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備忘録【体験型演劇と第四の壁】

こんにちは、これをあげている頃には作品が出来上がっていることでしょう。青木です。

現在、書き進めている台本を書く上で備忘録として残しておこうと思います。型破りなことがしたいときにはしらねばなりません。

「告解室」書くときにまず困ったこと。

舞台用マルチシナリオの書き方に関して見つからない…!
そもそも体験型演劇がよくわかっていない…。
知らないだけで観客に関わることは暗黙のご法度か…?
わからん…!!!

有名作家さんや古典なら台本が、新しいものは公演(再演)で観ることができますが、大体のものはもうすでに公演が終わっていました。また、どこも企画でやっているのか、ボクの調べ方がいけないのか、情報がなかなかみつからなかったので、劇団さんの公式HPの過去公演や広報のためのニュース記事を参考にしていきました。

「そもそもイマ―シブシアターってなに?」(naoyahanaokaさんの記事)
https://note.com/naoyahanaoka/n/n5bc73ca59268

「体験型「演劇」の可能性についての覚書」(三月さんという方の記事)
https://note.com/march36rabbit/n/n7cc7ddbcc0ee

分類のベースはこちらの記事を参考にしています。(リンクから記事へとべます)


〇参加型演劇についての情報と分析


(会場支配系)※定番はここからっぽい



〇『Sleep No More』Punchdrunk(イギリスの劇団)※「Audience」演劇紹介HPより参照

〇『ハートフルウェディングストーリー』(株式会社THE MAGRITTE)※公式HPブログより参照

・観客席を設けないので自由度が高い。
・席がなく、動きながら見るので様々な角度からみることができる。
・「泊まれる」「ホテル100部屋」等、会場規模がとても大きい。
→ゆえにこの方式をとっている公演はわりと多く見かけた。

例:「Venus of TOKYO」(Dazzle)、「ANOTHER DOOR」(株式会社L&Gグローバルビジネス)などなど

(個人的におもったこと)
規模がでかい(そこがいい)。鳳明館という老舗の旅館が「文豪缶詰プラン」(泊まりながら〆切が迫る作家気分が味わえる。偽物の編集者が「先生進捗どうですか?」等声をかけてくれるコースもあるらしい)を思い出した。【自分が登場人物】という点だけならばこの缶詰プランも参加型脱出ゲームもイマ―シブシアターの似たものになるので、「演劇の定義とはなんぞ?」ともなった。世界は日々進化してるんだなぁ…。

★劇団ではなく、会社がプロジェクト企画としてやっているものが目立っていたため、かなり大きなお金と人間が動かないと出来ないタイプでもある。チケットの価格もプロの劇団かテーマパークのアトラクション並みなので、お金と時間に融通が利いててアミューズメントが好きな人はきっとチケット買うだろうなぁ。(ボクは出費(+交通費)と数か月分の生活費を天秤にかけて、それでもよほど興味がある演目ならば行ってみたい)

(教育系)



〇GLODEA劇場「クリスマスキャロル」
※「シアター・イン・エデュケーション」の紹介としての記事を参照。

・「観劇パート」「参加パート」に分け、劇を楽しむ。
・舞台と観客の境目が曖昧なため、観客(児童)とキャストの距離が近い。
・劇を見るというより、「劇の中で遊びながら学べる」という感じ。

(個人的に思ったこと)
この手法、初めて知った。ボクの周辺で「児童を対象とした演劇/子どもが参加できる演劇」と聞くと、市民演劇のように合同で一つの作品を作ったり、戦隊ものの応援のように「ここで声かけて!」というようなものぐらいだったので新鮮。記事にあげられている公演は劇を使った児童の教育がもとなので、ゲームを組み込んだり、クイズを入れたりしているが、【舞台と観客の境界を曖昧にできる】というのは魅力的だなと思った。

★記事の感じから「大勢での参加が予測される場合は不向き」と思った。演劇だけでなく、WSや学校の講義にも当てはまるけど多ければ多いほど一人一人と向き合うのは時間によって厳しくなると思う。広い空間をとれない場合、教室等狭い空間で行う前提の場合ならかなり使えそうだなぁという印象。

(分岐系)



〇「神様の言う通り2」NICESTKER ※公式HP・過去公演紹介ページ

〇「エンジェルナイツ」(株主総会)
 ※公式HPはなくなっていたので、インタビューや広報ページより推測。

http://entre-news.jp/2017/07/41178.html

〇劇団ゲキジョウ! 
 ※公式HP/ツイッターがなくなっていたためインタビュー記事より推測。

(特徴)
・作中に分岐ルートを作り、観客に投票を設け、エンディングも変わる。
・大体は、電子ツールを使った「投票制度」を採用。
 →観客は間接的に物語に関わる形になる。
・みかけるジャンルはファンタジーが多い(気がする)

(個人的に思ったこと)
分岐ルートを細かく設けている(もしくは設けていただろう)ので、ノベルゲーム感覚で演劇が見れるのだろうと思ったと同時に、役者さんはかなり大変だっただろうなぁと思ったのと思った。「神様の言う通り2」の公演記録を見る限り、かなりバラエティ豊かな選択肢を用意しており何通りあるんだろう…。

★今回、「告解室」はこの分岐システムを参考にした。書いていてわかったのが、作中にノベルゲーム並みの分岐や物語にこだわりを取り入れようとすると、観客は楽しめるがそれだけ選ばれないかもしれないルートのセリフや動きを覚える役者の負担や小道具・演出(時間や資金面)に負担がかかることをある程度覚悟する必要が出てくるんだろうなと。

(推理系)


〇参加型ミステリー演劇(P.T企画) ※公式HPより


〇「アンタレスへのラブレター」(EN劇集団さんたばっぐ)※公式HPより

・観劇と、観劇を楽しむための推理用資料
・席を離れて参加する(P.T企画)、体感席と傍観席に分ける(さんたばっく)と参加度合いを分けることができる。
・推理ものなのでジャンルもサスペンス。

(個人的に思ったこと)
脱出ゲームなど「自分が参加して謎をといていく」ジャンルが好きな人だったらすごい楽しいだろうなという印象。また、ジャンルがサスペンスということもあり、脚本+謎解き用の謎を作る必要があるのでこれも脚本書くときにすごく頭を使うんだろうなぁと思った。冒頭の「Sleep No More」(Punchdrunk)も参加型謎解きの要素があったので、従来の(?)イマ―シブシアター要素が強い。

★多分、ボクが探偵/推理ものの演劇に出会ってこなかったことでイメージがついていないことが一番の原因だと思うのですが、プロットの段階で「凝った世界観を表現するならCGがきく映像や内面描写の表現に融通がきく小説にしない理由の?」と突っ込まれそうで怯えた。演劇でなければならない理由ってどこだろうという落としどころを見つけるのが難しそうなイメージ。作ってみたいけど現時点の自分の技量ではきっとうまく作れない。実際に公演を見たらきっと「演劇だからこそここがいい!この表現ができる!」が見えてきそうなところではあるのだけれど、現時点では課題としていったん保留。

〇ボクが考える「第四の壁」概念

第四の壁とは以下のようなことをさします

第四の壁(だいしのかべ、だいよんのかべ、英: fourth wall)は、舞台と客席を分ける一線のこと。プロセニアム・アーチ付きの舞台の正面に築かれた、想像上の見えない壁であり、フィクションである演劇内の世界と観客のいる現実世界との境界を表す概念である。

Wikipedia「第四の壁」より

記憶の端、おそらく中学の時の地区大会でしょうか。
いつも優勝を勝ち取っていく学校がありまして、客席から舞台へ登場する演出がありました。たしか私立で道具にかけられる資金も衣装も潤沢、顧問は演劇の専門知識を豊富に持ち、小さな劇団のようでした。

勿論、その大会もその学校が優勝を勝ち取っていたのですが、当時の審査員の方が言ったのは「劇の世界はあくまで舞台の上であって、こちら(観客側)とは別世界だ」「迫力が出るがそれは演劇とは違う」というような言葉でした。

イマ―シブルシアターも一部観客参加を設けてはいますが、基本は「観客席から飛び出してエキストラの立ち位置から演劇みれるよ!」「貴方の意思が物語に反映されるよ!」と大きく分けられるイメージでした。

前者に至っては暗黙の了解という形で第四の壁が守られている印象、後者は第四の壁がを破っているものの、観客に主導権(自由意志?)がある印象でした。

ボクは作品によっては体験型演劇のようにルールを設けて第四の壁を壊すこういった手法もありだと考えます。(ただ、公募のような作品そのものの評価が必要なものはあまりにも観客や役者などのアドリブに左右されるので自劇団の公演向きに収める必要がありますが…)

過去の他劇団の上演や古典・有名どころの脚本から地道に吸収しているものの、あくまで好きで台本を書いたり、演劇を作ってきた身なので、詳しい人からしたら「何言ってんだこいつ」といわれるかもしれません。もちろん、重々承知です。

ただ、あてどなし名義で書いているものはに関しては、ボク、ちょっと悪いことがしたいのです。

他人事としてみていたら目があって、自分に矛先が向くあの瞬間。映画でも一番ぞくりとするのはそんな場面ではないでしょうか。自分が管理でき、絶対安心だと思っていた第四の壁(シェルター)が観客自身の選択で崩落するし、目の前の架空の人物が自分を認知してみている。これも一種の体感にはならないでしょうか。

副音声公演として、もともと場所と時間の条件を決めて書いた2作品の性質的に『【傍観者もまた加害者である】という構図をどうやったら気づかせることができるか』『それがどうやったら観客に伝わるか』をずっと考えておりました。せっかく役者の視線(目の動き)まで見える距離でやれるならそれがいかせる仕掛け作って、特別感があるほうが面白いと思ったので。どんびいた顔まで見れるならばなお最高じゃないですか。

コメディ、ファンタジー、感動ヒューマンドラマ…。誰からも愛される定番をよそがやっているなら、「うちでしか見れないものを作ってみたい」と思うのは演劇だけでなく創作をやっている方なら、共感していただけないでしょうか…。


というのを、公演まで持ってアフタートークやパンフで言えたら最っ高にかっこいいと青木は思うんです…今回も無理でしたが…( ᐛ)

きっと、日の目を見ないので書きたい事書いても許されるかなと思って書きました。楽しかったです。

それではまた…。


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