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閻魔様にほめられたくて―WITH 閻魔様 LIFE @鎌倉―

はじめまして!「Crouton Kamakura 」の編集長です。鎌倉で暮らす白い犬です。気づけば梅雨・・・扇風機の風が気持ちいい季節になりました。それでは、思い切って初投稿いたします。


■鎌倉で一番好きなお寺――閻魔寺
鎌倉に「閻魔(えんま)寺」と呼ばれるお寺があります。
正しくは「円應寺」(えんのうじ)。
個人的に、鎌倉で一番好きなお寺です。

「そんなお寺あったっけ?」と、もしかしたら思われるかもしれません。
確かに、テレビとか雑誌の鎌倉特集でこの「閻魔寺」をみかけたことってほとんどないかも。
でも、しかーし!
この「閻魔寺」、実にいいんです。
小さくて、すごく地味なんだけれど、なんかいい。

その一目見たときの閻魔像の迫力たるや……。
何だか久々に叱られたような感覚です。

大人になると、言い訳がうまくなりませんか。
自分が間違っていると思いつつも、言い訳をし続けて、事態をうやむやにしたりね。
いつの間にかずるく、巧みに、
誰からも非難されないようにノラリクラリと生きるようになったり。

しかーし、閻魔様は全てをお見通し。

「コラーッ!」

閻魔様の眼圧のすごさったら。
「ごめんなさい!」って素直に謝ってしまいます。
自然と頭を下げて拝観するお寺……
それが「円應寺」、人呼んで「閻魔寺」です。

あっ、ちなみに、このお寺はペットNGです(残念!)。
私は犬なので
ここの取材は編集部員のライター(飼い主)に任せました。


■鎌倉から歩いて15分くらい

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まずは閻魔寺までの行き方です。
電車で訪れる場合は、「北鎌倉」という小さな駅で降ります。
東口には鎌倉五山の一つ、禅寺で有名な円覚寺がありますが、そちらではなく西口から出ます。
東京や横浜から来たときは、降りたホームの反対側にある改札です。
この反対側のホームに行くとき、線路の上を直接渡ります。
このローカル感、たまりません。

改札を出ると車が3台ほどとめられるスペースがあります。
タクシー乗り場なんて気の利いものはありません。
ただただスペースと、それを取り巻くように数軒の店があるだけです。

あの有名な鳩のサブレーの店もありますが、
そのほかの店はこじんまりとした個性的(良い意味で)なところばかりです(あくまで個人的な印象です)。

老舗の和菓子屋さんやミシュランで星を獲得したという会席料理屋、レトロな喫茶店、おいなりさん専門の古めかしいお寿司屋さんなど。
どの店も小さくてとても控えめです(あくまで個人的な印象です)。

個人的なおすすめは、通りに一番近い場所にあるそば屋さん「やま本きそば」です。

この店のそばのおいしさを一言で表すならば
「普通においしい!」です。

普通においしいというのは、ディスっているわけではなくて
ただただおいしいということです。
つまり、おいしいんです。
良い意味で普通においしいおそばを控えめな価格でいただけます。

そして、おそば以上にもっと味わっていただきたいのが、店の雰囲気です。
ここで陽気の良い日におそばを食べると、
店の奥からすーっと気持ちの良い風が流れてくるのを肌で感じます。
「あれっ」と思って目をやると、店の反対側には大きな窓があり、
そこから円覚寺の山から降りてきたと思われる風が吹き込んでくるのです。
やさしい風に髪を揺らしながら、おいしいおそばをいただく。
「鎌倉にいるんだな」と感じる一瞬です。
入口ののれんの横にある屋外席もおすすめですね。
この席なら犬も大丈夫(良い店ですね)。

そんな“カマクラ的”なスペースを通り抜けると、すぐに大きな通りにぶつかります。
その通りを左に曲がります。
その道は、円覚寺や建長寺、鶴岡八幡宮に続くので、車通りが激しいです。

車に気を付けながら歩道を歩くと、
先ほど降りた横須賀線の踏切があります。
そこを越えるとゆるやかな坂になります。
えっちらおっちらと歩いていくと、やがて建長寺の入口が見えて来ます。
このお寺も鎌倉五山の一つ(第一位)で、入口から立派です。

そんな建長寺を横目で見つつ通り過ぎ、さらに坂を上がっていくと、
右手に細い石段が見えます。似たような石段が他にもあるのですが、
階段に赤い幟(のぼり)が並んでいれば、そこが閻魔様のお寺、円應寺の入口です。

■閻魔寺のお堂へ

拝観料の200円(これもなんて控えめな)を払って境内へ。
はい、ここは小さな、本当に小さなお寺です。

お堂に一歩入ると、真正面に迫力満点の閻魔様が座っていらっしゃいます。

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(写真は、お寺の方に許可をいただいてから撮影させていただきました)

このお寺の閻魔像、言い伝えによると運慶作だとか(私は信じています)。
造形美がすごいですねとか、力強さがありますねとか、
ついつい語りたくなりそうですが、閻魔様を見た瞬間・・・
のんきに感想を言う心の余裕は一瞬で吹き飛ばされます。
なので、まずは閻魔様にしっかりと叱っていただきましょう。

このお堂には、閻魔様以外にもたくさんの像があります。
ここには亡者が冥界において出合う「十王」を祀られています。

このお寺のホームページにはこう書かれています。


「十王とは、亡者が冥界において出合う十人の王のことです。亡者は冥界において七日ごとに七回、さらに百ヶ日、一周忌、三回忌の合計十 回、それぞれの王の取り調べを受けます」
(中略)
「亡者はまず、初七日の秦広王、二・七日の初江王、三・七日の宋帝王、四・七日の五官王と、生前の罪を取り調べられます。その結果により五・七日(三十五日)の閻魔大王が、六道(天上、人間、修羅、畜生、餓鬼、地獄)のどこに生まれ変わるかを決定します」
引用:https://kamakura-ennouji.jp/annai

取り調べ帳(エンマ帳)に書かれた生前の罪が重ければ、亡者は閻魔様に厳しく怒られて、しかるべき道に行くことを決められるわけですね。

お堂の中は薄暗く、その真ん中に立てば、十の王たちのまなざしを一身に受けます。
「人は、死んだらどんな気持ちになるのだろう?」
そんなことを静寂の中で思ったりします。

このお堂には、それぞれの像についての説明書きが掲示されています。
中でも、やはり閻魔様(閻魔大王座像)についての説明書きが印象的です。
ここで初めてこの説明書きを読んだとき、軽い衝撃を覚えました。

実は、閻魔様は、本当は叱りたくないのだと。
さらに、閻魔様が叱ると、閻魔様自身が亡者以上の苦しみを味わわなければならないとも。
本当は何もしたくないのだけれど、
それでも、亡者の生前の罪を知ると、叱らずにはいられない。
それは業なのだと。

だから、閻魔様の願いは、人々が罪をおかさないこと。

悪いことをしてはいけないのはなぜか……それは閻魔様を苦しめないため。

記憶が定かでないので、少し違っているかもしれませんが、そんなことが書かれていました。

閻魔様は、烈火のごとく怒っていたけれど、心の中で苦しくて苦しくてたまらない。悪業をした本人よりももっともっと辛い思いをしているんです。

悪いことはしてはいけない。
それは、心優しい閻魔様をこれ以上苦しませないためにも。

ホームページにこう書かれていました。


「仏教(閻魔様)は全ての人を救いたいと願っています。前生で悪業を行い地獄の苦しみを受けている者でも自らの罪を認め心から懺悔すれば、閻魔様はお地蔵様に身を変えて地獄の底まで救いに行きます」
引用:https://kamakura-ennouji.jp/annai

円應寺を出るとき、
「閻魔様を苦しめたくない」と思っている自分に気付きました。
むしろ「閻魔様にほめられたい」と。
死後、閻魔様に会ったときに「良く生きたね!」と言ってもらいたい。


俗世の人間ではなく、閻魔様にほめられるために生きる。
なんてステキな生き方なんだろう。
いつも心の中に閻魔様の存在を感じながら、大好きな鎌倉で清らかに暮らしていきたい。

そんな“WITH 閻魔様 LIFE @ 鎌倉”という感じで、
これから鎌倉の魅力を紹介しながら、自分たちの暮らしぶりを少しずつゆっくりと綴っていけたらと思っています。

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この看板の写真の閻魔様を接写させていただきました。

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繰り返しますが、このお寺はペットNGです(涙)。








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