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【運用部コメント】ファンダメンタル分析に基づいた通貨の強弱の「見える化」

外貨建て投資の魅力として、低金利が長期化する日本国内では得難い高金利を享受できる点などを挙げることができます。一方で、外貨建て投資をするにあたって、避けて通ることができないのが、為替変動リスクです。為替相場は様々な要因によって動くため、すべての要因を網羅して観察するのは不可能に近いといえます。しかしながら、少なくとも各国や地域のファンダメンタル(経済の基礎的条件)を理解し、観察するのは、リスクマネジメントの観点からも非常に重要なことであるに違いありません。そこで今回は、各国や地域のファンダメンタル分析に基づいて、通貨ごとの強弱の「見える化」を試みます。

1. 各国や地域のファンダメンタルを観察して要注意の通貨を確認

投資対象の国や地域のファンダメンタルを観察するにはどのようにすれば良いでしょうか。基本的には以下の3点を把握するところから始めます。

(1)経常収支/GDP比率:大幅な赤字は国内の貯蓄不足であるので要注意
(2)純政府債務/GDP比率:国力に比べて国外資本への依存度が相対的に高い国は要注意
(3)消費者物価上昇率(対前年比予想):伸び率が急上昇している通貨は売られやすい

上記の3つの指標は、国際通貨基金(IMF)が年2回公表するWorld Economic Outlookの予想値を使うのが一般的です。今回は2020年4月に公表された2020年の予想値を使って見ていきましょう。

2. 各ファンダメンタル指標の推移

(1)経常収支/GDP比率

ここでは、その国や地域が目先、世界全体と比較して、相対的に良いのか悪いのかを把握するために、以下のように経常収支/GDP比率の数値の範囲に応じてスコアを付けました。

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結果は以下のとおりです。

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(2)純政府債務/GDP比率

(1)と同様、その国や地域が目先、世界全体と比較して、相対的に良いのか悪いのかを把握するために、以下のように純政府債務/GDP比率の数値の範囲に応じてスコアを付けました。

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結果は以下のとおりです。

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(3)消費者物価上昇率(対前年比予想)

(1)および(2)と同様、その国や地域が目先、世界全体と比較して、相対的に良いのか悪いのかを把握するために、以下のように消費者物価上昇率(対前年比予想)の数値の範囲に応じてスコアを付けました。

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結果は以下のとおりです。

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3. 3つの指標のスコア平均を算出、各国や地域のファンダメンタルをレーティング

上記3つの指標ごとのスコアの平均値をとって、目先の各国や地域のファンダメンタルをレーティングすると、以下の結果が得られます。

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これを見ると、先進国か新興国かを問わず、各国や地域によってファンダメンタルの良し悪しは異なります。足下で「先進国」、「新興国」といったキーワードで一括りにされがちですが、各々のファンダメンタルは一括りにできないことがお分かりいただけるかと思います。

ちなみに、米国のレーティングが「不安定」となっているのは、政府債務が巨大であることと、貿易赤字が大きいことから経常収支のマイナスが対GDP比で大きくなっていることが理由です。1980年代から続く双子の赤字が解消されていないということです。

このファンダメンタルの良し悪しが、通貨の強弱を決める大きな要因の1つであることを踏まえ、どの国や地域の通貨に投資をすれば期待が持てるか、ぜひ参考にしていただければ幸いです。

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