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社会的インパクト投資レポート<番外編vol.5>:資金の出し手としての責務

2018年6月18日、当社は「社会的インパクト投資宣言(※1)」を発表しました。社会的インパクト投資とは、貧困層支援や教育問題など社会的課題の解決に取り組む企業や領域に投資し、経済的なリターンと社会的なリターンの両立を実現する投資手法を指します。この社会的インパクト投資レポートでは当社の各ファンドシリーズが具体的にどのような社会的リターンを実現するかについて定量的かつ定性的にお伝えしてまいります。

※1 当社の社会的インパクト投資に対する考え方についてはこちら( https://crowdcredit.jp/about/social-investment  )もあわせてご参照ください。

今回は番外編第5弾になります。ここでは、社会的インパクト投資分野における資金の出し手としての責務につきまして、その考え方をご紹介していきます。

“Responsible Investment(責任ある投資)”の考え方

まず、直近取りざたされることの多い環境(Environment)、社会(Social)、統治(Governance)それぞれの英単語の頭文字をとった「ESG投資」は、従来のSRI(社会的責任投資)に代わる新しい流れを創り出した「責任投資原則(Principles of Responsible Investment、以下「PRI」)」に基づいています。

PRIとは2006年に国連主導で発足した投資原則で、機関投資家がESGに配慮した投資を行う際の原則を定めているものです。資金の出し手がESGの観点から責任ある行動をとることで、持続可能な社会に大きな役割を果たせるという考え方に基づいています。

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出所:国連PRIホームページに基づいてクラウドクレジット作成

2019年末時点でPRIへの署名者数は全世界で2,372社となり、その総資産運用残高は86.3兆ドルにまで拡大しています。日本では72社が署名をしています。

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PRIに署名した機関は、6つの原則に基づいて、ESG投資のための方針策定や分析ツール導入だけではなく、投資先への働きかけや関係者との協業、年次会計報告書における開示や活動状況・進捗の情報提供を継続的に行うことが求められます。

また、PRIのネットワークでは、様々なツールや具体的な導入指針、また世界のベストプラクティス事例を提供することで、責任ある投資に関する知見の共有や標準化を図っています。

PRIは個社の投資行動の変容だけではなく、署名機関間の協働も促しているのが興味深い点です。例えば2019年9月には、合計で16.2兆ドルを運用する230社が、ブラジルとボリビアにまたがるアマゾンの森林破壊について、当該リスクに関する情報開示や課題解決に向けた働きかけをすべく共同宣言を行っています。

“Responsible Banking(責任ある銀行)”の考え方

上記のPRIの銀行版が、Principles for Responsible Banking(PRB、国連責任銀行原則)です。PRBは国連主導で2019年9月に発足した原則で、SDGs(持続可能な開発目標)および2015年12月に採択されたパリ協定(※2)に沿う、銀行サービスの指針を示しています。

※2 パリ協定とは、2015年12月に開催された第21回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP21)で制定された2020年以降の温室効果ガス排出削減等のための新たな国際枠組みのことです。

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出所:UNEPFIホームページに基づいてクラウドクレジット作成

2019年9月の発足時には、49か国130行が参加しました。これらの銀行の資産は合計で49兆ドルになります。

PRBはSDGsだけではなく、パリ協定が定める気候変動対策にも強く配慮しており、化石燃料の拡大や森林破壊に対して、融資などの銀行サービスの提供者としてどのように具体的責務を果たしていくかが注目されています。

生み出される“責任ある金融サービス”

これらのPRI、PRBへのコミットメントに関連して、下表のような、様々な金融サービスが生まれています。

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これらの金融サービスを通して、融資・債券発行時の「持続可能性への貢献」「SDGsへの取組み」などの課題解決目標や指標提供だけではなく、融資・債券発行後のひいては数十年後にもあらわれる実際の結果に対する説明責任が、お金の出し手側にも受け手側にも一層求められることになります。

日本でも社会的インパクト投資が次第に注目される中で、PRI・PRBが求める責務について、一層のコミットメントが求められるようになるのではないでしょうか。

◇ファンドの手数料およびリスクについて
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クラウドクレジット株式会社
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