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ES-335のリフレット(Jescar EVO Gold)

1986年製のGibson ES-335のリフレットと指板調整をしてもらった。

購入当初からネックにハイ起きの症状が出ており、2020年にPLEKで擦り合わせをしてもらってしばらく弾いてきたものの、どうしても弾きやすさに難があった。これから先も長く弾いていきたいギターだったので、思い切ってリフレットをしてもらうことにした。

リフレットをするにあたり、今回初めてJescarのEVO Goldを試してみることにした。古いES-335にニッケル以外のフレットを打つというのは邪道のような気もしたが、リフレットは時間もお金もかかりギターへのダメージも多少あるため何度もやりたくなかったので、なるべく摩耗しにくい硬いフレットを選びたかった。

立ち上がりが速く硬いトーンのステンレスフレットは箱物の古いES-335にはあまりマッチしないのではないかという懸念もあり、今回はニッケルとステンレスの中間の硬さと言われているJescar EVO Goldを試してみることにした。Jescar EVO Goldは銅、錫、鉄、チタンから成る合金で、最近ではIbanezのギターにも採用されている。

フレット交換直後の様子。この時点ではEVO Goldの名の通り、かなり特徴的な金色に輝いていたが、ステンレスではないので時間が経つと少しずつくすんでいく。交換から一年たって現在はだいぶ落ち着いた色になった。

気になる耐摩耗性だが、先日弦交換の際に細かくチェックしてみることにした。上の写真は、一年弾いた後の摩耗状況。4弦〜6弦はほとんど摩耗は感じられなかったが、1弦は若干押弦の跡が残っていた。2弦、3弦もわずかではあるが凹みがみられる。ニッケルとステンレスの中間ぐらいの硬さということだったが、正直にいうと期待したよりは摩耗がありそうだ

今回のリフレット+指板調整によるギターの演奏性とサウンドへの影響は想像していたよりずっと大きかった。

まず、同じギターとは思えないほどどのポジションでもストレスなく演奏できるようになった。ハイポジションでも全く詰まることなく低めの弦高でしっかり音が出る。

過去に何本ものギターをPLEKを使って正確にすり合わせをしてきてもらったが、今回の指板調整+リフレットによる弾きやすさの変化は比較にならないほどの劇的な改善だった。30年以上前の箱物ギターでありながら、自分が持っているギターの中で1-2を争うほど弾きやすいギターへと変化した。そして、古いギターで木が乾燥しているからか1年経った今でもこの弾きやすさが維持されている。これには正直驚いた。

音の鳴り方も明らかに変化した。リフレット前はハイ起きの影響などでそもそも抑えにくかったり詰まってしまったりで「鳴らしにくい音」「響きにくい音」というのがあったのだが、指板調整+リフレットでそれが見事に解決された。どのポジションでも同じようにくっきり綺麗に音が出るようになった。おそらくこれが本来のこのギターの音の鳴り方だったんだろう。

音が大きくなったように感じるのは、フレットの材質変化による部分もあると思う。元のニッケルに比べるとやはり立ち上がりは速くなったように感じる。ただ、前述の通りそもそも音の鳴り方・印象が大きく変わっているのでどの程度フレットの変化による影響があったのか、正直判断が難しい。少なくとも、立ち上がりが速すぎたり音が硬すぎて扱いにくい、というようなネガティブな印象はない。

まとめ

リフレットをするにあたって、音や弾き心地が変わったり、Gibsonならではのフレットエッジバインディングが失われたり、ギターにダメージがあるのではないかと色々気がかりな点があった。特に今回のギターは自分のバースイヤーの特別なギターで、なかなか替えが見つかるようなギターではないのでリフレットに出すのは勇気が必要だった。

幸い、結果は期待以上だった。ネックの状態が良くなると、30年以上前のギターでもここまで快適に弾けて綺麗に音が出るとは思わなかった。リフレット前のこのギターは正直とても弾きにくいギターで、昔のギターはこんなものだろうと考えていたのだが、間違いだった。リフレット+指板調整をしてもらったことでようやくこのギターの本来の価値を知ることができ、弾く機会も圧倒的に増えた。間違いなくやって良かった。一年たった今もそう感じている。


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