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アーティスト滞在日誌19(仁禮洋志)

こんにちは!
クロスプレイ東松山でインターンをしているとがしです!
今回は2023年10月27日〜11月17日まで滞在した仁禮洋志さんのとある日の滞在日誌をお届けします。

仁禮洋志(にれい・ひろし)
美術家/カメラマン
自他の輪郭を起点に、それぞれを取り巻く環境やなりたちを観察しながら、最適な形をテーマに作品制作をしている。銚子への逗留をきっかけに民話と出会い採訪活動を始めた。過去の個展に2021年「伸縮する輪郭」(銚子市 ロクの家)、2023年「超・不定期訪問/滞在制作 project ≪Nami Itaに、いた?いる!≫Vol.6『もうれんやっさ』」(町田市 ナミイタ)など。2019年〜2021年までアートプロジェクト「SUPER OPEN STUDIO」の運営に携わり、オンライン上映プログラムを企画した。

仁禮さんは滞在期間中、デイサービス楽らくの利用者さん一人ひとりからお話を伺い、民話の採集を進めています。利用者さんのほとんどが戦争を経験されていることもあり、思い出話や過去の印象に残っていることとして、戦争のお話が多く聞かれたんだとか。また、お話を開いているうちに、ぐるぐると同じ話題に戻ってしまうことも。

世間話が大半を占めるの膨大な音声データから、動物にまつわる話や伝説、乗り物の話など民話につながりそうな箇所を拾い、文字起こしされていました。

これまで写真や映像、インスタレーション作品を通して表現をしてきた仁禮さんですが、高齢者福祉施設に滞在しているからこそのアウトプットの方法を模索していました。また、一人ひとりからお話を聞くだけではなく、朗読という形で全体に投げかけるアプローチを試してみることに。現場スタッフと相談し、活動の合間に朗読の時間を設けてもらいました。

朝の会が終わり、午前の活動が始まるまでの間、仁禮さんによる朗読が始まりました。近所の地名や著名人の名前が登場すると「知ってる知ってる!」「あ〜ゆうちゃんね」など、身近な話題として皆さんに興味津々な様子でした。

音での情報をキャッチすることが難しい方も、プリントされた文字情報を追いながら朗読に耳を傾けていました。

全体に朗読した後は、6人ずつ座るテーブルごとに、朗読した民話を会話の導入としてお話をお伺いしました。朗読として投げかけられたことによって広がった波紋や反応を受けながら、1対1での聞き取りからさらに踏み込んだお話や派生したお話などを聞いていきました。

幼少時代を過ごした故郷の話に花が咲きました。
過去の作品を見ていただきながら、聞き書きすることも。

アーティストと利用者さんがお互いに影響し合い、これまでとは違った形でのアウトプットを試すことができるのも、クロスプレイ東松山の魅力の一つ。そして、実験的な試みも快く受け入れ、臨機応変に対応する現場スタッフの存在を心強く感じました。

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