夜中の足音

「夜中の足音」

 ある人が佐賀県の鳥栖市で、焼き鳥屋に勤めていた時の話。毎日深夜12時頃に店が終わり、後片付けをして自宅のマンションに帰るのだが、ある日マンションに戻ると、救急車とパトカーが来ていた。どうも、そのマンションで飛び降り自殺があったようなのである。

 その日から、毎日深夜の2時になると、かならずその人の部屋の前をハイヒールの音がコツコツと通り過ぎるようになった。そういう時間なので、水商売の人だろうと思い、どんな人だろうと思って、ドアスコープから覗いてみても通り過ぎた後なのか、姿は見えない。

 ある日、どうしても姿が見たくて、足音が自分の部屋の前に来たタイミングでドアを開けてみたが、そこには誰もいなかった。

 その次の日からも、足音は聞こえていたが、もう一度ドアを開けたら、自分の部屋に入って来そうで嫌だったのでもうドアを開けることはなかったそうである。

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