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#観劇記録「りつとにじのたね」

こんにちは、青木葎です。
10月に観劇した舞台の原作絵本をやっと読むことが出来たので記録・感想を残すことにしました。

〇演目と感想

あらすじ
くまの国に住む小学生のりつ。かわいい服やものが大好きな男の子です。
同級生たちはそんなりつを笑います。
「ぼくは、すきなものをすきっていいたいだけなのに…」
傷ついたりつは、くまの国から旅立ちます。

演劇集団LGBTI東京 公演HPより引用

野外での公演で、高架下の公園がまるっと舞台になっていました。
もともと絵本がもととなり、踊りがあり、歌があり。小さいお子さんまでわかりやすくみれるお芝居でした。

自分を認めてくれる場所へ旅に出る主人公のクマの子・りつがメインですが、周囲に描かれるキャラクターもそれぞれ個性的でした。「次はだれが出るんだろう」と楽しみになる演出も面白かったと同時に、「ふつうとはなにか」「らしさとはなにか」を考えさせられる物語でした。

じつは、岡山湖畔劇場のクラウドファンディング募集時にお見かけした時に名前が「葎(りつ)」つながりで印象に残っていたのと、いつかは見たいと思っていた題材のものであったのでかげながら楽しみにしていました。

〇読書記録

近くの図書館になかったのでちょっと遠くまで探してきました。
やっと、やっと見つけることができた…。

絵本は劇とはまた違う部分があり、演劇版を先に見ていたので原作のりつのおかれている環境の違いに「えっ…」となりました。

「せんせいも、だれも たすけてくれません」(5頁)
「なんでくろいろじゃないの? へんないろ!」(9頁)
「きみのけは、つんつんじゃない。
 かっこわるいから、つんつんにしなよ。」(11頁)

絵本「りつとにじのたね」より一部引用(原文ママ)

絵本版、心が痛い。
そして、同時に、小学生の頃の思い出が脳裏をよぎりました。

ボク、小学生の時に今以上に人としゃべるのが苦手で本ばっか読んでたんです。ある日先生から引き留められて「ほら、みんな入れてあげて」と笑顔で先生が適当なグループに放り込まれたことがあって、その時のあの異物を見るような視線、大人になった今でもトラウマです。最初は周りの子は怒られたくないし入れてくれるんですけど、緊張して、委縮して、なにもしゃべれなくなると先生のいないところで「じゃまだよ」と追い出されて、結局とぼとぼ図書館に逃げたら先生に見つかって「そういわれるような態度(いじめられるようなこと)をする方が悪い」と一言。そして、がんばって別の日に自分と似たタイプの子に話しかけたら、「自分も●●に目をつけられるからこんで」と言われ…。もう地獄でしたね。まぁ、ボク、思い出のほとんどが地獄しかないんで別にもうあきらめているんですけど。

ジェンダーとはまた違いますが、理由が見た目にしろ、考え方にしろ、なにが好きか嫌いかにしろ、否定される/助けてもらえないのはきついし辛い気持ちは共感できるを通り越してボクは思い出したくないレベルです。ゆえに、物語の中で「ぼくはここにいていいんだ」と泣いた場面は絵本ながらに胸が苦しかったし、それでも前に進む主人公は強い子だなぁと思いました。えらい、応援するよ。がんばれ。

〇覚書

あくまで記録・感想なのでネタバレは伏せますが、演劇版では「自らいろんな人にあって自分を探しに行く」という印象絵本版は「自分が受け入れてもらえない環境を渡り歩いた末、自分を見つける」という印象が描かれていました。また、演劇版は絵本版より登場人物が多く、よりさまざまな視点や立場からの性別によるイメージだったり習慣による固定観念だったりも出てきていて、絵本とは違う見方も出来るよう作られてました。

ボク、作品でジェンダーを題材にした脚本を普段書いていながらこういった題材の作品を実際に観ることが出来ずにいました。調べてみたこともあるのですが大体終わってしまっていたり、関東などの都市部での公演だったり…なんど逃したことか…。

また、ボク自身が諸事情で役者をあきらめてしまった人間なので、「あぁ、こういう劇や劇団さんもいらっしゃるんだな」と勇気づけられました。本当にありがたかったです。

それではまた…。



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