによって、顧客はこれまで新しい情報を学び、健康や社会問題についての知識を増やすことが出来ています。

④ 教育の向上・知識の向上
ソーラーホームシステムの利用者は、発電を通して使えるようになったラジオやテレビで、より幅広い情報を得ることが出来ます。直近のAzuri社の調査によると、98%の顧客がAzuri社の提供する衛星TVにより、コミュニケーションスキルが向上し、世界や地域で起こっている事象についての理解が深まったと答えています。また、明るい電球の明かりの下、日没後も子供たちが勉強や読書が出来る様になり、教育レベルが向上します。

Azuri社によると、10,000ユニットが届くごとに、

Ⅰ. 50,000人の電力アクセスの増加
Ⅱ. 平均199万ドルの燃料関連支出の減少
Ⅲ. 年間平均12,000トンの温室効果ガス削減

に貢献しているとのことです。

いかがでしたでしょうか。これらをふまえると、Azuri社のソーラーホームシステムはSDGs「7. エネルギーをみんなに そしてクリーンに」だけではなく、「1. 貧困をなくそう」「3. そべての人に健康と福祉を」「9.産業と技術革新の基盤をつくろう」「13. 気候変動に具体的な対策を」に広く貢献していると考えられます。

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当社は引き続き、「アフリカ未電化地域支援ファンド」シリーズのAzuri Taiyoko社への融資を通じて、Azuri社の事業を支援してまいります。

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◇ファンドの手数料およびリスクについて
ご出資いただく際の販売手数料はいただいておりません。
なお、出資に対して、年率換算で最大4.0%の運用手数料を運用開始時に(または運用開始時および2年度目以降毎年度に)いただきます。
また為替手数料その他の費用をご負担いただく場合があります。
為替相場の変動、国の政治的・経済的なカントリーリスクや債務者の債務不履行等により、元本に欠損が生じるおそれがあります。
ファンドごとに、手数料等およびリスク内容や性質が異なります。
詳しくは、匿名組合契約書や契約締結前交付書面等をよくお読みください。クラウドクレジット株式会社
第二種金融商品取引業:関東財務局長(金商)第2809号
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