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Gibson ES-335 Custom Shop Edition 1986

2020年は、新型コロナウィルス流行による予定のキャンセルや緊急事態宣言による外出自粛などで、例年になくギターを弾く時間が多い一年となった。今後事態がどういう方向に転がったとしても、今以上にギターを弾く時間が多い生活はなかなか想像をするのが難しい。そこで、今年は「いつか買おう」と思っていたギターや機材を、思い切って積極的に購入していくことにした。

このギターは夏にフリマアプリで購入した。実物を試奏せずにネットでギターを買うというのは初めての経験だった。緊急事態宣言下の今年の夏の状況では、時間をかけて楽器店を回って試奏できるようになるのがいつになるのか不透明で、欧米のニュースを見る限りでは今後数年間そのような状況に戻らない可能性も十分に考えられた。決して安くはない値段で、30年以上昔のコンディションが良くわからないギターを買うことに不安もあったが、これからの時代のギターの買い方を実際に体験してみようという気持ちが勝り、最終的に購入に至った。

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幸いなことに届いたギターは30年以上前のギターにもかかわらず、ほとんど傷のない美品だった。金属パーツもくすみはあるもののサビはなく、本体もボディ・ネックともに打痕のようなものも見られず、フレットの減りもほとんどなかったため、あまり弾かれずに保管されていたのかもしれない。ネックに若干の反りはあったが、トラスロッドには余裕があり、フレットも十分に残っていたため、後日PLEKで弾きやすい状態に調整することができた。電気系統も全く問題なく、全体的に想像以上のコンディションで良かった。金属パーツのくすみと一部若干ラッカー塗装が薄く、ひび割れてきている箇所がなければ、30年以上前のギターだとは思えない。

ネックはかなり太めで、フレットは最近のジャンボフレットに比べると細くて低い。薄いネックとジャンボフレットの組み合わせばかり弾いてきた身としては、正直このネックは若干弾きこなすのが難しい。時間をかけて少しずつ慣れていこうと思う。

セミアコースティックギターは初めてだったが、想像以上に大きくて重いことに驚いた。レスポール並みに重い。

ピックアップを通した音は、ジャズで使うようなメロウな音が出てくるのかと思っていたが、何も考えずに鳴らしてみると意外とソリッドな音が出てきた。同じメーカーだからか、比較的レスポールに近い音が出てくる。意外と出そうと思えば元気なジャキジャキした音も出すことができる。30年以上前のギターということで、多少「枯れた」音がするのかと思っていたが、正直なところ、そこまで露骨に「枯れた」感は感じない。

ヴォリュームやトーンを絞れば当然丸い音になっていくのだが、やりすぎると非常にこもった感じになってしまい、当初なかなか狙ったような音を作れずに苦労した。試行錯誤の結果、ボリュームやトーンはそこまで絞らず輪郭を残した状態で、アンプ側の音作りで丸い音に調整することで、一つ納得感のある音が出せるようになった。特にYamaha THRのゲインを抑えたクランチチャンネル/リバーブとは相性が良く、弾いていて非常に心地よい音が出る。

低出力のシングルコイルを積んだストラトなどと比べると、そこまでニュアンスが強く出るギターではない。アンプを通して弾いていると若干音にコンプレッション感が感じられて、音としては比較的弾きやすい。特にクリーン気味のゆっくりしたメロディでは、神経質にならずにある程度ラフに弾いてもそれっぽい感じになってくれる。

元々、いつかジャズギターを弾きたいと思ってセミアコースティックギターを買おうと考えていた。このギターを手にしてから、ジャズギター、特にソロギターを練習する時間が増えた。ソロギターを練習する時間が増えたことで、フレーズを考えたりアドリブをする時に自然とコード感を意識するようになり、これは一つ良い気付きだったなと思う。

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このギターにはCustom Shop Editionというグレード名がついているが、所謂今のカスタムショップ製とは意味が異なる。今のGibson Custom Shopが設立されたのは1993年(さらに独立したセクションになるのは2006年)なので、1986年のこのモデルは工場自体はCustom Shop設立以前、文字通りカスタムして制作された、レギュラーラインの製品とは少し違うモデル、というような位置付けのようだ。実際にどの部分がレギュラーモデルと違ったのかは今となっては不明である。

追記: 2022.07.30 リフレットした


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