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2024年春、奈良の桜と「西行桜」
4月上旬、桜井から川上村に向った。この時、宇陀を通るので、又兵衛を見物しようと思った。しかし甘くはなかった。渋滞がすごい・・諦めて川上村に向った。
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川上村の丹生川上神社上社。山の中腹にあるこの神社に立つと、本当に龍神が風を起こしているような爽快な気持ちになれる。この空気を味わいたくて年に数回お参りに来る。眼下のダム湖、その周りの山々の新緑と桜。
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神社参拝後はさらに奥に入って入之波温泉山鳩湯へ。名物の釜めしを食べたあと、再び宇陀を通ったので、今度こそはと又兵衛桜に行ってみた。
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まさに圧巻。外国からの観光客を含めて多くの人が見物に来ていたけど、まさに遠くからわざわざ訪ねるに値する桜だった。
それにしても、周りの住民は迷惑に感じてないのかな?と気の毒になるような渋滞。観光バスも何台も来ていた。
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ここで、能の「西行桜」を思い出した。西行が住んでいる山の桜が美しいので、毎年たくさんの花見客が来ていた。しかし、花見客は騒がしい。静かな環境を破壊された西行は、「人が多くてやかましい、桜のせいだ!」という歌を詠んだ。
花見んと 群れつつ人の来るのみぞ
あたら桜の とがにはありける
(花見をしようと多くの人が群れ集まってくる
これはまさに桜の罪だ)
すると、ここからが能のおもしろいところ。
その夜、ある老人が現れた。そして、西行に文句を言ってきた。
「草木には心がないのだから、花に罪はないはずだ」と。
西行はピンときた。そして、「そんなことを言うのは、あなたが桜の精だからだろう」と問いただした。するとその老人は、「自分は老木の桜の精だ」と明かし、「自分には罪がないことをはっきりさせたいので現れた」と言った。
その後、ふたりは「春の夜の一時は千金に値する」と、短い桜の季節を味わうのである。
又兵衛桜は西行桜ではないが、木の下に古武士が立っていても不思議ではない感じがする。又兵衛とは戦国時代の武将後藤基次(1560-1615年)のこと。大阪夏の陣で豊臣側に付き討死。しかし、その後出家して命を長らえたともいわれている。又兵衛桜は、彼の屋敷跡に立つとされている。そういえば古い石垣が残っている。こういった話が残ったり、通称の「又兵衛」が桜の名に付けられていることから考えると、後藤基次は非常に愛されていたのだろう。
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夜、おじいさんが出てきて「俺のせいではない!」とクレームを付けてきたら、
彼はきっと又兵衛桜の精霊だ。
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