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28-中学の同級生の過去世

 ある日、中学校のブラスバンド部の同窓会に行った。それこそ中学卒業以来、30数年ぶりに会う後輩なんかもいて、なつかしかったのだが、実は僕は中学時代、ブラスバンド部の先輩からいじめを受けていて、中学から高校にかけての記憶が、あまり詳細に思い出すことができない。

 そのことに関わるような話として、同級生の一人がこんな話をしてくれた。その女性(Tさん)は、保育園の頃からの出来事を、事細かに覚えていて、次から次へと話すので、「すごいね」とみんなに言われていたのだが、「こんな私が、どうしても思い出せない記憶があったっちゃんね」と言った。

 それはかなり特殊な話だったのだが、Tさんは、約26年間に渡って、ある男の人と3回も、別れたり、また付き合ったりを繰り返しながら、付かず離れずの関係を続けていたという。しかも3回目は数年前で、Tさんはすでに別の男性と結婚していて、子供も二人いたというのだ。更に26年間の交際のお相手の男性はブラジル人で、3回目の交際はメールによる、遠距離恋愛だったというのである。もちろんTさんは、日本在住の日本人である。26年間の間のどの時期かは、Tさんの話からはわからなかったが、Tさんは、3年分のそのブラジル人男性に関する記憶がどうしても思い出せなかったのだそうだ。そこでTさんは、ヒプノセラピー(催眠療法)で、過去世の記憶まで遡って、その男性との関係を探ったのだと言う。

 その男性とTさんは過去世で兄妹で、兄妹喧嘩をした時に、男性が脅しのつもりで銛(もり)をTさんにむけて突き出したら、Tさんの胸に刺さってしまい。Tさんは亡くなってしまった。男性はその事を大変後悔しており、その未練が二人を引き合わせたし、お互いに魅かれ合って、交際するにも至ったのだが、結局は過去世のトラウマから、ある程度の関係から先に進むことができずにいるということなのだそうだ。その真相(?)を知ることができて、
その男性への執着も取り除かれていったという。

 実はこのパターンの話は、前世療法の本などによく出てくる、ありがちなストーリーなのだが、Tさんが何かの本で読んだ話を、アレンジして僕に話したのではないと思う。少なくともTさんは、ヒプノセラピーによる前世療法は受けていると思う。

 その中で浮かびあがってきた過去世の記憶(?)は、もしかしたら本当にあったことではなくて、Tさんの無意識下の願望が形を変えて現れた物語なのかもしれないし、療法士が誘導して、そのような記憶を捏造しているのかもしれない。ただ、Tさんというのは実在の人物で、この話は僕が直接Tさんから聞いた話であることは間違いない事実である。

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