深夜特急4 シルクロード 第11章 柘榴と葡萄 シルクロードⅡ
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ニコニコごっこ 朗々たる祈りの声 断食明け 大相撲アフガン場所 日がな一日ぼんやり アフガン正月 安宿の客引き 自虐的な面白さ ささくれ立っている気分 無為への嫌悪感を持っている安宿の若いマネージャーカマル21歳 アルファベットが書けない読めない 日本の歌 意地悪 寂しい 旅人が迎える寒さ ハシシで酩酊 ハロー・グッドバイ センチメンタルな甘さ 深い喪失感 カブールの寒さ 磯崎夫妻 好奇の目がうるさい ときおり示される親切が煩わしい それは危険な兆候 不機嫌な自分に愛想を尽かしそうになる 砂漠の逃げ水 無造作な墓石 巨大な墓標 往きに喪ったものと、還りにまたあうことができる どうも心身が弱っちまった 砂漠において国境は大した意味がない ヒッピーバス ロッテルダム出身の青年 物乞いに恵むこととは 吝嗇 恵まないのはケチの言い訳 わけもなく感動的な夜空 トマンとリヤルは同じ? 永久に終わりの来ない遠足と一つの気分を共有している親近感 「真っ当な生活」 お別れのティーパーティー ポリスの善意 バス3日目 広大で鮮やかなネオン 光の海テヘラン 青春発墓場行
旅の軌跡
香港→マカオ→香港→バンコク→チュンポーン→ソンクラー→ハジャイ→バターワース→ペナン→バターワース→クアラルンプール→マラッカ→ジョホールバル→シンガポール→カルカッタ→キウル→ガヤ→ブッダガヤ→パトナ→ラクソール→ビルガンジ→カトマンズ→ビルガンジ→ラクソール→パトナ→ベナレス→サトナ→カジュラホ→ジャンシー→デリー→アムリトサル→ラホール→ラワルピンディ→タクシラ→ペシャワール→カイバル峠→ジャララバード→カブール→カンダハル→ヘラート→イスラムカラー→カルカレフ→テヘラン
アフガニスタンを航行中の主人公。
だいぶ旅の疲れと慣れが表に出やすくなってきているようで、感情の起伏を
コントロールするのが難しくなってきているのが分かる。
それを「気分がささくれ立っている気分だ」と表現している。
ある条件をもとに安い宿を見つけたのだが、
その条件というのは客引きをするということ。
日本人は主人公が、欧米人は宿のマスターが担当することに。
しかし一向に客は捕まえられない。
21歳という年下の若者のマスターの言い方にイラつく主人公だが、
(10年学んで英語のレベルがそれか、みたいな)
ところが後でわかることになるのだが、会話はできても書けないし、読めないのだ。
小さい頃から教育よりも仕事に時間を割かれたのか、
宿の若マスターは英語の読み書きができないのだ。
ここで主人公はあることに気づく。
26歳の若造である主人公は目的も不明瞭なまま、貧乏な旅をしている。
一方で21歳の若マスターは必死に今日も客を捕まえ生計を立てようとしている。
そのことに若マスターは何も思わないわけがない。
これは私の体験談だが、学生の時にバックパッカーをしていて、
物価の安い国でリキシャに値段交渉して乗せてもらうことがあったが、
大学生がバイトで稼ぐお金で海外に旅行に行けるだけでなく、
1日に1ドル前後しか稼げないリキシャに乗る際にも、
まださらに必死に値段交渉をする日本人。
これはフェアな交渉なのか?
払えるなら払ったほうがフェアなのではないか?
ふとそんな疑問を持ったことがある。
話を戻そう。
旅先で現地の人に優しく接してもらい親切にされることにストレスを感じ始める主人公は、これを危険な兆候と認識する。
なぜなら異国の地で親切にされる=命を守ってもらえる、
そのことにストレスを感じるならそれは死を意味するからだ。
そしてもう一つ。
貧しい国では老若男女、とにかく歩いていると、物乞いが集まってくる。
お金をくれということだ。
私も何度となく恵んでくれ〜恵んでくれ〜の攻撃に辟易したことがあるが、
やはり主人公と同じように恵んだことは一度もない。
キリがないからだ。
終わりがないからだ。
これについてもロッテルダムの青年のエピソードが印象深い。
そのロッテルダムの青年は主人公たちが落としたクラッカーを拾ってでも食べる、
無料で少しでも旅人から食べ物をもらおうとする人だったのだが、
物乞いには、なけなしのお金を恵んだいたのだ。
お金を恵むこと。
それについて、正しいも間違っているもない。
これには全旅人が遭遇するであろう葛藤の一つだろう。
深夜特急4 シルクロード 第12章 ペルシャの風 シルクロードⅢ に続く
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