不動産屋あるある
これは2017年にFacebookに書いていた記事です。
うちの奥さんの実家は小さな不動産屋をしていて、
奥さんは一応「社長」です。
実家の不動産屋が管理している、
アパートの大家さんから、
もう2ヶ月家賃を滞納している人がいる、
どうしているか様子を見てきてくれ、
という連絡があった。
その方は60代の男性で、
生活保護を受給しながら、
アパートで一人暮らしをしている人だった。
まず市役所の福祉課に問い合わせてみたところ、
家賃の振り込みは本人がしているはずとのこと、
次に保証人の娘さんに問い合わせてみたところ、
最後に会ったのは熊本地震の時ということなので、
もう1年近く前のことになる。
というわけで、
市役所の福祉課の方と、
警察の方の立ち合いのもと、
うちの奥さんが鍵を開けて、
部屋に入ってみると、
その方はこたつに入った状態で、
座ったまま亡くなっていた。
部屋のエアコンがついたままになっていたらしく、
暖房の風が当たって、
乾燥してミイラ状態になっていた。
そのエアコンは後に電気代未納のため、
電気が停められて止まっていた。
死後3ヶ月くらいして発見されたようだ。
結構この手の話は不動産あるあるで、
不動産屋の集まりなどでは
「もう死体見た?」と新人に聞くのが、
定番のあいさつのようなものらしい。
それで奥さんも、
僕には口止めしているくせに、
自分はあちこちでこの話をしまくっているらしく、
似たような話のネタがストックされつつある。
まずある方のお父さんの話。
そのお父さんは阿蘇の警察署に勤めており、
熊本地震で崩落した阿蘇大橋、
あの橋は自殺の名所だったのだが、
あそこから飛び降りると、
大抵は川ではなく、
川原の岩の上に落ちるようで、
現場に駆け付けた警察官は、
遺体を背負って
崖を登らなければならないらしい。
それでそこの警察署に勤務した人は、
大抵腰を悪くするのだそうだ。
遺体を背負って崖を登っている途中、
何かを囁かれたことなどはなかったのだろうか。
阿蘇大橋が崩落した時、
車で通行していた大学生が巻き込まれ、
遺体は4ヶ月くらい見つからなかった。
ああ、呼ばれたんだろうね、と、
地元の人は噂していた。
もう一人、
これも警察官をしていた人の話。
一人暮らしをしていて亡くなるのは、
マンションやアパートより、
団地の部屋でというのが多かったらしい。
団地には追い炊き式の
バランス釜が設置されているところも多く、
入浴中に亡くなって、
そのままお風呂が沸かされ続け、
すっかり煮えてしまっている遺体もあったそうだ。
そんな遺体を浴槽から抱き上げるのも、
とてもつらい仕事だったそうである。